「出産って〇〇だよね」みんなのホンネは!? 「命がけ」「奇跡」と感動ばかりじゃなく「あれとの戦い」という声も…
「たまひよ」アプリユーザーに「『出産って〇〇だよね』 あなたなら『〇〇』に何をいれますか?」と、質問。1位は「命がけ」と、分娩の過酷さを表現。2位は「奇跡」でした。3位は感動とはほど遠い言葉ですが、経産婦なら「わかるわ~」というアレでした。これまでに数千人の母子のケアに携わられた助産師の濵脇文子先生に伺いました。
Q. 「出産って〇〇だよね」 あなたなら「〇〇」に何をいれますか?
1位 命がけ・地獄・負けられない戦い
「命がけ。何が起こるか最後までわからない」(みー)
「絶対に負けられない自分との戦い」(ゆみみん)
「なんの罰だよって感じ。次世代を産むのに、なんでこんなに苦労しなきゃならないのかと思う」(み)
「生き地獄。痛みに耐えている時間が長すぎて、いつまで続くのかと辛かった。生まれてから一気に幸せな気分に変換したけれど」(まるこ)
「命がけ。痛すぎて、もうこんなに痛いなら次は絶対産まない!と、決めていたのに、娘に『赤ちゃんほしいな』とお願いされ、夫婦で話し合い4月に2人目出産予定です。命がけですが…今から楽しみです(笑)」(しろくま)
2位 奇跡・神秘的
「奇跡!」(笹)
「神秘的。ほんとに(おなかに)人が入ってたんだ!と我が子を見た瞬間感動し、我が子を抱いた時の重さと温もりに幸せを感じ、こんなにも小さな命を抱きしめたことがなかったので、不思議な気持ちになりました」(マサママ)
3位 便意
「便意との戦いです。恥ずかしながら、ちょいちょい漏らしていました…」(ちゃんきみ)
「便意です。陣痛のたびにお尻のほうに力が入り、夫に『抑えて~!』と、叫んでいました。夫は必死にボールを当ててくれたけど、私が抑えて欲しかったのはそちらの穴ではなくお尻の穴。出てこようとするうんち君を阻止してほしくて、『そっちじゃない~!』とも叫んでいました(爆笑)」(りかつん)
「うんち、巨大うんち」(あちん)
「強固な便秘。出産時間は4時間半でしたが、かつて便秘で6時間トイレにこもった経験者としては、出そうで出ない感がよく似ていると思いました」(はな)
「『快便みたい』です。とりあえず生まれる瞬間のスルンッという開放感とスッキリする感じが、大きい便が出た感覚に似ていて『あー!出たわー!すっきり!』という感じでした。我が子には申し訳なくて、こんな話はできませんが…(笑)」(ゆん)
「達成感」「子どもとの共同作業」などなど、そのほかのコメント
「出産ってすごい達成感あるよね!かな。自然分娩ですが、あんなにやり切った感を味わえることはないと思います」(歳の差兄弟)
「フルマラソン。共に走る相棒(子ども)と、終わりがあるから頑張れる」(たいちゃんママ)
「赤ちゃんとの初めての共同作業」(なでぃあ)
「『出産ってつわりより楽だよね』です。私は仕事を休むほどつわりがしんどくて、終わりの見えない日々に絶望していました。出産は数時間で終わりますから」(とも)
「『人それぞれ』です。役立つグッズも、リラックス方法も、かかる時間も痛さも何もかも人それぞれ。他人と比べて落ち込んだり、不安になったりしても仕方ないです」(かず)
そしてこんなコメントもありました。
「出産って忘れるよね。痛かったし大変だったのに、次の日にはまだ産めるなと思っていた」(biko)
多くの女性が出産の過酷さを吐露しますが、2人3人と子どもを望む心理は不思議と言えば不思議です。これまでに数千人の母子のケアに携わられた助産師の濵脇文子先生に伺いました。
「出産は多様性にあふれており、そして自由なのです」と、濵脇先生
「命がけ、戦い、地獄、奇跡、感動、そして便意との戦い…(笑) 正直な感想であり、すべて出産を表現していると私も思います。
そう、出産は多様性にあふれており、そして自由なのです。
実は11月3日は語呂合わせで『いいお産の日』に認定されています。妊娠や出産に関する知識を深めて、命の大切さを考えようという日です。でも私は『いいお産』という言葉があまり好きではありません。『良いお産』があるってことは、『悪いお産』もあるの?と、とらえる妊婦さんや経産婦さんがいるのではないか、と心配になるからです。
お産は自由なのです。良いも悪いもありません。『こうあるべき』という考えを捨てて、自分のスタイルを極めて欲しいし、経験談は誇りをもって語って欲しいからです。
だって幸せの家族の1ページなのですから。
「出産って忘れるよね。痛かったし大変だったのに、次の日にはまだ産めるなと思っていた」(biko)
おそらくbikoさんは、ホルモンの波に乗ったお産だったのかなと推測します。
お産ではたくさんのホルモンが分泌され、よく知られているのが『オキシトシン』です。子宮の筋肉に作用して収縮=陣痛を引き起こします。その陣痛が引いたタイミングで、大量に分泌されるのが『エンドルフィン』です。別名『脳内麻薬』と、呼ばれる究極の癒しのホルモンです。
陣痛の痛みが強いと息を止めがちになり、筋肉を緊張させ、子宮口が開きにくくなるなど、お産の進行を妨げることがあります。
そこで陣痛の合間にエンドルフィンが分泌され、全身をリラックスさせる時間を作り、緊張と弛緩を繰り返すことでお産を安心安全に進行させるのです。
お産経験者のなかには稀に『気持ちよかった』『まったく苦じゃない』という方がいたり、陣痛の合間にウトウトと寝てしまう方がいたりしますが、これはエンドルフィンの影響なのです。
何しろエンドルフィンの鎮痛効果は、モルヒネ以上とも言われていますから。
『しんどさ100%』のイメージの出産ですが、身体はエンドルフィンの癒し効果をちゃんと覚えているのでしょう。
そして出産後、かわいい赤ちゃんと過ごす日々が痛みの記憶を凌駕し、『2人目』『3人目』となるのかな…と、私は推察します」
濵脇文子(はまわき ふみこ)
助産師・保健師・看護師。大阪大学招聘准教授。星薬科大学非常勤講師。総合病院・クリニック・助産院など様々な場所に勤務。母と赤ちゃんの笑顔が大好きで、数千人の母子のケアに携わります。産前産後ケアセンターの立ち上げに参加したり、民間企業での事業開発など多方面で活躍。自治体の講演や各種メディア執筆では、ひとりひとりのペースにあわせた母に寄り添う姿勢と、明るく軽快な語り口で人気を博します。
(取材・文/和兎 尊美、たまひよONLINE編集部)
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2024年11月の情報で、現在と異なる場合があります。