保健師が実践!6人家族で子どもが新型コロナに感染。家庭内感染を防いだ方法とは
ひよこクラブの特集の監修でもおなじみの助産師・保健師の平田かおり先生は6人家族。4人の子どもは中3、小5の双子、小2で全員男の子です。2022年2月3日にいちばん下の小2の子が、新型コロナウイルス感染症(以下新型コロナ)に感染。感染力が非常に強いといわれるオミクロン株の流行下でしたが、家庭内感染を防げたと言います。平田先生が実践した予防と、自宅療養について話を聞きました。
アルコール消毒の徹底や2月でも窓を開けて家庭内感染を防ぐ
平田先生の四男が新型コロナに感染して自宅療養になったのは、東京都で1万人以上の感染者が連日報告されていた第6波のピーク時。長男が高校受験間際ということもあり、平田先生はさまざまな感染対策を行いました。
――家族が6人もいると、家庭内感染を防ぐのはかなり難しいと思います。平田先生は、どのような対策をとったのでしょうか。
平田 私が最も注意していたのは、接触感染です。また四男は、39度の熱が出たものの、翌日には36.3度に下がり、そのあとは無症状でした。せきやくしゃみをすることもありませんでしたが、唾液(だえき)を介した感染には注意をしました。
長男は中3で高校受験のシーズンでしたし、わが家は昔、ウイルス性胃腸炎で家庭内感染が広がり、大変だったことがあるので、どうにか家庭内感染を食い止めないと!という思いで予防に努めました。
平田先生が実践した主な新型コロナの予防対策は、次のとおりです。
【1】濃度70%以上のアルコール消毒を部屋のいたるところに置く
新型コロナ対策には、濃度70%以上のアルコール消毒が有効です。「70%以上のアルコール消毒液を使用しました。もしもの時のためにと業務スーパーで買い置きしていた1ℓ入り(上の写真)が大活躍。小さめのスプレーボトルに移し替えて、玄関、トイレ、洗面所、キッチン、リビングなど家の中のあちこちに置き、子どもたちにもアルコール消毒の徹底を促しました。何かするときにはすぐにアルコール消毒という感じでした」(平田先生)
【2】家の中でも全員不織布マスクをする
感染を防ぐために、家の中でも不織布マスクを着用。「マスクは、普段から買い置きしていたので助かりました。小学生の子どもたちは不織布マスクの感触を嫌がったので、布マスクの上から不織布マスクをするように言いました」(平田先生)
【3】日中は窓を開けっぱなしで換気
寒くても換気は必須。「朝から夕方までは、家中の窓を開けっぱなしで換気していました。2月でかなり寒かったため、家族みんな部屋の中でもアウターを着るなど、厚着をして防寒対策をしていました」(平田先生)
【4】こまめな手洗いでタオルは使わない
アルコール消毒と併用して手洗いも徹底しました。「手洗いはハンドソープを使って、いつも以上にていねいにするように、子どもたちに声をかけました。手をふくときは、使い捨てのペーパータオルにしました」(平田先生)
【5】唾液から感染しないように歯磨き用のコップは分ける
新型コロナは唾液を介して感染するので、口に触れるものは注意が必要です。「歯磨き用のコップは家族全員で分けました。歯ブラシも使用後はアルコールスプレーをかけて消毒し、自然乾燥させました」(平田先生)
【6】衣類や食器は高温で乾燥
厚生労働省のHPによると、新型コロナウイルスは70℃以上(一定時間)の熱に弱いとされています。
「洗濯物は衣類乾燥機で高温乾燥。食器類も食器洗い乾燥機で洗い、乾燥させました。
ほかには家庭内感染を防ぐため、感染した四男のお世話は、私1人で行いました。おふろの順番は、四男は最後。おふろ掃除は、十分換気をした翌日に行っていました」(平田先生)
役立ったのは感染したママ友だちからの情報。都道府県などの情報にもアンテナを
平田先生の場合は、四男が感染者ということで家族全員が濃厚接触者になったため、仕事や学校を休み、自宅で健康観察を続けました。濃厚接触者は、不要不急の外出はできる限り控えなくてはいけません。
――6人家族だと、食事が大変だと思います。買い物はどうしていたのでしょうか。
平田 うちの場合は、下の子以外の家族は、濃厚接触者で健康観察が必要でした。東京都のHPには、濃厚接触者の健康観察期間の過ごし方として「健康観察期間内に発症する可能性があるため、不要不急の外出はできる限り控えてください。通勤や通学もお控えください。やむをえず外出する際は、マスクの着用、手洗い、人との接触は避けてください」とあります。
そのためいつも利用している食材の宅配サービスのほかに、どうしてもたりないものは、不織布マスクをして、人があまりいない閉店間際のスーパーに買いに行きました。そうでないと6人分の食事を、3食作り続けるのは難しかったです。
――自治体が行っている自宅療養のサポートなどは利用しなかったのでしょうか。
平田 実は四男の感染のあと、3月4日と5日に小5の双子が2人とも新型コロナに感染しました。
1人は39度の発熱とのどの痛みがありPCR検査で陽性。もう1人の子もせきが出ていて、みなし陽性です。小2の子は2月14日に自宅療養期間を終えていて、時間もだいぶたっているので、別ルートでの感染です。
双子の子どもたちが感染したとき、感染経験のあるママ友だちから教えてもらい、東京都の自宅療養サポートセンターに連絡したところ、自宅療養者1人につき段ボール3箱分の食料や水が送られてきて助かりました。
東京都から送られてきた食料品
――自宅療養が解除されて登校するとき、学校に陰性証明などは必要なのでしょうか。
平田 うちの子は公立小学校に通っていますが、陰性証明の提出は求められませんでした。「学校では検査をしてから登校する決まりはないので、家庭で判断してください」と言われました。念のため子どもたちには抗原検査をして陰性確認をしてから登校させました。抗原検査キットは、東京都が都内在住の濃厚接触者を対象に期間限定で無料配布していたものです。四男が感染したときに取り寄せました。また私は、勤務先の病院でPCR検査を受けましたが、四男が感染したときも、双子が感染したときも陰性でした。
東京都から送られてきた抗原検査キット
――こうした情報は、どのようにして集めたのでしょうか。ネットで検索したのでしょうか。
平田 ネットで検索したのもありますが、家族がコロナ感染したママ友だちからの情報が役立ちました。また自宅療養者に食料や飲料が届くサポートサービスの条件も市区町村と都道府県では異なったりするので、よく情報を見比べてください。
お話・監修・写真提供/平田かおり先生 取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部
第6波になり、子どものコロナ感染が増えています。なかには「家庭内感染で、子どもにうつしてしまった」と悩むママやパパもいるかも知れませんが、平田先生は自分を責めず、療養期間が終わったら親子でたくさんスキンシップをとってほしいと言います。
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