出生前診断を受ける前に〜羊水検査のこと、きちんと知っておきましょう
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「出生前診断」とひとことでいっても、いろいろな検査があります。大きく分けても、異常があるかどうかの可能性を知る「非確定検査」と、正確な診断がつく「確定検査」があります。
羊水検査は、「確定検査」の中の一つです。羊水検査とはどのようなものなのか、日本赤十字社医療センターの笠井靖代先生に聞きました。
出生前診断ってどんなもの?
羊水検査は、出生前診断の検査方法の一つです。
出生前診断とは、おなかの赤ちゃんについて生まれつきの病気の有無を調べる検査で、本来は、妊娠中に病気を見つけ、安全な分娩方法を考え、出生後の治療や育児の準備につなげるためのものです。そういった意味では、妊婦健診で行われる超音波検査もある種の出生前診断です。
ただ、現実には「染色体異常」を調べる検査を指すことが多いです。
羊水検査とは?
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出生前検査の中でも、正確な診断がつく「確定診断」として知られているのが、羊水検査です。確定診断といっても、確定できるのは染色体異常に限られています。
ママのおなかから子宮壁(しきゅうへき)を通して子宮内に針を刺し、羊水を採取します。羊水の中に浮遊する赤ちゃん由来の細胞を培養して、赤ちゃんの染色体を調べます。約0.3%の確率で流産につながる可能性があります。
検査を受ける時期と流れはどうなる?
検査は妊娠15〜16週ごろに行います。超音波断層法で赤ちゃんの位置を確認しながら、おなかに針を刺し、羊水を約15〜20ml採取します。羊水内に浮遊する赤ちゃん由来の細胞を培養して、赤ちゃんの染色体異常について調べます。結果が出るまでには、2週間ほどかかります。
検査を検討する前に必ず知っておいてほしいこと
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羊水検査は確定診断になるため、検査を受ける前には、夫婦で十分な話し合いが必要です。また、羊水検査でわかるのは、ダウン症候群(21トリソミー)などの染色体疾患です。すべての病気や異常を確定診断できるわけではないということも、知っておく必要があるでしょう。
さらに、妊婦さんのおなかに針を刺すため、0.3%程度の流産のリスクがあることも知っておきましょう。
高齢出産のママやおなかの赤ちゃんの障がいについて心配なママにとって、羊水検査はとても関心が高いものです。
でも、「安心のため」や「やっておいたほうがいい」と友人からすすめられて受ける検査ではありません。検査を受けるかどうか迷ったら、夫婦で遺伝カウンセリングを受け、羊水検査について理解し、よく話し合いましょう。
(文/たまごクラブ編集部)