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「常位胎盤早期剥離」は赤ちゃんとママの命にかかわる重大なトラブルです!

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「常位胎盤早期剥離」はこれといった前触れもなく、突然発症して、急激に進行します。そして、ママと赤ちゃんの生命に危険が及ぶ心配があります。
もしものときに早期発見・早期治療をして、無事に出産できるように、ママ自身が知っておきたいことを東峯婦人クリニック院長の松峯寿美先生に聞きました。

関連:妊娠中に出血!母子健康手帳にメモする5つのこと&産院に行くべき症状は?

常位胎盤早期剥離の主な症状や、発症しやすい時期を知っておきましょう

常位胎盤早期剥離とは、分娩前に胎盤の一部がはがれてしまう病気。赤ちゃんは胎盤を通じて母体から酸素を受け取っているため、分娩前に胎盤がはがれてしまうと、命にかかわる緊急事態に陥ります。
また、胎盤剥離が進むと、母体も出血によるショック症状を起こす危険があり、一刻も早い処置が必要です。発症率は全妊娠の1%。だれにでも起こるトラブルではありませんが、発症のビークは妊娠34週とされるため、この時期は注意が必要です。
常位胎盤早期剥離の約7割が早産による低出生体重児として生まれています。

常位胎盤早期剥離って、どんな状態になるの?

分娩前に胎盤がはがれてしまうと、ママも赤ちゃんもダメージを受けます。赤ちゃんに酸素が届かなくなり、ママのほうも子宮内の出血によってショック症状を起こし、血液が固まりにくくなる播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)という合併症を起こす危険が。
ママと赤ちゃんの命を救うためにも、一刻も早く緊急帝王切開を行う必要があります。

妊娠34週が発症しやすいピーク

常位胎盤早期剥離を発症しやすいのは妊娠28~34週ごろ。この時期は羊水(ようすい)が急激に増えるのと同時に、赤ちゃんがぐんぐん成長して、子宮が大きくなるため、おなかが張りやすくなります。また、羊水の急増とともに、子宮の内圧のバランスが崩れやすいのではないかと考えられています。28週以降はちょうど安定期なので、ママたちは油断しがちですね。
でも、おなかが張りやすいときは無理をしてはいけないサインと考えましょう。ちなみに、妊娠20~25週ごろは常位胎盤早期剥離は起こりにくいのですが、妊娠全期間を通して、おなかが張ったら無理をしないように注意してください。

もしものときに早期発見できるように、主な症状を知っておきましょう

Halfpoint/gettyimages

常位胎盤早期剥離の症状は、切迫早産(せっぱくそうざん)や前駆陣痛(ぜんくじんつう)とよく似ています。急激な下腹部痛や、持続的な子宮収縮、少量の出血、「板状硬(ばんじょうこう)」といって、おなかがカチカチにかたくなるのが、よく見られる症状です。
一方、これといった症状がない人たちもいて、全体の25%が無症状のまま発症しています。痛みや出血がなくとも、突然、胎動が減少したときは注意が必要と覚えておきましょう。

常位胎盤早期剥離の主な症状

いったん胎盤がはがれ始めると、じわじわと進行して、ママと赤ちゃんの命にかかわるのが常位胎盤早期剥離のこわいところ。
もしものときに早期発見できるように、典型的な症状を知っておきましょう。そして、「いつもと違う」と感じたときには、直ちに産院に連絡を。

<典型的な症状>
●急激な下腹部痛がある
●持続的な子宮収縮がある
●強烈な痛み&おなかが板状にかたくなる
●性器出血が見られる
●血液の混じったおりものが見られる

出血があるケースと、ないケースがあります

常位胎盤早期剥離の初期段階は、胎盤と子宮の壁の間がうっすらとはがれている状態。ほんの数ミリの剥離面からの出血はごく少量のため、血性のおりものが下着につく程度です。
とはいえ、出血が見られたら症状が進んでいるサイン。大量の出血が見られることはありませんが、妊娠28以降に突然の出血が見られたときには。常位胎盤早期剥離の可能性もあることを知っておきましょう。

