「自分で片付けができる子」に。整理収納のプロが教える方法に共感しかない…!

子どもが遊びに夢中になると、どうしても部屋は散らかりがちです。気づくと片づけ担当はママやパパという場合も少なくありません。子どもに片づけの自立を促しながら、まずは親子で片づけをするというような方法はあるのでしょうか。片づけが苦手な人でも、快適な空間づくりができるようになると評判の、ライフオーガナイザー川鍋裕子さんにお話を聞きました。
まずは子どもに片づけを楽しいものと思ってもらうことが大切。ママ・パパも遊び感覚で
部屋中に雑然と散らかった子どものおもちゃ。遊んだら遊びっぱなしになってしまう場合も少なくありません。
「まずは、子どもに『お片づけは楽しい』と思ってもらうことが大切です。ママやパパが目くじらを立てて『早く片づけなさい』と怒ってしまっては逆効果。嫌なイメージがついてしまいます」(川鍋さん)
『整理整頓上手な子どもに育てなくては!』と力むのではなく、遊びの一環のつもりで一緒に片づけるといいそうです。
「たとえば、おもちゃを擬人化させるのもひとつの手です。収納場所をおもちゃのおうちに見立て、『くまさんが早くおうちに帰りたいよーって言ってるよ、早く帰してあげようよ』など、ごっこ遊びすると、子どもも楽しくなるはず。ママ・パパも一緒にふざけて遊ぶくらいの感覚でいるほうが、子どもも乗り気になります」(川鍋さん)
おもちゃの定位置を決める。分類分けが大切。
片づけをする際、おもちゃの定位置を決めるのも大切です。しまう場所が決まっていれば、出しっぱなしになっていても、元の場所に戻せばいいからです。
ただ、大きな箱などにおもちゃをまとめて全部入れるのは、片づけは簡単でも、かえって面倒になりがちです。
「この方法は、どこに何があるかわからなくなるため、いざ遊ぶときに、目当てのおもちゃが見つかりにくいです。目的のものを探すために、箱を全部ひっくり返すことになり、結局片づけも大変に。余計な労力がかかってしまいます」(川鍋さん)
収納のコツは、ぬいぐるみはぬいぐるみ、ミニカーはミニカーと、種類ごとに分けること。
小さな子どもほど、シンプルにわかりやすくするのが大切です。あまり厳密に分類するのではなく、ある程度ざっくり分けていきましょう。
「収納するボックスなどに、何を入れればいいのか、イラストのラベルを貼るといいでしょう。視覚的にわかりやすいしくみになります」(川鍋さん)
「なんでもスペース」を作り、どこに分類したらいいかわからないものをしまう場所に
おもちゃの分類をする際、どこに入れたらいいか、わからないものも必ず出てくるといいます。
「たとえば、お菓子のフタや、折り紙で作ったコップなど、大人からするとガラクタにしか見えないものもあるかもしれません。でも、子どもからすると大切なものです。どこに分類したらいいかわからない場合は、『なんでもカテゴリ』のスペースをひとつ作っておくとラクです」(川鍋さん)
子ども専用のスペースを作るのも効果的。自分の場所をきれいにしようとする責任感も。
子ども専用のスペースを作ってあげるのも、「ここは自分のものが入っている場所」と認識しやすくなります。
「棚があったら、『この扉1枚分は〇〇ちゃんのスペースだよ』と、決めてあげると、あちこち探す手間がなくなります。また、『自分の場所はきれいにしよう』と責任感が生まれる効果も。もし兄弟姉妹がいるようであれば、子ども別に色を分けてあげて。自分のスペースを自覚しやすくなります」(川鍋さん)
増えすぎたおもちゃ。どれを処分するかは子どもに決めてもらう
おもちゃはどうしても増えていくもの。少し減らしたい場合、何を処分するかは子どもに選んでもらうといいそうです。
とはいえ、『こんなボロボロになったのまだいる?もう捨てたら?』という言い方は逆効果。捨てられたくない思いから、どれに対しても執着してしまいます。
「まずは『いちばん大事なもの』を選んでもらいましょう。よく遊んでいるお気に入りや、それほど遊ぶ機会はないけれど、パパからもらった宝物など、大切なものを最初に選ぶと、子どもの気持ちも落ち着きます。すると、処分するものも自然とすんなり決まるものです。『これは赤ちゃん用だから、小さいお友だちにあげようね』など、子どものお兄ちゃん、お姉ちゃん心をくすぐるのもいい方法ですね」(川鍋さん)
また、子どもが選んだおもちゃを否定しないことも大事だそう。
「大人からすると、ガラクタにしか見えないおもちゃもあるかもしれません。でも『そんなの残しておくの?』と言ってしまうと、子どもは傷つきます。子どもにとっては大切な宝物だということを忘れず、尊重してあげましょう」(川鍋さん)
片づけの習慣をつけさせるために大事なのは、ママ・パパの心の余裕。完璧をめざさない!
それでは、片づけを毎日の習慣にするにはどうしたらいいでしょうか。
「理想は、生活のルーティーンに組みこむことです。たとえば、『遊びの時間の最後の10分はお片づけの時間』、『寝る前は元の場所に戻す』など決めて、声をかけるようにしましょう。ただ、これは私自身の経験からしても、ちょっと言うくらいではなかなか習慣化しません」(川鍋さん)
ここで大切になってくるのは、やっぱりママ・パパの心の余裕。
「どうして片づけないの?」とイライラすると、それが子どもに伝わってしまいます。
「子どもが小さいうちは、きれいな部屋をキープするのは難しいものだ、とある程度の割りきりも必要です。子どもにとっておもちゃは友だちであり、想像力をはぐくむ大切なものでもあります。だから、子どもが片づけないことに意識を向けすぎず、『ママの気持ちに余裕があるときに、一緒に片づけよう』くらいのおおらかさを持てるといいですね」(川鍋さん)
まずはママ・パパが楽しく片づける姿を見せましょう。「お片づけって楽しい。お部屋がきれいになると気持ちがいい」ことを理解してもらうことで、子どもも少しずつ自主的に取り組むようになるといいます。
お話・監修/川鍋裕子さん 取材・文/齋田多恵、ひよこクラブ編集部
子どもが片づけないことや、部屋がゴチャゴチャしていることに、どうしてもイライラしてしまうときもあるかもしれません。おもちゃをはじめとして子ども用のものは「色」が多く使われているため、視覚的に疲労しがち。日用品やインテリアの色を減らし、シンプルにすると、いら立ちが軽減する場合もあるそうです。
子どもの成長はあっという間。なかなか部屋が片づかないことも、いつの間にか「そんなこともあったな」となるはず。子どもが小さいときのかけがえのない時間を大切にしたいですね。
川鍋裕子さん(かわなべゆうこ)
Profile
ライフオーガナイザー®︎。働く女性の自宅を、働きやすく、リラックスもできる空間にする快適時間創造*収納空間プランナー。片づけが苦手な女性でも、探し物やゴチャゴチャの空間に悩まず、本当に自分がやりたいことに時間とエネルギーを注げる土台作りをサポート。