「コロナ禍での出産。立ち会いができなかった僕がとった行動は...」テレ東アナウンサー原田のパパ育休日記 第2回
2021年4月、27歳で一児の父となったテレビ東京アナウンサー原田修佑さん。テレビ東京男性アナウンサーで初めて3か月間の育児休業を取得。この連載では3ヶ月間の育休で感じたことなどを自身の言葉で綴ってもらいます。
連載第2回は、コロナ禍での出産エピソードについてです。
出産当日。コロナ禍で立ち会いできず…
2021年4月、新型コロナウイルス感染拡大の勢いは未だおさまらず。
予定帝王切開で出産日が決まってはいましたが、感染対策のため、夫の僕も出産に立ち会うことができませんでした。
そのため出産当日も朝から取材に行き、出産予定時間前には帰社。
アナウンス部で同期の片渕茜アナに、
「これから生まれるんだよ!おれが親になるんだよ!」
「ちょっと妻に応援動画送りたいから撮ってよ!」
と、忙しい同期に相手をしてもらうもソワソワは止まらず…。
いてもたってもいられなくなった僕は、
「そうだ!安産祈願にいこう!」
と会社近くの乃木神社に足を運ぶことにしました。
会社から神社までの道中ジャケットを忘れてしまい、肌寒かったことを鮮明に覚えています。
神社前に到着し、財布の中に小銭があることを確認。
どうか母子ともに健康でありますようにと歩みを進めるも、なんと神社は閉門しているではありませんか!
時刻は17時すぎ。
考えればわかったことなのに、自分は何をやっているんだと曇り空を見上げて意気消沈していると、お尻に振動が走りました。
そう、妻からLINEが届いたのです。
「う、生まれた!!!!!!」
「二人とも無事でよかった・・・!あぁ生まれてきてくれてありがとう!」
でも、実際会えてないことから実感がわかないこともあり、出産に立ち会いたかったなぁ、早く会いたいなぁと、益々思いが募りました。
曇り空の下、閉門した神社の前で、コロナ禍ならではの複雑な心境で、新たな門出をひとり迎えたことは、今でも鮮明に覚えています。
そして、その夜のWBS(担当番組)で、我が子が誕生した興奮・動揺を表に出さず、噛まずに生放送を終えられた自分はちょっとだけ天晴れでした。
出産後も立ちはだかる面会NG!名づけ問題の勃発
ただ状況は相も変わらずコロナ禍真っ只中。
出産後も産院での面会が叶わず、1週間妻子と会うことができませんでした。
「最初の1週間を子どもと過ごせないなんて...コロナが憎い」
その期間は本当に長く寂しく感じました。
1週間の穴を少しでも埋めるべく、10分でも時間があればすぐにビデオ通話で二人の様子を確認。
ビデオ通話上で子どもとのツーショットを画面撮影(スクリーンショット)しては、何度も見返して子どもと一緒にいる気分を味わいつつ、1週間後の妄想を膨らませる日々が続きました。
その中でコロナ禍ならではの出来事がありました。
子どもの名づけに関してです。
妻と話し合ってなんとなくは決めていましたが、
「子どもの名前を事前に決めていたけど、実際に顔を見て違う名前にしたよ」
という諸先輩方の意見を何度か聞いたことがあったので、僕たち夫婦も顔を見て最終判断しようと話していたのに、僕は会えず…。
そのため、ビデオ通話で子どもの顔を確認して最終決定する形となりました。
いよいよ妻と娘に会える!その日がやってきた
そしてそして、待ちに待った初対面の日。
なんと、興奮のあまり義母のことを忘れて、僕一人で産院に到着してしまうハプニングがありました。改めて義母を迎えに行き、なんとかに産院に到着。
その日、その瞬間は、おそらく4月で一番の快晴でした。
ソワソワしながら産院の前をうろちょろしていると、遂に産院の扉が開き目の前には妻子の姿が。
太陽の光を浴びた妻と子どもの姿が僕にはあまりにも眩しく、後光が差して見えました。
「あぁ、守らなきゃ。」
二人に対面した僕は泣くでも笑うでもなく、その小さく尊い命を目の当たりにして、味わったことのない初めての感情を抱きました。
ただ、その場では子どもとどう接すれば良いかわからず、家に帰るまで抱っこどころか、触ることすらできませんでした。
(産院から家までの車の運転、今までで一番緊張したなあ・・・)
ど緊張の運転の末、無事家に到着。
そして運命の初抱っこ。
「抱き方合ってる?これ間違ってるよね。どうしよう、こわいこわい・・・あぁ尊い」
「え、手足の皮剥けてるけど大丈夫なの?息してる?」
感動どころではなく初めてのことだらけで心配のオンパレードでしたが、僕のその姿を嬉しそうに見守る妻と、その妻のお腹の凹み具合に、生まれて1週間後、ようやく父親としての実感、自覚が芽生えました。
こうして僕の育児ライフが始まったのでした。
プロフィール
原田修佑(はらだしゅうすけ)
1993年生まれ。愛知県豊橋市出身。2016年、テレビ東京にアナウンサーとして入社。
担当番組は「WBS(ワールドビジネスサテライト)」「シナぷしゅ」スポーツ実況など。
趣味は焚き火とバスケットボール。15歳までに骨折を6回経験したこともあり、モットーは粉骨砕身。Twitter/@shusuke_harada