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成長の証しでもある子どものウソ。しかるよりも大切なことは?【臨床心理士】

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子ども子育てのイメージ
※写真はイメージです
maroke/gettyimages

成長するにつれ、気になり始めるのが、子どもの「ウソ」。ウソをつかれると、ママやパパは「ウソはダメ」と、しかってしまうかもしれません。
でも実は、ウソは子どもの知的な発達と関連があるものだといわれています。
子どもの発達にくわしい臨床心理士の帆足暁子先生に、子どもはなぜウソをつくのか、そしてウソとの上手なつき合い方について聞きました。

ウソは知的な発達と関連がある、成長の証しのひとつ

たとえば、実際は保育園に行ったのに「昨日は遊園地で遊んだんだ」と言ったり、部屋が散らかったままなのに「もうお片づけしたよ」とごまかしたりするなど、成長するにつれ、子どもはウソをつくようになります。
子どもは何歳くらいからウソをつくようになるのでしょうか。

「個人差があるため、具体的な年齢をあげるのは難しいのですが、ウソは、知的な発達と関連があるといわれています。子どものウソには、以下のパターンがあります。

[1]空想と現実が混同し、想像したことをまるで事実のように話す場合
[2]自分の失敗や悪いことから自分を守ろうとする場合
だいたい、この2つに分けられます」(帆足先生)

具体的にどんなことか、以下で説明していきましょう。

[パターン1]空想と現実が混同し、想像したことをまるで事実のように話す場合

知的な発達にともない、3歳前後から子どもたちはいろいろな想像ができるようになります。

「とはいえ、まだ現実の世界と『こうだったらいいな』という自分の空想を区分できず、混同しがち。そのため、事実と異なることを本当のように話すのです。本人は、ウソをついている自覚はありません」(帆足先生)

これは、発達の過程のひとつです。成長するにつれ、少しずつ現実と空想の区別がつくようになると言います。

「もし、空想を事実のように話していたら、そのまま聞いてあげてください。『そうだといいね』と返すのもありです。あまり深く追求しないことが大切です」(帆足先生)

[パターン2]自分の失敗や悪いことから自分を守ろうとする場合

2点目は、自分を守るためのウソです。

「自分が悪いことをしたと理解したときや、親の怒った表情を読み取ると、早い子だと1歳半ごろから2歳ごろで、しかられるのを回避しようとします。自分を守る方法がウソなのです。
自分を守るためにウソをつくのは、知的な発達度が高くなったからできること。成長の証しだといえます」(帆足先生)

とはいえ、こうしたウソをつく場合、ママやパパはきちんと対応を考える必要があるそうです。

「もちろん、悪いことをしたら、注意するのは必要です。でも、子どもには必ず理由があります。ですから、話を聞く姿勢が大切。頭ごなしに怒られないとわかれば、子どももウソをつく必要がなくなります」(帆足先生)

たとえば、幼稚園に行きたくないからと、‟今日、幼稚園お休みなの”などのウソを言うとします。こうしたとき、まずは本当かどうかを確認することは必要です。もしそれがウソだったとしても、子どもの話を聞かず‟ウソばかり言わないで、ちゃんと幼稚園に行きなさい”としかるのはNGだそう。

「しかると、子どもは逃げ場がなくなり、ウソを重ねることにもなりかねません。だからまず、なぜ行きたくないか、きちんと理由を聞くのが大切です。次に、どうしたらいいかを一緒に考えてみましょう。それだけで子どもは『幼稚園に行きたくない気持ちをわかってくれた』とほっとするものです」(帆足先生)

どうしたらいいかを考える際、いくつか選択肢を出すのもいい方法だと言います。

「『1.お休みする、2.やっぱり行ってみる、3.お昼から行く。どれが自分の気持ちに近い?』などいくつか提示すると、子どもも強制されたのではなく、自分が選べたと思えます。自らの意思を尊重してもらえると、自分を守るためのウソをつく必要がなくなるでしょう。
選択肢は、どれを選んでもママやパパが困らないものを提示することもママやパパ側からしたらポイントです」(帆足先生)

注意が必要なのは、他人を傷つけるウソ。子ども自身が深く傷ついている可能性が。

子どものウソのなかでも、注意が必要なものがあります。それは、「他人を傷つけるウソ」です。

「たとえば、本当は自分が悪いのに『〇〇ちゃんがやった』と人のせいにする、実際はたたかれていないのに『△ちゃんがぶった』などのウソをつく場合。
これらは、周囲に受け入れられていないと感じ、傷ついている子どもにありがちです。かわいがられている子にやきもちを焼いたり、もっと自分を認めてほしかったりする思いから、ほかの子を傷つけようとしてしまうのです」(帆足先生)

