赤字家計を「貯まる家計」に変えるのは“特別な支出”だった?!
毎月、家計簿で収支をチェックしているのに、なぜか赤字という声。悩みをよくよく聞くと、どうやら、固定資産税や塾の夏季講習など、都度発生する出費が家計の足を引っ張っているようです。そんな不規則な出費、みんなはどうしているのでしょうか。
口コミサイト「ウィメンズパーク」のママたちの声ともに、ファイナンシャル・プランナーの菅原直子さんに、家計の基本的な考え方について聞きました。
子どもに関わるお金や税金などの出費で赤字が…
――毎月の収支のほかに出ていく出費について悩むママの声を紹介します。
■ 臨時の出費は、積み立てやボーナスで補填
「子どもは小学4年、6年、中学1年の5人家族。今年から家計簿アプリで収支をチェックするようにしました。なんやかんやで毎月赤字です。
私は月収6万円程度のパート主婦ですが、生活費は夫のお給料だけでやりくりしています。
食費、日用品費、外食費、交際費、子どもの習い事(それぞれ、2〜3万円)などの項目はやりくりできています。ただ大型出費、例えば、固定資産税や子どもの中学入学(公立)のための制服購入や自転車購入など、10万円を越える出費が毎月あり、それが赤字になります。塾代も夏期講習は赤字に。
私には持病があり、パートを増やすことは不可能なのですが、どうしたらいいでしょうか?
このような大型出費はほかの家庭ではどうされているのでしょうか。ボーナスで補填できていればOKでしょうか。それとも、何か削っているのでしょうか」
――この悩みに他のママがアドバイスします。
■ 補填ができていれば赤字と言わないのじゃ?
「それって毎月赤字って言うんですか? それなら、我が家も5月は大赤字になります。固定資産税と車の税金で30万円近く払いましたから。
それに、中学入学、高校入学、大学入学などとなると、大イベントで出費かさみますよね。そういうときは月の給料で賄えなくて当然だと思います。
貯金を切り崩すってほどじゃないけれど、そのためにストックしておいて、そこから支払うものだと思っています」
■ 収入が増やせないなら、習い事などを見直しては?
「赤字で収入増やせないのに、習い事で各自2〜3万円って分不相応ですよね、完全に。
塾も必要ですか? トップ校にどうしても行ってほしいとかでしょうか。そうでないなら、もっと安い塾を探すか、通信教育にするという方法も。子どもたちの習い事が高すぎだと思います」
■ 税金や家電の買い替えなど用に積み立てて、使わなければ翌年に
「私は分かっている支出は、積み立てています。
例えば、車の税金は夏のボーナスから、車検は冬のボーナスからとかです。また、1年で貯めた貯金の中から、次の年の予備費を20万円くらいキープしておき、家電が壊れたり想定外の支出があったりした場合は、ここから出します。使わなかった分は次の年に繰り越し。
こうすれば、管理がしやすいですよ」
不定期に出ていく出費は「1か月あたり」に換算して取り分けを
自動車税や固定資産税や車検、子どもの季節ごとの出費、冠婚葬祭費、家電の買い替えなど、不定期に出ていくお金の管理はなかなか難しいですね。わかりやすい対処法をファイナンシャル・プランナーの菅原直子さんに聞きました。
「収入は毎月ほぼ同じ金額なのに、基本生活費以外の特別支出があるため、月の収支が赤字になっているというご相談ですね。でも、計画的に補填できているのであれば、『赤字に見える』だけで、年間単位の収支が黒字で貯蓄ができているなら問題ありません。
収入が月給制なら、支出も月単位で管理するのが一般的ですが、その際の注意点が1つあります。特別支出は単純にその月の支出にせず、必ず『1か月あたり』に換算します。今月は支払いのない特別支出についても、『1か月あたり』額を取り分けておくのです。
固定資産税の場合で考えてみましょう。年4回に分けて納付できますが、用紙に記載の金額を支払い月の収入から払うのではないということです。固定資産税額が15万円の場合、毎月1万2500円(=15万円÷12か月)を特別支出用の口座に取り分けて、貯まったお金から払うようにするのです。ママたちのアドバイスにもある通り、あらかじめストックしておくということですね。
生命保険や火災保険の年払保険料や車検代も同様で、年払保険料が20万円なら、毎月の取り分け分は1万7000円(≒1万6,667円=20万円÷12か月)です。
月払を年払にすることで割引があるのなら、ぜひ利用したいものです。管理のしやすさから月払を選んでいた人も、『1か月あたり取り分け』ができれば年払いが可能になります。
家電の買い替えは、欲しい製品の金額から次の購入額を想定し、購入間隔もとりあえず決めてしまいます。冷蔵庫の1か月あたり取り分け額が2000円、エアコンが1500円、炊飯器が800円なら、家電分として4300円を毎月取り分けてしまうのです。
具体的なお金の動きとしては、特別支出の最初の1回分は貯蓄から出すことになります。特別支出分の1か月あたりの金額は、前述の固定資産税と生命保険料ならキリのいい3万円(1万2500円+1万7000円=2万9500円を切り上げ)という風に少し多めに取り分けるようにし、最初に貯蓄から借りた金額が貯まったら、貯蓄へ戻すようにします。
貯蓄が増やせないようなら、支出の内容と金額を見直して、削るべきものは削りましょう。
大学の初年度納付金など、年単位で管理しきれない大きな金額に対しては複数年で考えます。中学1年生の長子が高校3年生の時点で準備しておきたい金額を300万円とする場合、現在の手元資金が0円だとすると、毎月の取り分け分は5万円(=300万円÷(18才-13才)÷12か月)になります」
なるほど! このように整理できれば、不足の出費におびえる確率はぐんと減りそうです。
ぜひ参考にしてみてください。
(取材/文・橋本真理子)
■文中のコメントは『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。
菅原直子さん
Profile
ファイナンシャル・プランナー。外資系生命保険会社の勤務・代理店を経て1997年FP資格取得・独立。わが子の成長にあわせて教育資金関連に注力し、各地の高校で保護者・生徒向けの進学費用に関する講演多数。現在は子育て世帯からの教育費を中心とした家計相談に加え、高齢者や独立しない子どものいる家族のライフプラン相談も。「働けない子どものお金を考える会」「子どもにかけるお金を考える会」メンバー。