無痛分娩なのに「痛かった」のはなぜ? … 産科医・北島米夫のニンプのお悩み相談室
「無痛分娩」だから痛くないと思っのに、実際に経験してみたら痛かったという話が…そんなことあるの⁉
モヤモヤがスッキリ晴れる助言をくれる、と妊婦雑誌「たまごクラブ」編集部員からも絶大な信頼を寄せられる北島米夫先生が、ニンプさんのお悩みをズバッと解決! 悩めるニンプさんに愛あるアドバイスをお届けします
無痛分娩なのに「痛かった」のはなぜ?
無痛分娩を予定している妊婦です。先輩ママの出産体験談で「無痛分娩だったのに痛かった」ということをよく耳にしますが、どうしてですか?
麻酔が効かないことってあるのでしょうか? 体質と関係しますか? 痛みにとても弱いので心配です。(妊娠8カ月のニンプより)
無痛分娩であっても、2〜3割は痛みが残るもの
無痛分娩で使用するのは、脊髄(せきずい)に作用する硬膜外麻酔(こうまくがいますい)です。局所麻酔などの場合は「効かない感じがする」という人が時々いますが、硬膜外麻酔は、効くまでに多少時間がかかることはあっても、効かないということはまずありません。これには体質も関係なし。
ただし、無痛分娩イコール、まったく痛みがないものと期待していると、「無痛分娩だったのに痛かった」という事態が生じるかもしれません。
というのも、無痛分娩であっても2〜3割は痛みが残るからです。完全に痛みをなくしてしまうと、陣痛が弱まってお産が進まなくなるので、医師は”効きすぎず、痛すぎず“のバランスを見ながら、麻酔をかけています。この痛みの感じ方は、カテーテルを挿入する位置によっても、多少変わることがあるようです。
痛みがつらいときは、遠慮せずに医師に伝えよう
ある程度の痛みは、お産を進めるために必要不可欠です。とはいえ、あまりにつらいときは我慢せずに、医師に「痛いから、何とかしてほしい」と伝えましょう。痛みが和らぐ方法を考え、適切に処置してくれるはずです。
多くの場合は、麻酔薬の量や種類を変えることで、かなり改善するでしょう。体力がもたないほどつらいなら、強い陣痛促進剤の投与を一時中断してもらい、休憩するといった方法も考えられます。
無痛分娩をするにあたって、高額な費用を支払っているのですから、何も遠慮することはありません。口にしなければ医師には伝わりませんから、はっきり伝えましょう。それで何もしてくれずに「我慢しなさい」なんていう医師はいませんよ。
先生から最後にひと言
我慢は禁物! 「痛い」と医師に伝えればラクになるよう、適切に処置してくれるはず
監修/北島米夫先生
イラスト/花くまゆうさく 文/たまごクラブ編集部
いかがでしたか? 北島先生の相談室は「たまごクラブ」で好評連載中です。
北島米夫先生
Profile
産婦人科医。日本におけるマタニティスイミング創始グループの一員。ユーモアたっぷりの優しいアドバイスで、ニンプさんからの信頼がとても厚い先生です。