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出産するまでわからなかった…わが子が口唇口蓋裂で生まれて【体験談】

写真は、生後4カ月で行った手術の直後。

口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)とは、妊娠中の形成異常が原因で起こる先天性の疾患です。日本人では約500人に1人という比較的高い頻度で見られます。唇が割れる口唇裂、歯ぐきが割れる顎裂(がくれつ)、口の中が割れる口蓋裂があります。左右両方で同時に起こると両側唇顎口蓋裂(りょうそくしんがくこうがいれつ)と呼ばれています。岡田紀子さん(仮名)も、次男・太郎くん(仮名)が2010年に両側完全唇顎口蓋裂で生まれました。岡田さんと主治医の土佐泰祥先生に話を聞きました。

※上の写真は、生後4カ月で行った手術の直後。傷口を触らないように腕には、抑制筒(よくせいとう)をつけています。

妊婦健診では異常なし。でも出産したら、赤ちゃんはすぐに別室へ

岡田さんは、夫と2人の男の子の4人家族。口唇口蓋裂で生まれたのは、下の子です。

「出生体重は、3312g。妊娠中もとくに問題はありませんでした。
上の子を出産したときと違っていたのは、赤ちゃんが生まれた瞬間、すぐに抱かせてもらえなかったことです。助産師さんが、急いで別室に連れて行ってしまいました。

しばらくして担当医から“赤ちゃんは口唇口蓋裂です”と言われ、赤ちゃんに会わせてくれました。そのときの感想は“あれ、赤ちゃんって、こんな顔してたっけ?” “こんな感じだったっけ?”というぐらいでした。口唇口蓋裂といわれても何も知りませんでしたし、出産後、意識がボ~としていたからかもしれません。現実を受け止めるには、少し時間がかかりました」(岡田さん)

口唇口蓋裂は、いろいろな原因が複雑に影響し合い、一定のレベルを超えると発症すると考えられている形成異常の病気です。岡田さんの上の子は、口唇口蓋裂ではありませんでしたし、身近にそのような人もいませんでした。何の情報もない中での出産でした。

口唇口蓋裂の情報を調べれば調べるほど、落ち込んで自分を責める日々

写真は、太郎くんにミルクをあげる上の子。お兄ちゃんがかわいがってくれることが心の支えに。

太郎くんは、唇が左右で鼻の床まで割れる両側完全唇裂と、歯ぐきとその後ろの上顎、口の中が割れる口蓋裂を伴っていました。「両側完全唇顎口蓋裂」というものです。

「私は総合病院で次男を出産したのですが、この病院では口唇口蓋裂の治療はできないので、退院後、専門に診てくれる大学病院に行くようにと紹介されました。口唇口蓋裂のことはわからないことばかりだったので、入院中の産院では、時間ができるとスマホを片手に口唇口蓋裂の情報や体験談をずっと検索していました。

今から思うと11年前は、読んでいると気持ちが暗くなるようなネガティブな情報が多くて…。体験談を読んでいると“この子の将来は大丈夫かな!?”と、どんどん落ち込んで、自分を責めました」(岡田さん)

口唇口蓋裂児は、おっぱいを吸う力が弱く、割れた部分から母乳がもれてしまいます。太郎くんも同じでした。

「とくに口唇裂は上唇のふたがないような状態なので、唇で乳首を挟んでおっぱいを飲むことが難しいことがあり、私の乳首からの授乳がうまくいきませんでした。しかし、専用の乳首を使ってミルクをあげると、うまく飲んでくれました。長男のときにも母乳育児が順調だったわけではないので、ミルクを専用の乳首で飲んでくれるのはうれしかったです。ミルクの飲みが悪いこともなかったので、発育の心配はありませんでした。ただ息子の顔を見るたびに“ごめんね”という気持ちでいっぱいになりました」(岡田さん)

岡田さんの気持ちを救ってくれたのが、家族だといいます。

「上の子は6歳でしたが、下の子の顔の傷のことを聞くことはなかったです。 “かわいい、かわいい”って、本当にかわいがっていたし、夫は“先生に任せよう。大丈夫だよ”と言ってくれました。
家族が悲観的にならず、穏やかだったのが救いでした」(岡田さん)

