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「妊娠中もっと気をつけていれば…」先天性サイトメガロウイルス感染症が判明したわが子【母子感染体験談】

写真は、生まれたばかりの空くん。

先天性サイトメガロウイルス感染症とは、妊娠期に気をつけたい母子感染症の1つです。おなかの赤ちゃんにまでこのウイルスの感染がおよび、先天性サイトメガロウイルス感染症を発症すると、脳や耳、目などに障害をもたらすことも。
4人の子のママである茶谷久美子さんも、第3子・空(そら)くん(現在6歳)が6カ月のときに、先天性サイトメガロウイルス感染症と診断されました。「病気のことをもっと早く知っていれば防げたかも」と話す茶谷さんに、出産から今日に至るまでの空くんの様子を聞きました。

妊婦健診は異常なし。でも産声を聞いたときから、漠然とした不安が

空くんを出産したのは、2015年4月。妊娠37週に入ってすぐでした。妊婦健診でとくに問題はなかったものの、切迫早産(せっぱくそうざん)を経て、空くんは2458gで生まれました。

「第2子も切迫早産だったので、心配はあまりしていませんでした。妊娠35週から自宅安静をしていたのですが、おしるしがあり、37週での出産になりました。空が生まれたとき、小さいなと感じたことと産声(うぶごえ)に違和感がありました。泣き声が高くて、上の子2人とは何か違う…という漠然とした不安を抱きました」(茶谷さん)

ママの不安は、しだいに確信へと変わっていきます。

「空は母乳中心だったのですが、1カ月健診のとき体重があまり増えていないから、ミルクに切り替えるようにと言われ、翌週、再健診を受けることになりました。

3カ月健診のときは、首のすわりが遅いと言われ、翌月再健診を受けることになりましたが、その翌月も再々健診となり、3カ月健診は3回受けています。上の子たちは、乳児健診で再健診になったことはありません。

また空は、あまり泣かずに授乳後はほうっておくと8時間ぐらい寝る子だったので心配で、3カ月健診で医師に相談したら“個性で、そういう子もいる”と言われました」(茶谷さん)

6カ月のとき全身に紫斑が。検査の結果、先天性サイトメガロウイルス感染症と判明

写真は、6カ月で検査入院したとき。検査のために2回(各2週間ぐらい)入院しました。

空くんが、先天性サイトメガロウイルス感染症と診断されたのは、6カ月のとき全身にポツポツとした紫斑が出たことがきっかけでした。

「かかりつけの小児科を受診すると、念のため大きな病院で診てもらったほうがいいと言われて紹介状をもらいました。

紹介された総合病院で血液検査をしたところ、通常は15万ある血小板の数が1000しかなく、血小板減少症紫斑病と診断されました。医師から血小板が少ないから、万一、頭を打ったりしたら危ないと説明されて、MRIを撮ったところ、脳室の拡大や頭が小さい小頭症(しょうとうしょう)、脳のしわが少ない滑脳症(かつのうしょう)が見つかりました。

さらに詳しく検査をするため、へその緒を持って来てほしいと言われ、さい帯検査などをして先天性サイトメガロウイルス感染症とわかりました」(茶谷さん)

病名がわかり、主治医から「大切な話があるから、一度、ご夫婦で病院に来てほしい」と言われたときは、嫌な予感しかしなかったと言います。

「先天性サイトメガロウイルス感染症はさまざま症状がありますが、見た目にはわからないような場合もあれば、空のように脳に障害が出ることもあります。また精神運動発達遅滞が見られる場合もあります。

医師から病気の説明を受けたとき、夫はフリーズしていました。私は主治医に“空は歩けるようになりますか?”話せるようになりますか?”と聞いたところ“わかりません”と言われ、頭が真っ白になりました。生まれたときから“上の子たちとは何か違う”とは感じていたものの、いつか成長して追いつくと思っていたので、主治医の言葉に絶句しました。
その日は夫と無言で帰宅し、しばらくは現実を受け入れられず、朝起きると、私、悪い夢でも見ていたかも…と思っていました。夫も、相当ショックを受けていたはずですが、数週間後には気持ちを切り替えて“おれの子だから大丈夫。歩けるようになるよ”と言って励ましてくれました」(茶谷さん)

サイトメガロウイルスは、どこにでもいる決して珍しくないもので、すでに感染していて抗体を持っている人が多いウイルスです。正常な免疫機能を持っていれば感染してもとくに問題はありません。