これといった症状がなくても、胎動が感じられないときは要注意

ママ自身がおなかの赤ちゃんの元気度をチェックするには、胎動がいちばんの目安。
赤ちゃんが寝ていて胎動を感じない時間帯もありますが、食後や家事の合間、入浴後などに30分ほどのリラックスタイムを持ち、赤ちゃんの胎動を数えてみましょう。胎動が数回あれば大丈夫。
ママ自身に痛みや出血などの自覚症状がなくとも、子宮内で胎盤がはがれると、子宮内胎児死亡につながる心配があります。赤ちゃんの生命を守るためにも、「いつもと違う」と異変を感じたら産院に相談を。

“10カウント”で胎動チェックを

ゆったりとリラックスしてソファやいすに座って、赤ちゃんの胎動を数えてみましょう。おすすめは20分間に胎動を10回感じればOKとされる“10カウント”。
赤ちゃんの存在を感じる時間を持つことが大切です。赤ちゃんが眠っている場合もあるので、胎動を感じにくいときは60分くらいかけて行ってみましょう。

常位胎盤早期剥離が起こる原因は? 診断されたらどうなるの?

以前は「妊娠高血圧症候群」を背景にして起こるケースが多い」と考えられていました。しかし、日本産科婦人科学会のデータによると、妊娠高血圧症候群を原因として発症するケースは全体の10~15%程度であることがわかってきました。
もちろん、妊娠高血圧症候群も原因の一つであることは間違いなく、喫煙も影響するとがわかっています。ただ、原因不明のケースも多々あり、現時点では解明されていません。

妊娠高血圧症候群以外に、わかっている原因はあるの?

常位胎盤早期剥離の原因は不明なことが多いのですが、高血圧などの生活習慣病が誘因になることが少なくありません。そして、外傷が原因となるケースもわりと多いのです。
たとえば、大きなおなかで自転車に乗って、バランスをくずして転倒したら一大事。自動車や自転車などの衝突、転倒しておなかをぶつけるなどの外傷によって、常位胎盤早期剥離を引き起こす危険もあります。外出時は慎重に行動しましょう。

どんな検査で診断されるの?

妊娠28週以降の妊婦さんが急激な下腹部痛、持続的な子宮収縮、おなかが張ってカチカチにかたくなる、出血が見られるなど、いずれかの症状を訴えて受診した場合は、常位胎盤早期剥離の心配がないかどうかを必ずチェックします。
まずは超音波検査で胎盤がはがれていないかを詳しく調べて、NST(ノンストレス)検査で、赤ちゃんの心音と母体の子宮収縮の状態をチェックします。もしも常位胎盤早期剥離と診断したら、直ちに緊急帝王切開で赤ちゃんを取り出さなくてはいけません。妊娠35週以前の人たちは、NICU(新生児集中治療室)がある大規模施設に母体搬送されるでしょう。

「もしや…」と思ったら、どうしたらいい?

常位胎盤早期剥離は、いったん発症すると短時間で進行します。出血が見られた場合にはトラブルを疑って受診する人が多いため、早期発見につながるケースが多いようです。
しかし、「おなかや腰の痛みや張りがあるものの、出血は見られない」という場合、生理的な子宮収縮がどうか、自分では判断が難しく、受診を迷っているうちにどんどん進行してしまう恐れが。万一、胎盤の剥離面からの出血が子宮内にたまって重症化すると、母子ともに生命の危険が迫った状態です。
「もしかして」と思ったら、すぐに産院に相談しましょう。場合によっては、救急車を要請することも検討されます。

発症したら、出産はどうなるの?