4カ月で最初の手術。術後1カ月で、保育園に通い出しました

写真は、乳児湿疹がひどくなり、触らないように包帯でカバーしているときの太郎くん。鼻の下のテープは、鼻の形を整える装具を留めるために貼っています。

産院は予定通り4日ほどで退院。自宅に戻り、1週間後に紹介された大学病院へ。

「紹介された大学病院は、口唇口蓋裂専門のセンターがあり、待合室などで待っていると多くの患者さんを目にしました。本当にいろいろな子がいて、うちの子より大きな子たちを見ていると“手術をすると、こんなにきれいになるんだ”ということがわかり、それがかなり心の支えになりました」(岡田さん)

口唇口蓋裂の手術は、子どもの成長に伴い何回か行います。

「1回目の手術は、4カ月のときでした。唇の割れ目を縫い合わせる手術で、手術時間は2時間ほど。2週間ほど入院しました。入院中、私はつきっきりでした。

退院後、注意するように言われたのは傷口を触らないようにすることです。顔に手が行かないように、腕に抑制筒というカバーをつけるのですが、市販のだとサイズが合わなくて、ペットボトルに布を巻いて手作りしました」(岡田さん)

また術後、鼻の中にシリコン製のレティナという装具を入れて、鼻の形を整える治療を行う場合も。太郎くんもレティナを使っていました。

「1日1回、レティナをはずして水で洗って装着し直すのですが、鼻に入れるので動いて嫌がるんですよね。ホームケアの中で、いちばん大変でした。あとは哺乳びんの乳首は、専用の乳首を使い、離乳食が始まってもいちごやキウイ、ごまなどの粒があるものは食べさせないように言われたぐらいで、特別なホームケアはなかったです。

でも離乳食を食べさせていると、口の中がまだ割れたままなので、鼻から出てきてしまうんですよね…。本人は泣いたり、痛そうな感じはなかったので、あまり気にはしませんでした。

私は仕事の都合で生後5カ月から、太郎を保育園に預けていましたが、行事に参加もできて、普通に過ごせるんだと思いました」(岡田さん)

妊娠中、口唇口蓋裂がわかるケースは多いものの、出産まで気づかないことも

太郎くんの主治医である土佐先生によると妊娠中のエコー検査で口唇裂がわかるようになったのは40年ぐらい前からだといいます。ただし赤ちゃんの顔の向きなどによっては、今でも出産までわかりにくいこともあるそうです。

「エコー検査では口唇裂の有無だけでなく、赤ちゃんの性別などもわかることがあります。なかには“生まれるまで性別は知りたくない”というママやパパもいると思います。ママやパパには“知る権利”と同時に“知りたくない権利”もあるので、こうした権利については一度、産婦人科の主治医とよく相談したほうがいいでしょう。なかには同意書を提出する産婦人科もあります。口唇裂がエコーでわかり、産婦人科の先生からのご依頼をいただいた際には、出産前に妊婦さんに説明をして、出産後の治療計画などをていねいにお話ししています」(土佐先生)

お話・写真提供/岡田紀子さん、取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

お話・監修/土佐泰祥先生

口唇口蓋裂になると、中耳炎を起こしやすくなります。岡田さんによると、大学病院では、口唇口蓋裂だけでなく歯や言葉の発達なども総合的に診てくれるのですが、中耳炎は急に耳垂れが出たりするので、近所でかかりつけの耳鼻科を見つけておいたほうがいいそうです。受診日や症状、処方された薬のほか、発育発達の記録などをまとめておくと、診察のときに役立ちます。

編集部より:先天形態異常をお子さんに持つご両親、特にお母さんはお子さんに対する贖罪の気持ちを持ってしまうこともあるかと思います。お子さんに先天異常が生じたのは誰のせいでもありません。主治医および診療チームを信じて、愛情を注いで育ててください。

※2021/7/14 一部修正しました。(たまひよONLINE編集部)

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