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「いたいの、いたいの、飛んでいけ~」コロナ禍だからこそ考えたい人と人の触れ合いの大切さ【小児科医】

更新

白人の母親は泣いている小さな息子の娘幼児の幼児の新生児を抱きしめる。コリック、歯の健康上の問題。出生後うつ病。母性と育児
Inside Creative House/gettyimages

小児科医として、長年ママ・パパと赤ちゃんを支えてきた陽ちゃん先生。診察室で病気の診療をするほかにも、触れ合いによって親子の絆を深める「タッチケア」という分野の推進にも取り組んできました。
新型コロナ感染症の流行によって、人と人との触れ合いやコミュニケーションの形が大きく変わった今、陽ちゃん先生が思うこととは―――?

赤ちゃん、ママやパパにいつもやさしく寄り添う陽ちゃん先生こと、小児科医の吉永陽一郎先生が、日々の印象深いできごとをつづります。先生は育児雑誌「ひよこクラブ」でも長年監修として活躍中です。「小児科医・陽ちゃん先生の診察室だより」#37

人と人の触れ合い、コロナ禍では悪いことに?

みなさんは「タッチケア」というものを知っていますか?親と子の心と体の触れ合いによって、絆を深めるための取り組みをそう呼んでいます。

具体的に何をするかというと、親子で見つめあい、親は赤ちゃんに語りかけながら、赤ちゃんの素肌にしっかり触れ、なでる。少し圧をかけながらマッサージする。手足を曲げ伸ばしする…などの手技を行うことが基本です。
これらの触れ合いによって、赤ちゃんの情緒が安定し、ストレスホルモンが減少することなどが証明されています

私は「日本タッチケア協会」の理事として、タッチケアを中心に、親と子の結びつきや愛着形成の支援に長年取り組んできました。しかし、コロナ禍のこの数年で、人と人の触れ合いやコミュニケーションへの価値観が大きく変わったと感じています。

幼いころから当然のように言われてきた
「人と仲よくしなさい」
「相手の目を見て話しなさい」「触れ合いが大事です」
「手を握りましょう」
「はっきりと名前を言ってごあいさつしましょう」
といった行動。

これらのことが、感染予防のために接触を避けることが推奨されるコロナ禍の今では、まるでいけないことになった感じさえしています。

必要以上に近づいてはいけないし、触れ合うなんてとんでもない。マスクで表情を隠して、余計なことはしゃべらない。話す時も、唾液(だえき)が飛ばないようにモゴモゴと小さな声で…。
こんな中で、触れ合いや人と人のつながりが大切だと言い続けているんです。触れ合いを推進する私たちの活動にとって、受難の時代だと言えるかもしれません。

しかし、どんな時代になっても、人は人とのつながりの中で生きているし、つながりがなくていい日が来るはずがありません。

アニメキャラクターの言動で、人と触れ合うことの大切さを実感

そんな悩みを抱いていた、ある日の出来事です。2歳になろうとする孫と、子どもたちに大人気のアニメ番組を観ていました。

その日のアニメの内容は、あるキャラクターが発熱したというもの。おでこが赤くなっていて、体温を測ろうということになりました。
熱を測るシーンで出てきたのは、最近よく見かけるピストル型の非接触式の体温計。これからの子どもたちには、この形の体温計が常識になるのかと思い、ちょっと寂しい気持ちで観ていました。

しかし、その次の瞬間、別のキャラクターが熱を出したキャラクターのおでこに手を当てて「いたいの、いたいの、飛んでいけー」とやってくれたのです。このシーンにホッとして、救われた気がしました。

大人も子どもも、感染症が広がらないように、熱の測り方を含めて新しい生活様式を学ぶことは大切です。
でも、病気やけがでつらいときには、誰かに手を触れてもらって「いたいの、いたいの、飛んでいけー」とやってもらいたいし、やってあげたい。このことを忘れずにいたいと思いました。

私たち大人は、子どもたちの周囲に、そんな触れ合いのシーンをなくさずに用意しておきたいものです。毎日孫に翻弄されているじいじは、そのアニメのキャラクターに「ありがとう」と思ったのでした。

文・監修/吉永陽一郎先生 構成/ひよこクラブ編集部 

■記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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