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赤ちゃんが泣きやまないときは要注意!もしかしたら「ヘアターニケット症候群」かも【専門家】

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元モーニング娘。でアナウンサーの紺野あさ美さんが、2021年10月に次男がヘアターニケット症候群になったとみられると自身のブログで報告し、SNSなどで話題になりました。ヘアターニケット症候群とはどんなものなのか、実際お子さんが同症候群にかかったママと、兵庫県立こども病院の竹井寛和先生に話を聞きました。(写真はヘアターニケット症候群になった赤ちゃんの左足薬指の様子。髪の毛が巻きつき食い込んで腫れている。写真提供/竹井寛和先生)

機嫌が悪いのは風邪のせいだと思っていたら…

広島県に住むりゆママさん(仮名・38才)は、夫と長男、長女の芽衣ちゃん(仮名・2才)の4人家族です。2021年2月、芽衣ちゃんが1才3カ月のころにヘアターニケット症候群を経験しました。

「数日前から風邪の症状があって、その日もずっとグズグズしていたのですが、風邪のせいかもと思ってあまり気にせずに、抱っこであやしていました。熱はひどくなかったのでいつも機嫌よく入るおふろに入れることにしました。でも、大好きなおふろでもグズグズがおさまらないので、おかしいな、と思い始めたところ、おふろから出て娘の体をふいているときに左足の薬指が真っ赤に腫(は)れていることに気がつきました。
よく見ると、小さな足指に何かが巻き付いているようでした。

どうにか取ろうとしましたが、足が小さいのではさみでは切れそうにないし、無理に切ろうとすると足まで傷つけてしまいそうで…。徐々に腫れがひどくなってきて、足指をちょっと触るだけで血が出てきてしまうほどに。一人歩きができるようになった時期だったので、娘がこのまま立てなくなってしまったらどうしよう、と怖くてパニックになってしまいました。土曜日の18時過ぎのことで病院も開いていなかったので、夫と相談して救急車をお願いしました」(りゆママさん)

救急外来に到着するころには芽衣ちゃんはかなり泣いて、とても痛そうな様子でした。診察をした医師から「糸のような繊維がかなり深く巻き付いていて、縫わないといけないかもしれない」と説明を受けたと言います。

「娘に何が起こったのだろう、と不安でしたし、娘が痛い思いをしているのがとてもかわいそうでした。幸い、先生が娘の足指に絡みついていた繊維だけを取ってくれたようで、縫合処置はしなくて済みました。ばんそうこうと包帯で処置をしてくれ、その日は帰宅となりました。毎日、足指のばんそうこうをはりかえるときに患部を見ると、繊維が巻き付いていたところがパックリ開いているような深い傷で、とても痛そうでしたし、娘はばんそうこうをはりかえるたびに泣いていました」(りゆママさん)

その後は、患部の状態を見るために2週間に1度、3〜4回程度通院したそうです。腫れは1週間ほどでひいたものの、傷あとは1カ月ほど残っていたと言います。

「ヘアターニケット症候群のことはSNSで見たことがあって知っていたけれど、まさかわが子に起こるとは思いませんでした。風邪で機嫌が悪いと思いこんでいたので足指は見落としていましたが、娘がヘアーターニケット症候群になってからは、機嫌が悪いときには手足の観察もよくするようになりました。また、娘が過ごすスペースは粘着ローラーでこまめに掃除をして、カーペットも毛足が短いものに変えました」(りゆママさん)

赤ちゃんの足指に起こりやすいヘアターニケット症候群

りゆママさんが体験したように、ヘアターニケット症候群は手指などに体毛や糸が巻き付いてしめつけてしまう状態のことです。ターニケットとは「止血帯」という意味で、髪の毛や糸が巻き付いたところから先の部分への血流が悪くなり、最悪の場合壊死してしまう危険性もあります。「海外では1900年代半ばから報告されていますが、日本では症例報告が少なく、まとまったデータはありませんでした。小児科医の間でもまだあまり認知が進んでいません」と竹井先生は言います。

