【コロナで病院に行けない】妊娠中の「NG&危険なおなかの張り・痛みの見分け方」を公開
おなかの張り・痛みは多くの妊婦さんが経験する症状。生理的なものもありますが、中には危険なものも。初めての妊娠は、わからないことだらけ。本来でしたら主治医に相談したいことも、今の状況では難しいという人がいるかもしれません。そこで妊婦雑誌「たまごクラブ」は、本誌記事のなかから妊婦さんに役立つと思われる記事をお届けします。
東京都・昭和大学江東豊洲病院 周産期センター長、教授の大槻克文先生に聞きました。
おなかの張りが続くと流産・早産につながることも
おなかの張りは子宮が収縮して起こるもの。“子宮がキューッとかたくなる”“おなかの中で風船をふくらませた感じ”“痛みがある”という症状が現れます。
安静にして治まるようであれば生理的な張りですが、“強い”“長い”“規則的”な張りの場合は、陣痛につながる可能性が! とくに妊娠37週未満は、流産・早産につながる恐れも。
おなかの張り・痛みの主な原因
おなかの張り・痛みには「だれにでも起こりやすい生理的なケース」と「少数だけど危険なケース」があります。それぞれの原因を見てみましょう。
だれにでも起こりやすい生理的なケース
●子宮が大きくなるときの生理的な現象
子宮は筋肉が伸び縮みしながら大きくなるため、この収縮が張りにつながることも。妊娠28~30週ごろから頻繁に起こりますが、張りや痛みの間隔が不規則で、安静にしていれば治まります。
●赤ちゃんが動いたことによる刺激
筋肉は動くと、収縮する性質があります。子宮は筋肉でできているため、おなかの赤ちゃんが動く胎動などにより腹部に強い刺激を感じると、子宮が緊張して張りを感じることもあります。
●ストレス・疲労・動きすぎ・体の冷え
長時間の立ち仕事や、過度な運動などは子宮に負担をかけ、おなかが張る原因に。また体が冷えたり、強いストレスを受けると血流が悪くなり、子宮が収縮しやすくなります。
少数だけど危険なケース
●絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)
「腟炎(ちつえん)」や「子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)」を発症し、
細菌が卵膜(らんまく)まで達して炎症が起こる症状。おりものの色やにおいの異常が、前兆の場合も。強い子宮収縮や破水を招き、流産・早産につながる恐れが。
ほかにもこんなケースで起こることも
子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)がある、膀胱炎(ぼうこうえん)、尿路感染症、便秘などで張りが起こることがあります。
緊急度の見分け方チャート
まずは、様子を見てもいい張り・痛みか、受診したほうがいい張り・痛みか、目安をまずは知ることが大事です。上記のチャートを見てチェックしてみてください。
おなかの張り・痛みは出血がなく、30分ほど休んで治まる場合には問題ないことがほとんど。ただし、“強い”“長い”“規則的”な張り・痛みを感じたら注意が必要です。
すぐに産院へ電話をして
・いつから張っているか
・張りや痛みの強さや持続時間
・いつもの張りとの違い
・ほかの症状の有無
を伝えましょう。
監修/大槻克文先生 文・たまごクラブ編集部
■参考:『たまごクラブ2019年12月号』「冬ニンプにいち早く気づいてほしい赤ちゃんからの危険サイン5」
大槻克文先生
Profile
東京都・昭和大学江東豊洲病院
周産期センター長、教授
昭和大学医学部卒業。昭和大学病院病棟医長、昭和大学医学部産婦人科教室医局長などを経て、2014年から現職。救急搬送の妊婦さんも数多く受け入れています。