0~3カ月赤ちゃん、黄色いりんごより赤いりんごが好き?【専門家】
生まれたばかりの赤ちゃんの視力は未発達で、世界はぼんやりとしています。ただ、その中でも“赤ちゃんが見やすいもの”“好むもの”があるんです。赤ちゃんの視力や認知発達を第一線で研究されている、中央大学文学部心理学研究室教授の山口真美先生に、0~3カ月はどんなものを好んで見るのかを聞きました。
低月齢赤ちゃんがいちばん好むのは、白黒だった!
まずは、0~3カ月の赤ちゃんの視力の特徴を見てみましょう。
●視力は0.02ほど。まだ世界はぼんやり
●視野におさまりやすいのは20~30cmの距離
●はっきりとは見えないけれど、動くものがとくに好き
●動くものの中でも、近づくものに興味あり
●見やすいのは、コントラストが強い色の組み合わせ。とくに白と黒
●2つの目と口(顔)を見るのが大好き
●明るさの違いにとても敏感。明るさの違いで色を見分けている
●2カ月ごろに赤と緑、4カ月ごろに黄と青をしっかり区別できるようになる
●太めのしましまやぐるぐるを好む
●キラキラ、ギラギラしたものが大好き
●見慣れたものより、新しいものに注目する
さまざまな研究により、0~3カ月の低月齢のころは上記のような特徴があることがわかっています。
「そういえば、30cmくらいの距離だとよく目が合う」「キラキラした照明をよく見ている」など、普段の赤ちゃんの様子と比べて、思い当たる節があるかもしれません。
脳を活性化させるためには、“動きながら”がポイント
山口先生によると、赤ちゃんが好んで見るものを積極的に見せることは、脳の発達にとって、とても大事だと言います。
「生後すぐの赤ちゃんは、視力に関する脳の機能が未発達な状態です。認識できるものをたくさん見ることで、視力がだんだん発達していくんです。そのとき、体を動かしながら見ると、脳が活性化され、より効果的だとわかっています。
たとえば抱っこで歩き回ったり、手を伸ばすように促したり。一方、スマホやタブレットの動画は刺激が強すぎ、動きを止めてしまう傾向があります。脳の発達や心の豊かさをはぐくむためには、自然な動きを取り入れることが大切です」(山口先生)
赤ちゃんが明るい画面をよく見るからと言って、スマホの画像を見せっぱなし、テレビをつけっぱなし、というのはよくないようです。日常の自然な動きの中で、好きなものを見せられるように工夫できるといいのでしょう。
「0~3カ月赤ちゃんは、どっちが好き?」クイズ!!
ここからは、低月齢赤ちゃんの視力にまつわる2択クイズを紹介します!
身のまわりにあるものを写真で比較。どちらが赤ちゃんに見やすいか、考えてみてください。
※赤ちゃんの見え方や反応には個人差があり、環境によっても異なります。
【問題1】赤いりんごと黄色のりんご、どっちが好き?
【答え】 赤いりんご
4カ月前後の赤ちゃんを対象とした研究で、赤ちゃんは青色と赤色をとくに好むことがわかっています。淡い黄色いりんごは背景に溶け込んで見えづらく、認識が難しいでしょう。
【問題2】ピンクの風船とメタリックな風船、どっちが好き?
【答え】メタリックな風船
赤ちゃんはキラキラしたものが大好き。ミラーボールやホイルなど、光を反射するものに注目します。光と影のコントラストが強い、メタリックな風船のほうをよく見るでしょう。
【問題3】まっすぐなレールと曲がったレール、どっちが好き?
【答え】曲がったレール
曲線で構成されたものと、直線で構成されたものを比べると、赤ちゃんは曲線のあるものが好き。レールのおもちゃなら、曲がったほうを見るでしょう。アルファベットなら、IよりCが好きでしょう。
撮影/有坂政晴[STUH] 取材・文/ひよこクラブ編集部
クイズの結果はどうでしたか? 低月齢のころはずっとねんねの姿勢なので、遊びのバリエーションも広がりにくいころ。自宅にあるものを実際に見せて遊んでもおもしろいかもしれません。また、赤ちゃんが見えている世界を想像しながら様子を観察したり、目線を追ったりするのもおすすめです。
参考/『ひよこクラブ』2021年3月号「0~3カ月が見えている世界を体験! 『赤ちゃんはどっちが好き?』クイズ!!」
『ひよこクラブ」2021年3月号には低月齢赤ちゃんの見えている世界をくわしく取材した「0~3カ月が見えている世界を体験!『赤ちゃんはどっちが好き?』クイズ!!」特集があります。