【妊娠中のおなかの張り】張りやすい3大シチュエーションと対処法
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妊娠中ほとんどの人が体験する“おなかの張り”。ママの体に負担がかかると、おなかは張りやすくなります。たとえば、どんなときに張りやすいのかを紹介します。まずは、張らないように予防するのが大切ですが、もしものときにどうすればいいか、シチュエーションに合わせた対処法をみうらレディースクリニック・助産師の初芝里美さんに伺いました。
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なんでおなかが張るの?
「子宮は筋肉でできていますが、赤ちゃんの成長に伴い風船のようにふくらんでいきます。この筋肉が一時的にギュッと縮むのが 『子宮収縮=おなかの張り』。筋肉が緊張して、おなかがかたくなったように感じます。
多くの場合は、子宮が大きくなるときの生理的なものです。しかし、危険な兆候であることも。疲れやストレスを感じて子宮の血流が悪くなったり、腟(ちつ)の炎症などが原因で卵膜(らんまく)の一部にまで炎症が及んだりすると、強い子宮収縮を引き起こす危険があります」
張りやすい3大シチュエーションと対処法
「ママの体に負担がかかると、おなかは張りやすくなります。さらに、張っているのに休まずにいると、どんどんおなかがかたくなり、痛みも増します。ときには動けなくなってしまうことも。強い張りがつづくと、赤ちゃんを子宮の外に押し出す力が持続的に働いて赤ちゃんが下がってきてしまい、早産や流産につながる危険があります。だから、おなかが張ってしまったら、正しく対処して体を休めましょう」
1.長く歩いたとき
「張りやすいシーンの代表が、長く歩いたとき。大きなおなかで歩くのは、負担がかかりやすいものです。通勤や買い物、体重管理のためのウォーキングなどのシーンがありますが、避けることが難しいこともありますね。
対処法は、まずは、ベンチなど座れる場所を探して、張りが治まるまで休みましょう。家に帰ることを優先させて、無理するのは禁物です。通勤中、電車やバスに立っているときなら、できれば席を譲ってもらって座るか、下車して休みましょう」
2.家事をしているとき
「キッチンで立ちっぱなしだったり、掃除で立ったりしゃがんだり、短い時間だと思っていても、意外と体に負担がかかるものです。
対処法は、家事の途中でもおなかが張ったら手をとめて、ソファなどに横になって休みましょう。やりかけの家事は、パパに任せられることだったらお願いして。『言わなくてもわかってくれる』と思わずに、伝えることも大切です」
3.仕事をしているとき
「外回りや立ち仕事だけではなく、座りっぱなしでいるのも体に負担がかかります。また、気が張ってストレスも感じやすいもの。簡単に休息を取れないことも多いので、無理しがちに。仕事だからといって無理は禁物です。
対処法は、横になれる場所があるなら、横になって休ませてもらいましょう。仕事は、いつでも引き継げるように用意しておくことも必要です」
予防することが大事!
「張ったら休むのが基本ですが、まずは、張らないように予防することが大切です。長時間外出するなら、昼食やお茶をする時間をつくり、長く歩かなくていいようにスケジューリングをしましょう。
出かける場所は、座れる場所を見つけやすい所がおすすめ。家事は、パパとの分担を見直すのもいいですね。仕事では、張ったら休めるように職場に相談してみましょう。言い出しにくいなら、産院で出してもらえる『母性健康管理指導事項連絡カード』を利用して、職場に伝えるのもひとつの方法です」
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おなかの張りは、「無理してるから、休んで!」という体のサイン。きちんと予防と対処をして、おなかの赤ちゃんを守れるようになりましょう。(文・たまごクラブ編集部)
■監修/みうらレディースクリニック 助産師 初芝里美さん
■参考/『たまごクラブ』2018年5月号「妊娠時期別『危険なおなかの張りと痛み』流産・早産しないための見分け方」
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。