しかし注意が必要なのは、妊婦さんの感染です。アメリカでは妊婦さんの抗体保有率は48%、カナダは30%ほどしかなく、先進国になるにつれて妊婦さんの抗体保有率が減っています。日本もひと昔前は、妊婦さんの95%以上が抗体を持っていましたが、最近は70%ぐらいしか抗体を持っていないというデータがあります。妊婦中に初めてサイトメガロウイルスに感染すると、おなかの赤ちゃんへの感染が心配されます。また、すでに感染したことがある場合でも、再感染が起こることはありますが、初感染の場合と比べると何百倍も発症する可能性は減ります。

胎児のときに感染して産後に低体重児、てんかん、出血斑、呼吸障害など何らかの症状が出るのは1000人に1人と言われており、年間800人ほど生まれている試算になります。

1歳、3歳の子をお世話しながらの妊娠。振り返ると心当たりが

サイトメガロウイルスの主な感染経路は、子どもの尿や唾液(だえき)などによる接触感染、性交感染、出産や母乳を介した母子感染ですが、すでに健康に生まれた赤ちゃんや子どもが感染しても問題はありません。

「空を妊娠していたころは、当時3歳の長女、1歳の長男を保育園に通わせながら仕事をしていて、とにかく忙しい毎日でした。振り返ると、子どものおむつを替えても手洗いが不十分だったり、子どもたちとキスしたりもしていました。また疲れもたまり、私自身の免疫も落ちていたのだと思います」(茶谷さん)

先天性サイトメガロウイルス感染症を防ぐワクチンは、今のところありません。
そのため予防には、おむつ替えや子どもの鼻水・よだれをふいたりしたあとの手洗いや、食べ物、飲み物、箸、スプーンなどは子どもと共有しないことなどが必要です。

「私が、この病気のことを知っていて、もっと気をつけていれば防げたと今でも思っています。
上の子たちに“空は、ママのおなかにいたときに病気になったから、ママのせいだよね…”と話したことがあるのですが、上の子たちは“ママのせいじゃないよ!”と言ってくれました。そうした子どもたちのやさしさに救われています」(茶谷さん)

医師には「将来、歩けるかわからない」と言われたけど、伝い歩きもできるように!

写真は茶谷さんの子どもたちで、1年前に4人目を出産。「子どもが4人ほしかったけど、空が歩けるまでは待とうと思っていました」と茶谷さん。右から2番目が空くん。

空くんは、今6歳・年長さんです。つかまり立ちや伝い歩きができるようになり、発達年齢は10カ月ごろとのことです。

「発達を促すために療育にも通っていますが、空が伝い歩きができるようになったのは、保育園でお友だちのところに行きたいという思いが、やる気に変わったからです。障害がある子も共に育つインクルーシブ保育が、空の成長を後押ししてくれていると感謝しています。

また先天性サイトメガロウイルス感染症は、難聴も代表的な症状ですが、空も1歳6カ月ごろに左耳の難聴がわかり、2歳から補聴器をつけていましたが、だんだん聞こえるようになり、4歳で補聴器が取れました。でも、これは非常にまれなことだそうです。

病気が判明したときは、医師から将来、歩けるかわからないと言われていたのに…。子どもの生きる力ってすごいと思います」(茶谷さん)

また空くんが生まれて、家族の関係がもっと温かいものになったと茶谷さんは言います。

「家族みんなが空を“かわいい、かわいい”と言うので、空は自分の名前を“かわいい”だと勘違いしているのでは!?と思うぐらいです。
上の子たちも空を自慢の弟と言ってくれます。温かい家族に囲まれて、空はきっと自己肯定感の高い子に育つと思います」(茶谷さん)

お話・写真提供/茶谷久美子さん、取材協力/トーチの会、監修/森内浩幸先生(長崎大学医学部小児科教授)、取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

空くんの病気が判明したとき、茶谷さんが最も力を注いだのが病気やケアのことなど、正しい情報を収集することでした。そのため茶谷さんが入会したのが、先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症 患者会「トーチの会」です。
先天性サイトメガロウイルス感染症は、今のところ予防するワクチンがありません。また抗ウイルス薬による治療が有効なのは、生後30日以内の早期。副作用や保険適用でないことなども課題になっています。

※2021/10/22 一部修正しました。(たまひよONLINE編集部)

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