一刻を争う状態なので、診断後は間髪を入れずに緊急帝王切開を行って、赤ちゃんをママの子宮から取り出します。一般的には、36週を過ぎていれば、かかりつけの個人産院で帝王切開することが可能です。
しかし、ママに合併症があったり、妊娠28~35週の場合は、NICUのある周産期センターを備えた施設に母体搬送されることになるでしょう。

妊娠中のママが自分でできる予防法は?

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「こうすれば、常位胎盤早期剥離を予防できる」という方法はありません。ママが注意できることがあるとすれば、それは日ごろから胎動を気にかけることです。「いつものように元気に動かない」など、もしもの異変を察知することが早期発見につながります。また、やみくもに不安がるのではなく、発症しやすい時期を覚えておきましょう。生活習慣を見直して、すこやかな生活を送ることも胎盤の健康に保つことにつながります。
最近では、妊娠全期間を通して、葉酸を含むビタミン剤を服用すると常位胎盤早期剥離の発症が減少するとのデータがあります。

日ごろから胎動を気にかけましょう

10回の胎動を感じるのに、どの程度の時間がかかるか“10カウント”でチェックしてみましょう。20分間に10回胎動を感じれば、赤ちゃんが元気なサイン。赤ちゃんが眠っている場合もあるので、計測は60分くらいかけて行ってみてください。
もしも“10カウント”を試しても胎動が感じられない時間が2~3時間続くなどして、判断に迷ったときは産院に相談を。

発症しやすい時期は妊娠28~32週と覚えておいて

羊水が急激に増加する妊娠28~32週は、おなかが張やすい時期。とはいえ、生理的な張りなのかどうか、自分では判断するのが難しいときも。判断に迷ったときは産院に相談を。

血流のよい体づくりをして、胎盤を健康な状態に

ママがちょっぴり無理をしたからと、胎盤のトラブルに直結するわけではありませんが、やはり妊娠中は自分1人だけの体ではないという自覚を持って、無理しないように過ごしましょう。
疲労や精神的ストレス、激しい労働などは避けるべきです。ママ自身が根性で持ちこたえたとしても、赤ちゃんに影響を及ぼす可能性もあるということを知っておいてほしいです。胎盤を通して、赤ちゃんにたっぷりの酸素や栄養が届くように、体の冷えを予防するとともにリラックスを心がけ、血流のよい体づくりをめざしましょう!

常位胎盤早期剥離を経験したママたちの出産体験談

常位胎盤早期剥離を経験したママたちに、診断から出産までの経緯を教えてもらいました。

「妊娠8カ月半に突然の出血。産院の先生に電話すると「すぐにおいで」と言ってくださり、常位胎盤早期剥離と判明。直ちに紹介先の病院に向かい、到着してすぐに緊急帝王切開で無事に出産できました」

「私が高年出産のためか、常位胎盤早期剥離で緊急帝王切開することに。小児科医にも立ち会ってもらえて、わが子は産後すぐにNICU(新生児集中治療室)に入院できたので、心強かったです」

「わが子は胎児仮死で生まれましたが、産婦人科と小児科の先生に助けていただきました。病院内にNICUがあったおかげで、私たち親子は救われました。個人産院だったら今の私たちはなかったと思います」

「大量出血のため、あまり記憶がありません。緊急搬送先のスタッフが迅速な処置をしてくれて、命拾いしました。赤ちゃんは胎児仮死で、産道にはさまったひざ下が真っ青。無事が確認できて、ひと安心しました」

常位胎盤早期剥離は発症率が少ないトラブルですが、いったん発症すると止めることができません。もしものときは妊娠週数にかからず、緊急帝王切開でお産するため、早産になります。
発症しやすい時期は妊娠28週~34週。持続的な子宮収縮、激しい痛み、胎動の減少などを感じたときは、迷わず産院に相談を。
(文/大石久恵、たまごクラブ編集部)

監修/松峯寿美先生(東峯婦人クリニック院長)

関連:【動画】妊娠中の危険サイン おなかの張り・痛み あった場合の行動マニュアル

■文中のコメントは口コミサイト『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。

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