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診断結果は「熱中症」 マスク着用の外遊び中、体調を崩した4才児【小児科医が解説】

かわいいアジア 2-3 歳の幼児の男の子は楽しい遊んでいる間に発汗、遊び場で屋外運動、熱中ストロークの概念
yaoinlove/gettyimages

保育園での外遊び中に、体調を崩したという4才の男の子。診断してみると、軽い熱中症のようでした。気温が急に上がる初夏から夏本番にかけての時期は熱中症のリスクが高く、マスクを着用して外遊びすることによる危険もあると陽ちゃん先生は話します。
赤ちゃん、ママやパパにいつもやさしく寄り添う陽ちゃん先生こと、小児科医の吉永陽一郎先生が、日々の診察室で起きた、印象深いできごとをつづります。先生は育児雑誌「ひよこクラブ」でも長年監修として活躍中です。「小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより」#30

外遊びのあと、体調を崩した男の子。診断結果は、熱中症!

その日来院したのは、近所の保育園に通っている当院かかりつけの4才の男の子。その日はお母さんではなく、保育士さんが抱きかかえてクリニックに駆け込んできました。受付で必死に訴えている声が診察室まで聞こえます。

「外遊びのあと、園舎内でゆっくりしていたら、だんだん元気がなくなってきたんです」

緊急の様子なので、順番待ちをしていた患者さんに謝ってお待ちいただき、その子を先に診察室に入れました。

「外では元気だったんですが、すごく汗をかいていて…。熱中症でしょうか」保育士さんは心配そうに話します。

――どうやらそのようですね。

熱を測ってみると37.8度。元気はないですが、意識はしっかりしています。

――涼しくして様子を見てみましょう。

私はそう言うと、観察室のベッドにあお向けに寝かせ、エアコンを強くしました。ふと見ると、わきのしたと太ももに冷却ジェルシートが貼ってあります。

――このジェルシートは役に立ちませんね。

「え、でも熱中症のときは、大きな血管があるところを冷やすようにと聞いたことがあるのですが」

――先生はよく勉強されていますね。そのとおりです。涼しいところに寝かせて水分補給と、わきのしたや太もものつけ根を冷やすのが熱中症の応急処置の鉄則です。

「じゃあ、どうしてシートを貼っても役に立たないって言われるんですか」

――このシートだと、冷やす力が十分ではないんです。しくみとしては、水分が蒸発するときに温度が下がり、少しだけひんやりするものなので、シートの上から着込んでしまうとあまり意味がありません。冷やすなら、布などで冷気をガードした保冷剤を使いましょう。

そう言うと、私はクリニックの冷凍庫にいつも入れている保冷剤をいくつか出し、ガーゼでくるんでわきのしたと太ももに当てました。

――先生は手にマスクを持っていらっしゃいますが、それはこの子がつけていたのですか?

「はい。新型コロナウイルス感染が怖いですから、園ではみんなマスクをつけています」

――それはどうでしょうか。そもそも、5才未満はマスクをすることにこだわらなくていいと世界保健機関(WHO)は発表しています。これからの暑い季節、それも外遊びのときにマスクをつけるのは、かえって危険ではないでしょうか。

「そういった意見も職員から出たことはあるのですが、マスクが絶対に必要だというご家族もいらっしゃって…」

――心配な気持ちもよくわかりますが、やはり暑い時期のマスクは危険もあります。表情がわかりにくいので体調不良の発見が遅れやすい、マスクで口やのどのかわきに気づきにくく水分摂取の機会が少なくなる、運動時の呼吸を邪魔するなどですね。

「そうですよね。今日のこともありましたし、園でよく相談することにします」

――そうしてください。必要でしたら、園長先生からでも連絡いただければご相談に乗りますよ。

気温が急に上がる時期は、熱中症のリスクが高い!

保育士さんとの話が終わったころ、お母さんが園からの連絡を受けて、職場からクリニックに到着しました。熱中症かもしれないと事前に聞いていたらしく、表情はこわばっています。

「先生、うちの子は大丈夫でしょうか」

――はい。保育士さんに早く連れてきていただいたので大丈夫ですよ。軽症だと思いますが、ちょっとここで休んで様子を見ましょうね。お母さん、この経口補水液を飲ませてあげてください。

待っていた患者さんを診察しながら、ちょくちょく観察室の様子を見ました。観察室は、診察室とは部屋続きになっています。プライバシーのためについ立ては置いていますが、ガラス張りなので診察しながらも様子はわかります。スタッフもこまめに様子を見て、お母さんに語りかけています。

男の子は、経口補水液をごくごくと飲んでいるようです。これならもう大丈夫かな。1時間ほど様子を見たあとでお母さんと話をしました。

――お母さん、この子は大丈夫そうですね。そろそろ帰りましょうか。

「やっぱり、熱中症だったのでしょうか」

――そうだと思います。急に気温が上がりましたし、このような初夏から夏本番にかけての時期がリスクが高いんです。まだ暑い気候に体が慣れていないですからね。園の先生も、水分補給や涼しい場所での休息を心がけてくれていたようですが、人一倍元気に走り回る子ですしね。暑かったし、汗もかいて脱水気味になったかな。

「今夜は何に気をつけて過ごしたらいいですか?」

――高い熱が出ないかどうか。吐いたり、ぼんやりが強かったり、いつもと違う症状があれば、すぐに教えてください。夜間だと救急外来の受診も必要かもしれません。

また、熱中症はひどくなると高熱やけいれんが出ることがあります。呼びかけても反応がおかしかったり、普通の室温なのに異常に汗が出るとか、むしろまったく出ないとか。そのような異常があれば救急車を呼んでください。

「そんなことがあるんですか。怖いです…」

――この子の場合は、意識がはっきりしていますし、熱も微熱程度です。水分もしっかり飲めていますので、今日は涼しいところでゆっくりしてもらえれば大丈夫だと思いますよ。

「わかりました。どうもありがとうございます」

――明日からも暑い日が続くようですから、涼しい服装に帽子、こまめな水分補給は忘れないでくださいね。


文・監修/吉永陽一郎先生 構成/ひよこクラブ編集部  

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