知っておきたい子宮頸管無力症のこと なったら出産までどうなるの?
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子宮頸管(しきゅうけいかん)とは、子宮の入り口である内子宮口から腟につながる外子宮口までの部分をいいます。この子宮頸管が、妊娠中に自覚症状なく突然開いてくるのが子宮頸管無力症(しきゅうけいかんむりょくしょう)。
どんな場合に起こるのか、もしなってしまったらどうすればいいのか、流産や早産につながってしまうのか、日本赤十字社医療センターの笠井靖代先生に聞きました。
子宮頸管無力症とは?
子宮頸管無力症は、流産や早産を引き起こす原因の一つと言われています。
出産時、子宮が収縮して起こる陣痛とともに子宮口が開き、赤ちゃんは子宮頸管を通って生まれてきます。通常、妊娠中の子宮頸管はしっかりと閉じておなかの赤ちゃんを支えていますが、妊娠後期に入るころからお産に備えて徐々に柔らかくなり、子宮頸管の長さも短くなっていきます。
ところが、まだ子宮口が閉じていなければならない時期に子宮口が開いてしまう病気を子宮頸管無力症と言います。
子宮頸管無力症はどんな病気?
子宮頸管無力症は自覚症状がないため、妊婦健診で診断されることがほとんどです。
超音波検査で、子宮頸管が短くなっている、内子宮口が開いている状態が確認され、さらに子宮収縮がない、子宮や腟での感染がない、などさまざまな所見を総合的にみて、子宮頸管無力症と診断します。
なりやすい人はいるの?
子宮頸管無力症の原因はまだはっきりわかっていませんが、生まれつき子宮頸管の組織が弱いことが原因の一つといわれています。
また過去に子宮頸部円錐切除術などの手術を経験したことがあると、リスクが上がるともいわれています。さらに、過去の妊娠で子宮頸管無力症を経験したことがある人は、次の妊娠でも起こる可能性が非常に高くなるので、注意が必要です。
子宮頸管無力症になったらどうなるの?
子宮頸管無力症と診断された場合、流産や早産の引き金になるため、慎重に経過を診ていきます。
妊婦さんは安静を指示されますが、子宮頸管無力症の重症度や妊娠時期によっては、入院、手術をすることもあります。
入院はする? しない?
子宮頸管無力症のいちばんの治療は「安静にすること」。安静にするとおなかの張りが治まる、子宮頸管の長さにまだ余裕がある場合などは、自宅安静を指示されます。
一方、点滴などの投薬が必要な場合、継続的な観察や治療が必要な場合、上の子がいるなど家庭の事情で自宅安静が難しい場合は、入院安静になります。
手術はする? しない? するとしたらどんな手術?
子宮頸管が短くなり、早産につながるリスクが高いと診断された場合は、子宮口を縛る子宮頸管縫縮術という手術を行うことがあります。
手術は、内子宮口の高さで縛るシロッカー法と外子宮口の高さで縛るマクドナルド法があります。手術を行った場合、赤ちゃんが十分に成長する妊娠36〜37週ごろに抜糸をし、お産を待ちます。
お産はどうなるの? 赤ちゃんへの影響は?
子宮頸管が短いまたは、子宮口が開いているような状態でお産になった場合、分娩そのものにかかる時間は短くなることが多いでしょう。
また、赤ちゃんは出産予定日より早めに生まれることも多いですが、正期産前後のお産であれば、おなかの赤ちゃんへの影響はありません。
子宮頸管無力症を体験したママの体験談
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「やっと35週まで来ました。外出できないから毎日家で引きこもり。以前のストレス発散法は運動だったから、今はストレスの発散方法がわかりません。暇すぎて時間の使い方がわからず、精神的にきついなー」
「妊娠6カ月で子宮頸管無力症と判明。NICUのある大学病院に緊急搬送されました。臨月までの3カ月以上、寝たきりで24時間張り止めの点滴につながれ、洗髪も週1回。点滴の副作用もあり、本当につらかったです」
「20週で突然、子宮頸管無力症と診断されました。そのときの子宮頸管の長さは1cm。自覚症状もなかったので、ただただ驚くばかりでした」
子宮頸管無力症の発症率は高くはないものの、自覚症状がないため、もしもなったらと思うと、不安になりますね。でも定期的に妊婦健診を受けて早期に発見し、しっかり管理すれば、妊娠を継続して元気な赤ちゃんを産める可能性は高いものです。トラブルを未然に防ぐためにも、健診はしっかり受けましょう。
(文/たまごクラブ編集部)
■文中のコメントは口コミサイト『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。