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「家事のしすぎが日本を滅ぼす」の著者佐光紀子さんに聞く、家事を半分にする方法【専門家】

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自宅でアジアの家族料理
写真はイメージです
kokoroyuki/gettyimages

家事の一つひとつはそれほど重労働ではないのかもしれません。でも、全部をていねいにこなすのはとても大変です。どうしたら家事の負担を減らすことができるでしょうか。「家事のしすぎが日本を滅ぼす」の著者であり、子どもを含め、家族で家事を分担する“家庭内ワークシェアリング”を提案する家事研究家の佐光紀子さんに聞きました。

家事は、自分と家族がごきげんに生活するためのもの。周囲の声や世間体にまどわされないで

日本には“家事はきちんとこなすべき”という固定概念があると佐光さんは言います。そのため、家事の負担を減らすことに罪悪感を抱く人も少なくないのだとか。

「日本には『ていねいに暮らすのは素晴らしいこと』という価値観が根強く残っています。それは、現在育児中の30代をメインとした、たまひよ世代のお母さんたち世代に専業主婦が多かったせいではないかと思います。1日のうち7~8時間を家事に費やしていれば、家のなかは整理整頓され、食事は手作りできるもの。しかも、こうした生活を数十年送っていれば、家事の達人になって当然です。

でも、今のたまひよ世代には、仕事をしている人も少なくありません。家事だって、お母さんに比べればやってきた時間はずっと短いですよね。だから『お母さんがやっていたみたいにちゃんとやらなくちゃ』と思っても、ずっと家事に取り組んできた実母や義母たちと同じようにこなすのは難しいですよね」(佐光さん)

育児や仕事で忙しく、家事まで手がまわらないと罪悪感を抱くより、ママ自身が自分の生活を大切にすることが必要だそうです。

「家事をする目的は、自分と家族が元気に生活することです。『手抜きをしていると思われるのでは?』と周囲の目を気にするのではなく、自分たちがごきげんに暮らせることを重視しましょう。家事を省いても、家族は意外と気にしていないもの。頑張るほどのものではないと気づく場合も少なくありません。

私自身、初めての子どもが生まれたときは衛生面に気をつかい、神経質なくらい、ふきんは必ず消毒してから干していました。でも、ある日夫はそのふきんの隣に自分の靴下を干したんです。『なんてことをするの!?』と怒ったら、『大丈夫だよ』と薬剤師の夫に言われ、拍子抜けしました。たしかにまわりを見渡してみると、ちょっとやりすぎかな・・・と。夫のおかげで、肩に力が入っていたことに気づきました」(佐光さん)

どの家事が苦手かを考えていくと、どんな暮らしをしたいかが見えてくる

家事とひと言で言っても、得意なものと苦手なものは人それぞれ。大事なのは、自分が嫌だと思う家事をやめることだと言います。

「掃除が好きな人が掃除をやめても、あまり楽になった感じはしないでしょう。むしろ、やりたくない家事のやめ方を考えてみて。どの家事が好きで、どの家事が嫌いかを考えていくと『自分はどんな暮らしをしたいか』が見えてくるはずです。

たとえば、『いつも片づいた部屋でくつろぎたい』なら、掃除はていねいにするけれど、食事は出来合いのものを買ってもいいなど、力を入れるところとそうでない部分がわかってくるでしょう。
『こうしなくてはいけない』という義務感に振り回されるのではなく、どの家事をやめたいかを考えると、何を省略したらいいかとか、どんなサービスを導入したらいいかなど対策が見えてきます」(佐光さん)

ママだけが頑張るのではなく、パパも巻き込むことが大切

『家事も育児も、ママの仕事』と考えがちなら、それをやめましょう。パパと分担することが大切です。

「ママとパパの2人の間のルールを決めるといいでしょう。ママが1人で頑張ってしまうと、子どもが成長したときに、『子ども20歳、ママ歴20年、パパ歴1年』ということになりかねません。こうしたパパの経験値の低さは、子どもにも見破られてしまうものです。だから、パパのためにも2人で力を合わせていくことが大切です」(佐光さん)

パパに家事を任せる場合、大切なのはママのやり方を押しつけないことだと言います。

「パパに家事を分担してもらう際に大切なのは、一度任せたら全部任せることです。ママは頑張っている分、家事も育児も『私のやり方が正しい』と思ってしまいがち。でも、ダメ出しばかりしてしまうと、パパのやる気をそいでしまうことも…。

パパにも得意不得意があるはずなので、『今、これとこれが大変だと思っているんだけど、どれかひとつお願いできないかな』といくつか選択肢を出すことが大切です。一度担当として任せたら、ママは自分のやり方を簡単に説明する程度にとどめ、あれこれと口出ししないようにしましょう」(佐光さん)

パパに任せたことで、かえってママの負担になったということのないようにすることも大切です。

「知人の話ですが、ママが残業のある日は、パパが子どもを見ていたそうです。でも、普段19時に寝ている子どもが、パパと一緒だとずっとテレビを見て21時ごろまで起きていることに。すると、次の朝起きられなくて、ママが保育園に連れて行くのが大変に。
そこで、パパが夜ふかしさせた日は、翌朝の登園も、パパにお願いすることにしたそうです。夜ふかしの結果、翌朝が大変になってしまうこともわかってもらうことで、パパにも全体の流れがわかり、ママと協力しやすくなります」(佐光さん)

お話・監修/佐光紀子さん 取材・文/齋田多恵、ひよこクラブ編集部

「コロナ禍で、在宅勤務が増えている今こそ、家事を分担するチャンス」と佐光さんは言います。週に一度でもママが完全に手放せるものを作りましょう。家事をするパパの姿を見せることで、子どもの視野も広がり、未来も変わってくるはずです。

佐光紀子さん(さこうのりこ)

Profile
翻訳家、家事研究家。国際基督教大学を卒業。繊維メーカーや証券会社で翻訳や調査に携わったあと、フリーの翻訳者に。ある本の翻訳をきっかけに、重曹や酢などの自然素材を使った家事に目覚め、研究を始める。2017年、「『家事のしすぎ』が日本を滅ぼす」 (光文社新書)を出版。掃除講座や執筆活動を展開中。

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