こうした場合も、まずはウソだと決めつけないことが大事だそうです。

「ウソだと明白な場合も、『それは嫌だったね、じゃあどうして〇〇ちゃんはそんなことをしたんだろうね』と聞いてあげましょう。一方で、できるだけママやパパは、自分の子どもとかかわったり遊んだりして、愛されたい思いを満たしてあげることが大切。自分が受け入れられているのが伝わると、人を傷つけるようなウソを言わなくなります」(帆足先生)

ママたちの子どものウソの悩みに、帆足先生がアドバイス

子どものウソに悩むママ(パパ)たちへ、どう接したらいいかを帆足先生にアドバイスしていただきました。

5歳になったばかりの息子が、ウソばかり言います。

【ママの気がかり】
5歳の息子が、行ったことがない場所に行ったとか、見たことがないアニメを見たなど、さも本当のことのように言います。「どうしてそう思うのかな?」と優しく言っても、「だって本当だもん」と怒ります。

【帆足先生アドバイス】
前述したとおり、3歳前後だと空想と現実の区別がついていません。でもこの子はもう5歳。もしかすると『自分が認めてもらえていない』と感じ、ウソでアピールしている可能性があります。
だから、ママやパパが『あなたが大好きで、ちゃんといいところを見ている』と伝えてあげるのがいいですね。
たとえば、寝る前にママやパパが『今日の〇〇ちゃん、こういうところがすごいなと思ったよ』と、ほめてあげましょう。本人が自信を持てるようになると、自然とウソは消失していくはずです。

年長児の娘が、歯磨きをしていないのに『歯を磨いた』とウソをつく

【ママの気がかり】
年長児の娘が歯を磨いていないのに『歯を磨いたよ』とウソをつきます。何度確認しても同じウソをつくので、大声で怒ってしまいました。

【帆足先生アドバイス】
まずは、子どもが歯磨きをしたくなる環境設定をしましょう。
子ども用の歯磨き粉は、いろんな味が出ています。だから「あなたの好きな味の歯磨き粉を買いに行こう。何がいい?」と一緒に買いに行くのもいい方法です。あるいは、「ママも歯磨き嫌いだけど、むし歯はもっと嫌なんだ。一緒に頑張ろう」と、『歯磨きが嫌』な気持ちを共有し、仲間意識を作るのもありです。
歯磨きをしたらごほうびがあってもいいと思います。

3歳の娘が我が強く、ウソを言う。厳しくしていたらママ友に注意された。

【ママの気がかり】
保育園に通う3歳の娘が我が強く、お友だちのおもちゃを取って自分のだと言う、ウソをつくなど、なんでも思い通りにしたがるところがあります。その度にしかっていましたが、先輩ママ友さんに『厳しすぎる、もっとのびのびさせてあげて』と注意されました。それ以来、子どもファーストの時間を作るようにしていますが、この方針で大丈夫か心配です。

【帆足先生アドバイス】
ママ友から注意されたことを、あなたはそのとおりだと思ったのでしょうか。あなたが納得したのなら、これまで娘さんに対し、厳しかったのかもしれませんね。でしたら、子どもファーストの時間を作ることで、子どもが変わっていく可能性もあります。
一方で、急に方針を変えたせいで、極端に子どもの言いなりになってしまうことが心配です。『のびのびさせる』とは、すべてを思い通りにさせることではありません。ママやパパ自身が『ここまではOK、これ以上はダメ』としっかり基準を持つことが大切です。

取材・文/齋田多恵、ひよこクラブ編集部

お話・監修/帆足 暁子(ほあし あきこ)先生 

「嘘つきは泥棒の始まり」ということわざがあるように、ママ・パパ世代は「ウソは悪いこと」と教えられてきていたかもしれません。だから、子どもがウソをつくと「徹底的に直さなければ」と、厳しく対応しがちなことも。
でも、ママやパパ自身も幼いころ、ウソをしかられ、悲しい思いをしたことはありませんでしたか。それを思い出し、子どもがウソをついた背景を考慮してあげましょう。
少しずつでも、子どもがウソをつかなくて済む環境作ができるといいでしょう。

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