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もしものときも安心!「フェーズフリー」な部屋づくりでいつもの暮らしを快適に【専門家】

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赤ちゃんが生まれ、守るべき命が増えたとき、気になるのは災害時のこと。避難経路や食料などを見直さなければ、と不安に思いつつも、何から手をつけていいかわからない人も多いのではないでしょうか。そこで今注目されているのが、日常も快適で災害時にも安心な「フェーズフリー防災」という考え方。フェーズフリー建築協会理事の建築士・松山千晶さんに話を聞きました。

備えない防災「フェーズフリー」の考え方って?

フェーズフリーな暮らしとは、「日常時」と「非常時」の2つの壁を取り払い、日常時に便利で楽しく暮らしているアイデアを非常時にも安全に過ごせるために役立てようという考え方です。非常時のために特別なグッズや備蓄品などを準備しておくのではなく、日常的に使っているものを非常時にも使うということで、それを少しの発想の転換で実現しようというものです。

「たとえば砂漠で地震が起こっても災害にはなりませんよね。ものが倒れたり、それによってけがをしたりすることで災害になります。だから、日常からできるだけ災害につながらない環境にしておくことが大切です」(松山さん)

とくに、小さな子どもがいる家庭は、地震や火事が起こったときに逃げにくく、地域との情報共有などの面からも災害弱者になりやすい面があります。「だからこそ、フェーズフリーの考え方を知って暮らしに役立ててほしい」と松山さんは言います。

「何かものを買おうと思ったときに『これは非常時にはどんな助けになってくれるかな?』という思考のクセをつけることが大事です。一瞬だけでもそれを考えることで、非常時に身を守るアイデアが浮かびます」(松山さん)

フェーズフリーな暮らしのポイント3つ

普段は忘れがちな防災を、日常生活に取り入れるフェーズフリーな暮らしのポイントを教えてもらいました。

【ポイント1】 部屋のレイアウトは動線を意識した家具配置に

非常時にも安心な部屋のレイアウトのポイントは「避難経路となる動線をさえぎらないこと」と松山さんは言います。

「家具はできればあまり置かず、収納は作り付けにするか、高さがある家具は壁に固定し転倒予防をしましょう。扉がある収納なら見た目もスッキリしますし、地震のときに中身が飛び出さずけが予防にもなります。戸建てなら、この図のように玄関・勝手口・中庭への窓など、外への避難経路を複数確保し、部屋の中で行き止まりにならない、回遊性のあるレイアウトがおすすめです」(松山さん)

マンションの場合は、玄関やベランダに面した窓際に家具を置かないように心がける必要があるようです。

「狭くても通れるから、と家具や荷物を置くと避難経路をふさいでしまうことに。家具を置く場合は、日常的に掃除や片づけがしやすく、家族が動きやすい配置にしましょう」(松山さん)

【ポイント2】観葉植物で自宅に自然を取り込む

おしゃれなインテリアとして楽しむ人も多い観葉植物ですが、実は災害時の心のケアにも役立つのだとか。

「ある健康推進に関する調査では、オフィスにグリーンを置くことで健康づくりと生産性の向上に役立つという報告があり、グリーンを10分間見ることで血圧が正常値になるという結果も出ています。日常時の健康にも役立ち、湿度を調整し冬場の乾燥を防ぐ効果も。非常時の不安な心に、眺めるだけでほっといやしを与えてくれます」(松山さん)

赤ちゃんがいる家庭では、土などの誤飲の可能性があるため、手の届かないところに飾ったり、ウェルカムグリーンの考え方で、玄関に置くなどの工夫をしましょう。高い位置に置く場合は、落下しないように十分注意してください。

【ポイント3】継続できるローリングストックとアイテム選び

フェーズフリー的な食料備蓄は、普段から食べている食材を多めに買っておき、使ったら買いたすローリングストックにすることがポイントです。

「乾パンなどの非常食より、缶詰、レトルト食品、乾物など、家族が好きなものなら非常時でもおいしく食事ができます。とくに、切り干し大根、ひじきなどの乾物は、水で戻して食べられるし、化学調味料を使用していないので小さい子どもの健康面や味覚形成の面からもおすすめです」(松山さん)

また、食料以外の水やトイレットペーパーは、できれば1週間分はストックしておくと安心です。

子育て世帯におすすめなフェーズフリーアイテムは?

そのほかに、子育て世帯におすすめなフェーズフリーアイテムを聞いてみました。

「大きくて軽い薄型テレビは、地震で倒れやすく危険なので、壁かけにできるならば検討しましょう。思い切ってテレビは置かず、プロジェクターを導入するのもおすすめです。小さな子どもはテレビをたたいてしまうことがありますが、プロジェクターにすればその心配もなく、収納家具も必要なくなります。最近はスマホにつなげる小型タイプのものもあるので、TVのアプリやYouTubeなどを壁に投影して見ることができます。家族でシアター気分で映画を楽しむのもいいですね」(松山さん)

お話・監修・写真・イラスト提供/松山千晶さん 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

毎日の生活を楽しく暮らしやすくすることが、非常時への対応力を高めることにつながります。子どもの成長にともなって新たなアイテムを購入するときには、非常時にそれがどんなふうに役立つか考えてみるといいですね。

松山千晶さん(まつやまちあき)

Profile
福岡大学法学部卒業。文系大学出身からのジョブチェンジ。 インテリアコーディネーター、二級建築士を経て、設計事務所で修業を積み、2018年7月にゆくり設計室を開業。2016 年からフェーズフリー建築協会理事として活動。主に子育て世代に向けたフェーズフリーな家づくりを提唱。

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