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ガーン、シクシク…。発達が気になる子とのコミュニケーションのコツはオノマトペ【専門家】

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感情を表す日本の擬人化
※写真はイメージです
tunaco/gettyimages

子育て中のママやパパにはなじみのある“オノマトペ”。大人でも「ニコニコ」「イライラ」などと日常的に使っているのではないでしょうか。このオノマトペは、言葉を話し始めるころの赤ちゃんだけでなく、言葉のやり取りが苦手な発達障害の子どもとコミュニケーションにも、便利なツールなのだそうです。言語聴覚士・社会福祉士の原哲也先生に話を聞きました。

言葉で気持ちを表せない子にも オノマトペは便利なツール!

オノマトペを通じたコミュニケーションは、言葉への関心を持ち始めるきっかけとして定型発達の子どもにも有効ですが、発達が気になる子どもへの言葉がけの方法としても活用できるそうです。

発達障害には「自閉スペクトラム症(ASD)」「注意欠如・多動症(ADHD)」「学習障害(LD)」などがあります。発達障害の子どもは、生まれつきの脳の特性によって「人とのかかわりが苦手」「落ち着きがなく衝動的に動く」「こだわりが強い」などの特徴があり、生活のしにくさを抱えています。その特徴の一つとして、言葉を理解して表現できないことや、自分や人の感情を理解しにくいために、人とのコミュニケーションが苦手という面があります。

「発達障害のある子、とくに自閉スペクトラム症の子どもは“感情と言葉を結びつける”ことが苦手なことが多くあります。たとえば、私たちが困りごとを表現するには、困っている状態と『困った』という言葉を結びつけることが必要ですが、発達障害の子は、思うようにいかなかったり、失敗したりした時の状態を『困った』ことと自覚できないのです。そのため、困りごとを言葉で伝えられず、人に助けを求めにくいことがあります」(原先生)

言葉で気持ちを表しにくい子どもと日常的にコミュニケーションを取るためには、視線や動作・伝え方などのコツがあるそうですが、中でも感情とことばを結びつけるために有効なのが“オノマトペ”なのだそうです。オノマトペとは、「ざあざあ」「わんわん」「ブーブー」など、身のまわりの音や声を表す擬音(声)語や、「ガーン」「きらきら」「ニコニコ」など、動きや様子を表す擬態語などの総称です。

「『あれはわんわん(犬)だね』『パクパク食べようね』など、声かけにオノマトペを使うことで、子どもにとっても意味をイメージしやすくなります。オノマトペを使うと、何かの音や動き、状態・感覚を、長い説明なしで、はっきりとわかりやすく表すことができます。また、体の動きやジェスチャーとも一緒に使いやすいので、見ることでも言葉の意味を理解しやすくなります」(原先生)

コミュニケーションにオノマトペを使うといい理由は3つ

では、子どもとのかかわりの中で、オノマトペがどんなふうに役立つのか、オノマトペを取り入れるとどんないいことがあるのかを聞きました。ポイントは3つあると言います。

【いいこと1】言葉が表す意味がわかりやすい

オノマトペの特徴の一つは、言葉が表す意味が子どもにとってわかりやすいという点です。
「3才くらいの子どもに『直立』を『背筋を伸ばして、腕はまっすぐにおろし、視線は前を見て動かない姿勢だよ』と説明しても伝わらないですが、『ほら、よく見て。‟ピッ”だよ!』と言いながら直立の動作をやって見せると一瞬で理解ができます。

物の扱いが乱暴な子に、『ていねいにね』『大事にしてね』と注意して通じなくても、やり方を見せながら「そぉーっと置こうね」と言うと、すっと理解できる。状況がすぐわかるし、どうすればいいかもすぐ伝わります」(原先生)

【いいこと2】まねしやすい

また、オノマトペは、「ワンワン」「トントン(ドアのノック)」など、同じ音を繰り返す簡単な言葉が多く、まねしやすいことも特徴的です。

「言葉は、周囲の人のまねの積み重ねを通して獲得するものです。初めは簡単な音からまねをし、徐々に発音の難しい音や語をまねするようになります。もともと言葉のまねが少ない子どもに対して、オノマトペを使うことで、言葉をまねする喜びを経験してもらうことができるのです」(原先生)

【いいこと3】リズムや抑揚が楽しい

小さい子どもへの声かけでもオノマトペを使う人は多いですが、そのリズムや抑揚の楽しさもオノマトペのよさです。

「子どもは楽しいものに注目しますから、ママやパパとのオノマトペのやり取りを楽しむことができます。

たとえば、手を洗いながらママが『じゃー』と言う、子どももそれを見て『じゃー』と答える。ボールをママが『ぽいっ!』と言って投げて、子どもも『ぽいっ!』と言いながら投げ返す。
このようなオノマトペのやり取りだけで、なんとなく楽しいですよね。音ややり取りの楽しさを通して、言葉への関心を育てる、刺激することができるのです。

オノマトペを使ったコミュニケーションを通して、親子が楽しさや喜びを共有することは、より豊かな親子関係づくりや子どもの成長にとても大切だと思います」(原先生)

子どもが、自分の感情や困った状態を表現しやすい

親子のコミュニケーション以外にも、「ガーン」「シクシク」などの心情を表すオノマトペは、子どもが自分の感情を表現することに役立つそうです。

「親が子どもの様子を見て、子どもの予想と違うことが起こったときや、困っていそうなときに『ガーンだね』と言ってあげると、子どもは『この感情はガーンと言うのだ』と学びます。『ガーン』のひと言で、『思い通りにならなくてくやしい』という感情を表現することができるのです」(原先生)

このほか「雨がザーザー降っているね」「ボール、コロコロ〜!」など、日ごろからオノマトペを使ったやり取りをすることも言葉の発達に有効です。

「言葉に限らず、人は楽しみや喜びの中で多くを学びます。オノマトペを使って、楽しさや喜びを共有することは、より豊かな親子関係づくりや子どもの成長にとても大切であると思います。
親子のディスコミュニケーションを減らし、お互いがラクに思いを伝え合うツールとして、オノマトペをどんどん活用するといいでしょう」(原先生)

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

お話・監修/原哲也先生

オノマトペは、簡単なうえに遊びながら楽しく使える便利な言葉です。親子の意思疎通がしやすくなることで、発達障害による生活のしにくさの軽減にもつながります。ぜひ、子どもとの生活に積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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