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子どもの脳性麻痺の症状、原因、診断、治療

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脳性麻痺は、妊娠中から出生直後の間に何らかの理由で受けた脳の障害によって起きる運動機能の障害のことです。脳性麻痺の症状とその程度は障害を受けた脳の部位によってさまざまです。ここでは、脳性麻痺の症状、原因、治療について説明します。

脳性麻痺とはどんな病気

出生前(妊娠中)から出産後1か月までに何らかの原因で生じた脳の障害により、手や足の運動や姿勢の異常が起こる障害のことを言います。年齢と共に進行することはなく、出生1000人あたり2人の頻度で見られます。また、運動機能だけではなく、知的発達の遅れや言語障害、てんかん、視覚や聴覚などの障害を伴うこともありますが、これは脳のどの部位に障害を負ったかによって変わってきます。なお、脳性麻痺と混同しやすい病気に「小児麻痺」があります。小児麻痺はポリオウイルスが脊髄に感染することで発生する麻痺のことで、脳の障害を原因とする脳性麻痺とは異なります。

脳性麻痺の原因

出世前(妊娠中)

出生前の要因は、染色体異常、遺伝子異常による脳の奇形、風疹、サイトメガロウィルス、トキソプラズマなどの胎内感染、胎児期の血管障害や低酸素があります。

周産期(陣痛から産後1週間)

新生児期の呼吸・循環障害による低酸素性虚血性脳症、新生児仮死、頭蓋内出血などがあります。また、在胎32週以下の早産児に多く見られる脳室周囲白質軟化症も脳性麻痺の主な原因の一つです。

出生後(おおむね生後1か月まで)

てんかんなどの原因でけいれん発作を繰り返すうちに、脳の運動機能を司る部分が障害を受けてしまい、脳性麻痺になることがあります。

脳性麻痺の症状

脳性麻痺の症状には以下のようなものがあります。

痙直型

筋肉が常に緊張し、関節の動きに制限が生じます。突っ張ったままの状態のことが多く見られます。背中が曲がる側弯症を生じることもあります。運動指令を司る大脳に障害を負った場合に発症します。脳性麻痺の8割がこの型だとされています。

アテトーゼ型

自分の意志とは関係なく筋肉の緊張の度合いが変わってしまい、顔、腕や手のコントロールできない状態です。不随意運動を司る大脳基底核が障害を受けた場合に起こると考えられています。

脳性麻痺の身体分布による分類

片麻痺

片側半身のみが麻痺し、多くは痙直型です。下半身よりも上半身に強い麻痺が現れる傾向があります。原因は血栓性疾患、感染、遺伝性疾患など出生前、周産期の異常が多いです。赤ちゃんの場合、麻痺のある方の手は握りしめたままのことや、はいはいがうまくできないことが多くあります。

痙直型四肢麻痺

四肢が麻痺している状態で、脳性麻痺の中でも最も重度の麻痺で、寝たきりで嚥下運動(ものを飲み込む動き)も困難な場合があります。原因は、低出生体重、胎児期または周産期仮死による低酸素脳症、感染や遺伝性疾患です。知的障害やてんかんを合併することが多くあります。

痙直型対麻痺

下肢のつっぱり(痙直)が主体で、上肢は麻痺が目立たないタイプです。低出生体重児の脳性麻痺に多く見られます。

アテトーゼ型四肢麻痺

不随意運動が目立つ型で、ジストニア型とも呼ばれます。 新生児の核黄疸と呼ばれる病気が原因で脳に障害をもたらし、この型の麻痺になることがあります。乳児期から自発的な運動が少なく、舌や口腔内の筋肉障害によって、話し方がゆっくりで、発音も不明瞭なことが多いです。知的発達は比較的良好とされています。

脳性麻痺の合併症

脳性麻痺では、てんかん、視覚障害、消化器障害、知的障害など合併症を抱えるケースがあります。脳の障害がどの部位に及んでいるかによって障害の内容は変わってきます。とくにてんかんや知的障害は、痙直型四肢麻痺に多く見られます。

脳性麻痺の診断

脳性麻痺は、出生前〜出産1か月後に発症していますが、重度の障害がある場合以外は、乳児期に脳性麻痺であることに気づかれないこともよくあります。筋肉が固くなってくるのに、しばらく時間がかかることもあります。生まれてすぐには診断できないことも少なくありません。重い麻痺がない子どもの場合は、首が座らない、1人で座れない、はいはいや寝返りがなかなかできないといったことから健診やかかりつけの病院に相談し、脳性麻痺の診断につながることがあります。

脳性麻痺の治療、ケア

脳性麻痺は、脳の障害が原因でさまざまな症状が現れる障害です。脳性麻痺の原因となっている脳の障害そのものは治すことはできませんので、現れている症状を緩やかにしたり、運動機能を高めたりする治療が行われることになります。

理学療法

運動や姿勢の障害を改善させるための運動に取り組みます。また、電気刺激やマッサージ療法、温熱療法などを施して痛みを軽くしていきます。

作業療法

理学療法で獲得・改善した身体機能を、日常生活に生かすための訓練を行います。衣服の着脱やトイレなど生活に必要な動きを練習していきます。

言語療法

口の周りの筋肉や呼吸筋(横隔膜など)の動きを改善するために、発声訓練のほか、食べ物を噛み、飲み込む機能の向上を図ります。

整形外科的治療

外科的手術を行い、身体の機能の向上を図ったり、痛みを軽減したりします。具体的には、関節の拘縮や筋肉の過度の緊張をゆるめる手術などです。

補助具

歩行や食事、学習など生活の中のさまざまな場面での行動を介助・自助する器具が開発されています。

(取材・文/たまひよONLINE編集部) 

監修/榊原洋一先生
東京大学医学部附属病院小児科医長、お茶の水女子大学副学長などを務める。「子ども学」の研究のため、ベネッセコーポレーションの支援のもと設立されたCRN(チャイルド・リサーチ・ネット)所長。発達障害など子どもの心と体の研究の第一人者。お茶の水女子大学名誉教授。

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