妊娠中に薬を飲んでも大丈夫?気になる薬と胎児の成長・影響を産婦人科医が解説
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妊娠中でも、必要に応じて薬が処方されることがあります。薬を飲むのが心配だという人もいるかもしれませんが、薬は必要だから処方されるのです。妊娠中に飲める薬はたくさんあります。薬について不安なことがあれば、医師や薬剤師に相談を。
今回は、妊娠中の薬とサプリメントが胎児に与える影響について、産婦人科医の小川隆吉先生に教えていただきました。
妊娠中の薬やサプリメントは、赤ちゃんにどんな影響があるの?
妊娠時期によって、薬の赤ちゃんへの影響は変わってきます。産科医は、妊娠時期を考慮して薬を処方しています。
処方薬は安全なの?
「産科医は、妊娠していることを前提にして、胎児に影響のない薬を処方しています。もしも心配なことがあれば、医師に相談してください」(小川先生・以下同)
妊娠判明前に飲んじゃった市販薬は?
「簡単に手に入る市販薬の場合、ほとんど問題ありません。念のため、産科の主治医に、いつ何をどのくらい飲んだのか報告しておきましょう」
産科で処方される主な薬リスト
●子宮収縮抑制剤
子宮の収縮(おなかの張り)を抑え、流産・早産を防ぐための薬。
●鉄剤
重度の貧血を予防するため、鉄分を補う目的で処方されます。
●抗菌剤
細菌やウイルス、真菌などに感染したときの治療薬の総称。
●便秘薬
妊婦さんが便秘の相談をしたときに処方します。
胎児の成長と薬の影響
週数別の胎児の成長&薬の影響は、以下のとおりです。テキストでも同じ内容を解説しています。
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【0~4週】
●胎児の成長:2週で受精し、3週で着床します
●薬の影響と注意点:赤ちゃんへの影響はほとんどなし!
まだ赤ちゃんの体はつくられていないので、この時期に飲んだ薬の影響はほとんどありません。
【5~8週】
●胎児の成長:器官形成期
赤ちゃんの中枢神経や、心臓、目、手足など、重要な器官が形成される時期です。
●薬の影響と注意点:薬の影響に最も敏感な時期
重要な器官を形成している最中で、薬の影響を最も受けやすい時期です。
【9~12週】
●胎児の成長:手足などの形成期
重要な器官の形成は終わりましたが、手足の指、耳、口などこまかい部分を形成中。
●薬の影響と注意点:油断は禁物。引き続き注意が必要
こまかい部分が形づくられているので、不要な刺激は避けたいもの。引き続き注意が必要です。
【13~16週】
●胎児の成長:器官形成はほぼ完了
器官形成はほぼ終わりました。ただ、外性器などはまだ形成されている時期です。
●薬の影響と注意点:薬が器官形成に与える影響はごくわずか
薬が器官形成に与える影響はごくわずか。とはいえ、まだ形成中の器官も。薬の使用には関心を向けていてください。
【17週以降】
●胎児の成長:器官形成が終わり機能が発達
器官の形成は終わり、今度は各器官の働きを充実させる時期に入ります。
●薬の影響と注意点:薬が催奇形性につながる心配はなし
薬が赤ちゃんの器官の形態に影響を及ぼす(催奇形性)時期は過ぎましたが、機能の発達に影響を与える薬への注意が必要。
妊娠初期を中心に妊娠17週未満は、胎児の重要な器官をつくる大切な時期。薬やサプリメントを使用する際は、医師の指示のもと、正しく服用しましょう。処方薬は、必要に応じて出されるものなので心配せずに使って大丈夫です。自己判断で処方薬を飲まないと、症状が悪化してしまうこともあるので注意しましょう。(文・たまごクラブ編集部)
■監修:小川クリニック 院長 小川隆吉先生
日本医科大学卒業。同大学産婦人科講師、都立築地産院産婦人科医長を経て、1995年より現職。セックスカウンセラーセラピスト協会会員、日本不妊学会会員。
■参考:たまひよブックス「いつでもどこでもHAPPY妊娠・出産ガイドBOOK」(ベネッセコーポレーション刊)