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赤ちゃんは愛着対象に優先順位をつける…?! ”パパ見知り”されたら夫婦で知っておきたいこと【専門家】

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赤ちゃんを抱くアジアの家族
※写真はイメージです
kazuma seki/gettyimages

パパが赤ちゃんのお世話をすると泣かれたり、嫌がられたりしてショックを受けたことはありませんか。
赤ちゃんが「パパ見知り」をすると、ママに育児の負担がかかってしまうのも避けたいものです。赤ちゃんがパパ見知りをしたら、パパはどう対応すれば?ママにサポートできることはあるのでしょうか。発達心理学に詳しい昭和女子大学の石井正子先生に話を聞きました。

赤ちゃんは愛着形成の優先順位をつける

――赤ちゃんがパパ見知りをするのはなぜでしょうか。

石井先生(以下敬称略) 一般的に人見知りは、身近な人と愛着関係を築く発達と、身近な人とほかの人を区別できるようになった認知能力の発達、2つの面で赤ちゃんが順調な発達をしている証拠です。6カ月ごろから1才半ころまでは見知らぬ人への人見知りと同じように、パパを拒否するように泣く赤ちゃんもいますが、2〜3才になるとほとんどが落ち着きます。単なる人見知りと違って、パパ見知りは慣れているママとなんとなく違って不快だな、と赤ちゃんが感じることで起こることが考えられますが、それも成長における一過性のものです。

――パパのことが嫌いだったり、知らない人だと思ってパパ見知りをする、というわけではないのですね。

石井 そうです。ただ、赤ちゃんは愛着の優先順位をつけることはあります。赤ちゃんの愛着形成はそもそも身を守るための行動です。自分にとっていちばん身近で頼りになる人と愛着関係を築いてお世話してもらうことによって、安全な状況で育っていけるわけです。

たとえば、保育園で保育士さんとしっかり愛着関係を築いている子でも、ママがお迎えに来たとたんに、すべてを放り出して満面の笑みでママに抱きつくことがあります。子どもは、場面、時期によってうまく愛着対象を使い分けます。それもまた、安全に身を守って生きのびるための戦略の一つともいえます。

赤ちゃんは愛着対象としている優先順位が高い人がそばにいればその人を求めますが、その人がいなければ次の愛着対象を求めます。だから、人見知りの時期の赤ちゃんには、ママも一緒にいるところで「パパが抱っこするよ」というのはハードルが高いんです。でも、ママがいない状況でパパが赤ちゃんを連れて実家に帰ったり、お散歩に行ったり、というときには、パパの優先順位がいちばんになるかもしれませんね。
だから、ママに「ランチや美容院に行っておいで」という時間はぜひ積極的に作るといいでしょう。ただ、赤ちゃんと2人で過ごすことに慣れていないパパには、ある程度かかわり方をレクチャーしてあげる必要はありますね。

育児負担の平等にこだわらず、赤ちゃん主体の育児を

――赤ちゃんのお世話はママとできるだけ平等にしたほうがパパ見知りをしなくなるのでしょうか?

石井 そうとは限りません。育児や家事を何がなんでも半分ずつ分担して平等にする必要もないと思います。大事なことは、赤ちゃん主体に考えて、赤ちゃんにとって気持ちのいい状態であること。パパがママに代わってお世話をしようとしても、赤ちゃんが嫌がるなら、無理をする必要はありません。その時期はママは赤ちゃんを抱っこして、パパがそのほかの家事や育児をしながら、家族が一緒に過ごす中で少しずつ赤ちゃんと仲よくなってもらえればいいと思います。家庭ごとで状況はさまざまだと思いますが、家族みんなが気持ちよく過ごせる状況を作る工夫をしたらいいと思います。

――では赤ちゃんがパパ見知りをしたら、パパはどのようにかかわればいいでしょうか。

石井 赤ちゃんがママを求めているのに、無理にパパに慣れさせる必要はありません。パパがママと赤ちゃんと一緒に過ごし、笑顔で声かけをしたり、楽しみながら3人で遊んでみたり、など接する機会を増やせば、パパに対する安心感も生まれるでしょう。

そして、パパが赤ちゃんの発達の知識を持つことも大事です。「赤ちゃんには人見知りの時期があるから、パパが抱っこすると嫌がって泣くことがある、それは成長の証しで当然のこと」と知っておくことはとても大事です。知っていれば赤ちゃんに泣かれても「あ、これが例のパパ見知りってやつだな」と、そんなに気にならないのではないでしょうか。だけど知識がまったくなく、一生懸命やろうとしても赤ちゃんに拒否されたとなると、ちょっとイラッとしたり、悲しかったり、ネガティブな感情が起きてしまう、というのはあるかもしれませんね。

パパ見知りは赤ちゃんの成長の証し。あせらずめげずに関係を作って

――赤ちゃんに泣かれたパパがカッとなって虐待をしてしまったというニュースもありましたが…

石井 パパ見知りに過剰に反応する気持ちの裏に、自分自身の生い立ちの問題がある場合もあります。子どもに泣かれるとついカッとなってしまうようなときには、自治体の家庭児童相談室などの相談機関を利用するのも一つの解決方法です。

自分の精神状態が悪いときに赤ちゃんが全然泣きやまないと、まるで自分が責められているように感じることがありますよね。赤ちゃんは、決してママやパパを嫌いだったり責めているわけじゃなくて、ただ不快だから泣いているだけなんだけど、自分に対する攻撃と感じてしまうことはあります。そういうときには家庭児童相談室や子育て電話相談などの相談機関を利用して、カウンセリングを受けることが必要な場合もあると思います。

――パパにも子育ての悩みや気持ちをわかってもらえる話し相手が必要なんでしょうか。

石井 赤ちゃんを連れたパパ同士の子育てサークルなどがあるといいですよね。「うちの子さ、ママがいるとおれのこと嫌だっていうんだけどお宅はどう?」「うちもそうだったよ」なんて気軽に相談ができると、パパたちの心の励みになると思います。そんなふうにつながりを作りながら、人見知りの時期は一時的なものだ、と子どもの発達について理解し、子ども主体の育児ができるようになれば、パパ見知りがあってもそれに悩むケースは減るように思います。

――では、赤ちゃんがパパ見知りをしてしまうとき、ママがサポートできることはどんなことがありますか? 

石井 赤ちゃんの気質、環境、パパの適性等々、さまざまな理由でパパ見知りが起きます。成長における一時的なもので、赤ちゃんがパパのことを嫌いになったわけでも、パパが父親として適性がないわけでもないことを伝え、一緒に楽しく過ごすことを考えてください。パパは「赤ちゃんは泣くもの」と開き直り、あせらず、めげずに赤ちゃんとの関係を作りましょう。

お話・監修/石井正子(いしいまさこ)先生 

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

赤ちゃんがパパ見知りをするのは順調に育っている証拠ともいえます。たとえ赤ちゃんがパパ見知りをしたとしても、ほかにもパパにできる家事や育児はあるはず。「かわいいね」「大好きだよ」といういう気持ちを伝え、赤ちゃんとの信頼関係を築いていきましょう。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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