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3〜6才ごろの未就学時期が「知的好奇心」を伸ばすのに最適!その理由と上手な伸ばし方は【脳科学者】

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アジア系の家族、母と娘の家族バンド自宅、家族関係のためのコンセプトのギターの父、ピアノ演奏
※写真はイメージです
CrispyPork/gettyimages

子どもの“知的好奇心”を育てることは、脳の発達の原動力となり、可能性を広げるために大事なのだそうです。「とくに3〜6才ごろの未就学時期が最適」だといわれています。小児の脳の発達に詳しい、東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生に話を聞きました。

ワクワクする気持ちを育てることが、学業成績の伸びにもつながる

――知的好奇心を高めることは、子どもにどんないい影響があるのでしょうか。

瀧先生(以下敬称略) 知的好奇心とは、「これはなんだろう?」と興味を持ち、「もっと知りたい」と主体的に探索したり、没頭したりする力です。物事に興味を持って、ワクワクする気持ちです。一般の学校のテストでは評価できない非認知能力といわれ、人生において非常に大事な能力です。知的好奇心は、何かに没頭するエンジンのようなもので、集中力が高まったり、物事を考えたり判断する情報処理能力もはぐくまれるという研究報告もあります。これが結果的に学業成績の伸びにもつながるといわれています。

子どものころに知的好奇心を豊かにしてあげると、大人になってからもいろんなことに興味を持って挑戦する力になります。いろいろな趣味活動の楽しみを持つことや、幅広い経験を得て、人生を豊かに歩んでいける力や幸福感も増すでしょう。

――子どもの知的好奇心を伸ばす最適な時期はいつなのでしょうか?

瀧 3〜6才ごろの未就学時期は知的好奇心を伸ばすのに最適だといわれます。脳は部位によって成長のピークを迎える時期が違います。生後6カ月ごろまでは見る・聞く・ぬくもりを感じるなどの原始的な感覚領域が発達し、そこから3才くらいにかけて言葉の習得や知的好奇心など、高度な機能の発達が盛んになり、運動をつかさどる領域も成長し始めます。

赤ちゃんは1才前から目につくものを触ったりなめたりしますが、これも知的好奇心で、五感を駆使していろんなものを理解しようとしています。さらに、2〜3才になると自分と他人の区別ができるようになり、外の世界に興味を持ち始めます。五感だけでなく言葉を操って知識を獲得することもできるようになり、知的好奇心がぐんと広がる時期。この時期に親子で一緒にさまざまな活動を楽しく行うと、その後の好奇心のさらなる伸びに有効だと考えられます。

ネット動画やゲームとのつき合い方は注意が必要

――子どもが好きだからといってネット動画やゲームをたくさん見せるというのは、あまりよくないことなのでしょうか。

瀧 ネットは動画はダメで図鑑がいい、ということはありません。しかし、ネット動画やゲームは魅力的・刺激的な色や音楽や内容に作ってあり、子どもが途中でやめにくい側面があるということは知っておく必要があるでしょう。「我慢をする」「やめる」などは脳の前頭前野にかかわりますが、この抑制系の力は思春期ごろにようやく発達のピークを迎えます。未就学時期の子どもにとって我慢をするのは簡単なことじゃないんです。ネットや動画を利用するときには、時間を決めるなど注意が必要です。

さらに、本を見るときの反射光は目に優しいですが、モニターの透過光にはブルーライトが入っていて、夜見ると眠けを抑え、睡眠の質を下げるといわれます。特定の距離のものばかり見ると、目のピントの調節機能が落ちるなど、体の成長に影響する部分もありますから、子どもが集中しているからといって、ネット動画やゲームを長時間見させるのはあまりよくないでしょう。

一方で、動画は楽器やスポーツの練習などのとき、体の動かし方がわかりやすいなどのいい面ももちろんあります。使い方を注意すれば、いいツールになると思います。

知的好奇心を高めるために習い事をしたほうがいいの?

――知的好奇心を高めるために習い事などはさせたほうがいいのでしょうか?始めるのに最適な時期などはありますか?

瀧 習い事に限らず、離乳食でいろんな食材に触れさせてあげたり、一緒にお散歩をして興味を持ったものを見せたり触ったりさせてあげるなど、豊かな環境を与えてあげることが大事です。子どもは言葉や社会的なルールなどのさまざまな能力を模倣によって獲得します。

親がピアノが好きでワクワクしながら弾いていれば、子どもはそれを見て「ピアノって楽しいんだな」と思いますし、逆にイヤイヤ仕事をしている姿を見せると、子どもも「勉強や仕事ってつまらないんだな」と思ってしまいます。子どもの興味関心を伸ばすには、親自身が興味を持っていろんなことを面白がることが大事でしょう。

習い事を始める時期は、脳の発達から見ると、スポーツや楽器なら、脳の運動に関わる領域がめざましく発達する3〜5才くらい、英語なら第二言語の習得に最適といわれる8〜10才くらいまでに始めれば効率がいいとは思います。ただ、早期教育すればいいということでもなく、その時期を過ぎたらダメということでもありません。大切なことは、少しずつ楽しい体験を見つけていくことだと思います。


――子どもが興味を示さなければ、途中でやめたり、ほかの習い事に切り替えたりしてもいいのでしょうか?

瀧 一度始めた習い事を続けさせたほうがいいかというのは、多くのママやパパが悩むと思います。子どもの様子を見て、頑張ってるけど練習がちょっとつらいくらいなら背中を押してあげればいいし、本当に嫌だったりほかのことに興味が移ったならやめさせていいと思います。苦しいけど続けて階段を少しずつ上ることも素晴らしいことですし、たとえ1カ月や半年でやめたとしても、その経験は決して将来に無駄にはならないでしょう。もったいないのは、何も経験をさせないことかもしれません。無理のない範囲でいろんな経験をさせてあげるというのは、子どもの将来の可能性を広げてあげるためにとてもいいことだと思います。

お話・監修/瀧康之(たきやすゆき)先生

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

子どもがワクワクして学ぶことが楽しい、という気持ちを育てるには、親自身が楽しめることを、子どもと一緒に取り組んでみることが大事だそうです。ポジティブなかかわりで、子どもの生きる力を伸ばしてあげましょう。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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