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【医師監修】毎年1万人がなっている「子宮頸(けい)がん」。原因と症状、予防法と治療の最新情報をチェック

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男性と女性の手で押して、テーブル
lolostock/gettyimages

一度でもセックスの経験があれば、誰でも発症する可能性がある「子宮頸がん」。国内では毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、うち約3000人が死亡しています。しかし、早期に発見できれば、ほぼ確実に治る病気でもあります。子宮頸がんの原因から症状、治療法まで、東京大学医学部産婦人科学教室主任教授・藤井知行先生に聞きました。

子宮がんの約7割が「子宮頸(しきゅうけい)がん」です

「子宮頸がん」は子宮の下部にある管状の部分「子宮頸部(しきゅうけいぶ)」に生じるがんのことで、子宮がんの約7割程度を占めます。原因のほとんどは「ヒトパピローマウイルス(以下、HPV)」というウイルスの感染であることがわかっています。HPVはセックスにより子宮頸部に感染します。

以前は発症のピークが30~40歳代でしたが、最近は若い女性に増えており、現在は30代がピークとなっています。
国内では毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、うち約3000人が死亡しています。2000年以後、患者数・死亡率ともに増加傾向にあります。

しかし、子宮頸がんは早期発見できれば、ほぼ確実に治る病気でもあります。それだけに、検査を定期的に受けてチェックすることがとても大切です。

性的接触が原因だけど「性感染症」ではありません

HPVがセックスにより感染することから、子宮頸がんを性感染症の1つと考える方がいますが、それは間違いです。ましてや性病ではありません。

HPVは男性にも女性にも感染するありふれたウイルスです。その種類は100以上あり、がんを引き起こしやすい危険なものから、心配のないウイルスまでさまざまです。セックス経験のある女性のほとんどが、一生に一度は感染すると言われています。

ただ、HPVに感染しても、90%の人は免疫の力でウイルスが自然に排除されます。ところが10%の人はHPV感染が長期間持続し、このうち自然治癒しない一部の人が「異形成(いけいせい)」と呼ばれる子宮頸がんの前段階を経て、数年以上かけて子宮頸がんに進行してしまうのです。

男性はなぜHPVに感染してもがんにならないの?

男性器(ペニスなど)は体の外に出ているため、HPVが付着しても洗うことができます。HPVは界面活性剤に弱い特性があり、石けん(界面活性剤)で洗い流すことができるのです。
しかし、腟や子宮など女性器の多くは体内にあるため、石けんで洗うことができません。そのため、HPVによる感染が持続してしまうのです。

主な症状はおりもの異常、不正出血、性行為時の出血、下腹部痛など

子宮頸がんは一般的に、早期にはほとんど自覚症状がありません。進行するに従って、異常なおりもの(茶色だったり悪臭を伴うなど)、月経以外の出血(不正出血)、性行為の際の出血、下腹部の痛みなどが現れます。腰痛や足にかけての痛み(下肢痛:かしつう)、血尿、血便、排尿障害が現れることもあります。

子宮頸がんを予防するには、20歳を過ぎたら2年に1回の子宮頸がん検診を受けることが基本です。もし、上記のような症状を少しでも感じたら、早めに婦人科を受診しましょう。

HPVが「尖圭(せんけい)コンジローマ」を引き起こすことも

一部のHPVに感染すると、「尖圭(せんけい)コンジローマ」という病気を発症することがあります。
この病気は外性器、尿道口、肛門やのどなどに、乳頭状のイボができます。症状は軽いかゆみ程度で、自覚症状がほとんどないのが特徴です。多くは良性で自然治癒するケースもありますが、治療が必要になることもあります。

母親がこれに感染していると、赤ちゃんが産道を通る時に感染し、生後1〜3年でのどにイボができる「咽頭乳頭腫(いんとうにゅうとうしゅ)」などを発症させてしまうことがあります。帝王切開で出産することにより、赤ちゃんへの感染を低減することができます。

「子宮頸がん」のみならず「尖圭コンジローマ」を防ぐためにも、検診を受けるようにしたいですね。

検査は痛みはほとんどなく、当日の入浴もOK

検査は「細胞診(さいぼうしん)」と呼ばれる手法で行われます。子宮の入り口付近をブラシなどでこすって細胞を集め、顕微鏡でがん細胞などを見つける方法です。
細胞を採取する際に出血が伴うことがありますが、痛みはほとんどありません。検査後に注意する点も特にはなく、その日に入浴しても大丈夫です。

細胞診で子宮頸がんの前段階や子宮頸がんの疑いがあった場合は、専門の施設でさらに詳しい病理組織検査を行います。
子宮頸がんの病気の発生の過程は、がんの前の段階である「異形成」、子宮頸部の表面だけにがんがある「上皮内(じょうひない)がん」、そして周囲の組織に入り込む「浸潤(しんじゅん)がんに分類されます。病理組織検査でどの段階にあるのかも診断します。

子宮頸がんワクチンが最も効果があるのは10代、20代

検診は、子宮頸癌の重要な予防法ですが、あくまでも病気で死ぬことを予防するためのもので、病気になること自体を防ぐものではありません。子宮頸がんについては、病気になること自体を予防する方法があります。それが「子宮頸がんワクチン(以下、HPVワクチン)」を打つことです。現在、世界の70カ国以上で、国のプログラムとして接種が行われています。

