どうしたらいいの?と悩む人増、新型出生前診断(NIPT)の疑問を聞く【産科医に聞く】
おなかの赤ちゃんに生まれつきの病気があるかどうかを調べるのが出生前診断。その中でも新型の出生前診断として2013年から実施され、最近検査を受ける人が増えているのがNIPTです(母体血胎児染色体検査)。確定診断ではなく、結果をどう捉えるかなどセンシティブな要素を多分に含む検査なので、受ける前にしっかり理解しておくべきことがあります。NIPTの検査内容や、精度など、くわしく紹介します。
NIPT(母体血胎児染色体検査)ってどんな検査?
母体の血液に浮遊するDNA断片を分析し、3種類の染色体疾患の可能性を判断します。判定は「陽性」「陰性」と出ますが、陽性と出ても染色体疾患ではない可能性があるため、確定診断のために羊水検査を受けます。一方、陰性と出たら染色体疾患の可能
性は極めて低いということになります。検査は妊娠10~16週ごろに行い、結果が出るまでに1〜2週間かかります。費用は18万~20万円程度。
NIPTについてもっと詳しく知りたい!Q&A
Qだれでも受けられますか?
A年齢制限などはありません
検査は基本的にだれでも受けられます。これまでは分娩時に35才以上、あるいは超音波検査などでなんらかの所見がある、染色体疾患のお子さんの出産歴がある人など条件がありましたが、年齢制限がなくなりました。
Q「陽性」と判定が出たら
どうすればいいの?
A確定診断ではないので、羊水検査で確定診断を受けてください
確定の診断を受けるためには、羊水検査を受ける必要があります。NIPTを受ける前に、このことを十分知っておきましょう。羊水検査の結果が出るまでには約2週間かかるため、妊娠16週までにはNIPTを受けておきましょう。
Q検査の精度は高いの?
A「陽性」の的中率は、ママの年齢によって違います
「陽性」的中率はママの年齢によって違い、高年齢になるほど高くなります。40才以上で95%、35才以上で80%ですが、30才で60%とあまり高くありません。ママが若ければ、「陽性」と出ても実は疾患はなかったという可能性も。
Qメリット、デメリットについて教えて!
A メリットもデメリットも大きい
メリット
母体血清マーカー検査などと比べると、陽性的中率が比較的高いこと、そして血液検査だけなので、おなかに直接、針を刺す羊水検査のような流産のリスクがないことがメリットと言えます。
デメリット
確定診断ではないことと、自費診療のため高額であることでしょう。また、結果によっては不安や心配が起こり、確定診断の羊水検査を受けるまで待つ間や、羊水検査の結果を待つ間の精神的な負担は少なくありません。確定診断を受けて妊娠の継続に迷う場合も。
Q認定外の施設で受けてもいいですか?
A認定施設で責任を持った対応をしてもらいましょう
最近、産婦人科以外の施設でNIPTを実施しているところが増えています。受けてはいけないわけではありませんが、認定施設できちんと遺伝カウンセリングを受け、内容を理解した上で検査を受けることが望ましいです。羊水検査が必要になった場合、妊娠の継続に迷う場合などは、体制の整った施設で対応してもらう必要があります。
監修/笠井靖代先生 取材・文/樋口由夏、たまごクラブ編集部
NIPTは血液検査のみでわかるためとても便利ですが、気軽な気持ちで受ける検査ではありません。検査を検討するときは、「陽性」と出た場合はどうするかというところまで夫婦で十分に話し合っておくことが大切です。認定施設ではNIPTを受ける人は必ず遺伝カウンセリングを行っています。迷ったら、周産期センターなどに併設された遺伝相談外来、出生前診断外来で遺伝カウンセリングを受けましょう。
「初めてのたまごクラブ」2021年冬号にはNIPT以外の出生前診断の最新情報もわかる「『出生前診断』についてきちんと知っていますか?」特集があります。