日本で症例報告が少ないのは、ヘアターニケット症候群を発症して病院にかかるとしても、近所の小児科や救急病院など受診先が分散されるためデータが集まりにくいことや、発症し病院を受診する頻度自体が低いことなどが理由です。そんな中、竹井先生が2019年に日本小児科学会雑誌で発表した論文では、当時勤務していた東京都立小児総合医療センターで2010年から2017年までにヘアターニケット症候群と診断された8症例を報告しています。そのうち5例が乳幼児の足指に起こっていたことや、海外での先行研究などからヘアターニケット症候群は1才くらいまでの赤ちゃんの足指に起こりやすい症状とわかっています。

しかし、発症する明確な原因はわかりません。発症した状況などから見て、産後のママが髪の毛が抜けやすくなることや、赤ちゃんの足の反射の動きなどが関係しているのでは、と考えられているそうです。

「生まれてから10カ月くらいまでの赤ちゃんは“足底把握反射(そくていはあくはんしゃ)”と言って、足裏を刺激すると、足指を握るようにぎゅっと動かす反射をします。ヘアターニケット症候群は、たまたま赤ちゃんの足指の近くに落ちている髪の毛や糸などが、この反射の動きに巻き込まれて絡みつくのでは、と考えられます。赤ちゃんは自分で変だなと思ってはずすことができないので、足を動かせば動かすほど絡んでしまうのでしょう。
また、多くは赤ちゃんの足指の、人さし指・中指・薬指に見られ、親指や小指にはほとんど見られません。指と指の間隔が狭いことや太さなどの関係で人さし指・中指・薬指に絡まりやすいのだと考えます」(竹井先生)

気づいたら早めの処置が大切

りゆママさんのように赤ちゃんのヘアターニケット症候群に気づいたら、「すぐに小児外科や救急外来を受診してほしい」と竹井先生は言います。

「赤ちゃんの足指に絡まっている髪の毛や糸が目で見て確認できて、指やピンセットなどでつまめる場合には、皮膚を傷つけないように早めにはさみなどで切って取ってあげましょう。気づかずに時間がたって患部が大きく腫れてしまうと、巻き付いた髪の毛や糸が食い込んで見えなくなってしまいます。患部が見えずになぜ腫れているのかわからないということもあります。そのようなときはすぐに救急外来などに連絡をして受診してほしいです。

髪の毛や糸が巻き付いた患部は、傷がどんどん深くなってしまいます。指を切開しないと繊維を取り除けないこともありますし、巻きつきによって傷ついた皮膚を縫う処置が必要なことも。もし自宅で取れた場合にも、取り切れたかわからない、腫れがひかないときはできれば早めに受診をしてほしいです」(竹井先生)

赤ちゃんが泣きやまないときは足指まで全身チェックを

以前竹井先生が務めていた小児病院では、救急外来を受診する年間3万人以上の患者のうち、ヘアターニケット症候群は1〜2人と非常に稀でした。発症頻度は決して高くないことが予想され、なかなか予防が難しい部分もあります。

「もちろん、産後にママの抜け毛が多い時期は、赤ちゃんが寝ている周囲はこまめに掃除機をかける、糸がほつれたものを赤ちゃんの近くに置かない、冬物の衣類やカーペットなど、髪の毛がつきやすい布製品を避けることなどはできるでしょう。
ただ、産後は精神的に不安定になりやすい時期でもありますから、過度に心配する必要はありません。それよりは、赤ちゃんの不機嫌が続いて、おむつを替えても、ミルクを飲んでも泣きやまないな、と思ったら、足指まで全身を見てあげると早期発見につながると思います」(竹井先生)

お話・監修・写真提供/竹井寛和(たけいひろかず)先生

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

赤ちゃんが機嫌が悪かったり、なかなか泣き止まなかったりするときには、ママやパパはさまざまな原因を考え、対処しているでしょう。ヘアターニケット症候群は発生頻度は少ないですが、赤ちゃんが泣き止まないときには、授乳・オムツ・発熱などのチェックに加え、手や足の指先もよく見てあげることが大切です。


※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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