日本で承認されているHPVワクチンは、発ガン率の高いHPV「16型」「18型」の感染を予防する「2価ワクチン」と、この2つに加えて「尖圭(せんけい)コンジローマ」の原因になる「6型」「11型」の感染も予防する「4価ワクチン」の2つがあります。どちらも子宮頸がんの予防効果は同じで、3回の摂取が必要です。

費用は医療機関によって異なりますが、3回で合計5万円前後です。年齢が限定されますが、後述する通り、公費助成も受けられます。効果は20年以上続くと予測されていますが、HPVワクチンを接種した方も、子宮頸がん検診を受けることがすすめられています。

ただし、HPVワクチンは、すでにHPVに感染している細胞からHPVを排除する効果は認められません。したがって、初めてセックスを経験する前に接種することが最も有効です。セックスの経験があっても25 歳くらいまでは効果があると言われています。

子どものワクチン定期接種についても考えておこう

日本ではHPVワクチンは2009年に承認され、2013年4月より定期接種となっています。しかし、接種後に慢性の痛みや関節痛など多様な症状が生じたとする報告があり、2013年6月より自治体による積極的勧奨は差し控えられています。
とは言え、定期接種としての位置づけに変化はなく、中学1年~高校1年の女子を対象に無料接種が行われています。

多様な症状とワクチンとの因果関係について、科学的な証拠は示されておらず、またワクチンを打っていないお子さんにも同じ頻度で同様の症状がでていることがわかっていますが、症状に対する不安から、多くの親御さんが定期接種を受けさせていないのが現状です。
その一方で、HPVワクチン摂取をしている国では、子宮頸がんの発症が減っているのも事実です。ワクチン接種が最も進んでいるオーストラリアでは、2028年には子宮頸がんが撲滅できる見込みがあると発表しています。

自分の子どもが中学生になった時、HPVワクチンの摂取を受けるのか受けないのか、各親の判断になるため、非常に迷っている人が多いのが現状です

子宮頸がんと診断されたら、どんな治療をするの?

子宮頸がんの治療方法は、「手術療法」「放射線療法」「化学療法(抗がん剤)」の3つを、単独もしくは組み合わせて行います。病気の進行状況や年齢、治療後の妊娠希望の有無、持病の有無などを総合的に考え、最適な治療法を選択します。

がんになる前の「異形成」や、子宮頸部の表面だけにがんがある「上皮内がん」の段階で見つけることができれば、子宮を失うことなく完治することが可能です。
周囲の組織に入り込む「浸潤がん」の場合、以前は子宮を全摘出するしかありませんでしたが、今は技術の進歩により、がんがある場所や症状などによっては子宮の一部切除で済むケースもあります。
いずれの場合でも、切除した場所によっては流産・早産の確率が高くなります。

先輩ママの体験談「私が子宮頸がんになって感じたこと」

セックスで出血が続いたので受診したら…

「セックスをしたら出血し、数日後の2回目でも出血。不安になって、翌日に病院で子宮頸がん検診を受けました。2週間後、軽度異形成という通知が届きました。現在、生理中なので、生理が終わったらもう一度検診に行こうと思っていますが不安です」

自覚症状なし。定期検診を受けてなかったら見逃してた!

「30歳以降、毎年子宮頸がん検診を受けていて、34歳で初めて検査に引っかかりました。検査の結果、軽度異形成でした。自覚症状がなく自分では気づかなかったので、検診を受けていて良かったと心から思います!子宮頸がんは20~30代も多いと聞いたことがあるので、定期検診は本当に大事だと実感しました」

円錐(えんすい)切除手術で出産も可能に

「30歳、出産経験ありです。市の子宮頸がん検診で引っかかり、中度異形成であることがわかりました。“様子見でいい”と言われたので、3ヶ月おきくらいに検査を2年ほど続けましたが、高度異形成に移行したので手術をしました。
円錐(えんすい)切除という一部だけを取る手術で、あっという間に終わり、出産も大丈夫と言われました。ホッとしました」

早期発見だったため、がんをぜんぶ取り切れました!

「18歳の頃に検査で引っかかり、軽度異形成と正常を行ったり来たりで、その歳から年に一度検査をしています。21歳で1人目、24歳で2人目を出産。28歳の時に高度異形成で円錐切除手術を受けました。詳しく調べたところがん細胞が見つかり、お医者様から “早く手術したからぜんぶ取り切れた。良かったね”と言われました。その後も定期検査を受けていて、今まで問題はありません。
大事なのはきちんと検査に行くこと。最低でも年に一度は行った方がいいと思います。そうすれば何かあっても早期発見できますし、その後の妊娠・出産も問題ないとお医者様もおっしゃっていました」

子宮頸がんは早期のうちに治療すれば治癒率も高く、子宮を温存できる可能性が十分ありますが、進行がんになると再発率・死亡率が高くなってしまいます。子宮頸がん検診で早期発見し、早期治療を受けることが何より重要です。
気になる症状がある場合や、ワクチン・検診について尋ねたいことがある場合は、ためらわずに婦人科の専門医に相談してください。
(取材・文/かきの木のりみ)

■文中の体験談コメントは口コミサイト『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。

監修/藤井知行 先生

初回公開日 2019/11/3

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