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【女優・加藤貴子】夏休みは子どもの睡眠リズムを整える絶好のチャンス!脳科学者に聞いた、子どもの睡眠で一番大切なこと

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7才と4才の2人の男の子のママである女優・加藤貴子さんが、「朝にすっきり起きられない」「夜はきょうだいで遊んでなかなか寝ない」といった子どもたちの睡眠リズムの悩みについて、小児脳科学者 成田奈緒子先生に聞きました。育児関連の悩みや気がかりについて加藤さんが専門家に聞く連載の第8回です。

睡眠のリズムを作るには「早起き」だけ頑張ればいい

加藤さん(以下敬称略) 7才で小学2年生の長男と4才で保育園に通う二男がいますが、2人とも夜寝るのが22時〜23時ころと遅くて、朝もなかなか起きられません。どうしたらいいものかと困っています。

成田先生(以下敬称略) 遅くに寝ることの味をしめてしまった子どもというのは、早く寝かせようと思っても寝ません。貴子さんもきっと「早く寝なさい」と一生懸命言っているとは思いますが、そこにエネルギーを使って怒るのもしんどいですよね。私は「子育てアクシス」という事業でさまざまな親子の相談を受けていますが、貴子さんと同じように苦労している人は本当に多くいます。

7才と4才というと、理想の入眠時刻は20時なんです。睡眠時間やリズムが狂うと成長ホルモンの分泌量が減ってしまうので、思春期の身長の伸び幅が少なくなったり、けがしやすい体や肥満になりやすい体になるということもあります。

子どもの睡眠のリズムを整えるには、「夜、早く寝かせる」ことから始めるより、「朝、たたき起こす」ことから始めるほうが圧倒的に早く改善できます。人間の脳は、朝に日光を浴びることでずれている体内時計が整ってきます。夏休みは、睡眠のリズムを立て直すにはとてもいい機会ですよ。

加藤 4才の二男は保育園で2時間ほど昼寝をするからか、夜はなかなか眠くならなくて、お兄ちゃんと遊んでしまうんです。

成田 2才までの間に、脳が「暗くなったら寝て、朝になったら起きる」というリズムを作れていると、3〜4才ごろにはそれほど昼寝はいらなくなるはずです。保育園の先生にも、家庭で早起きに挑戦していることを伝えて「お昼寝はあんまり長く寝かさないようにしてもらえますか」とやんわりとお願いするといいでしょう。

以前、ある保育園に「1週間早起きチャレンジ」をやってもらったことがあります。各家庭で6時〜6時半に子どもを起こし、起きたら好きな食べ物を食べたりテレビを見たりしていいよ、というルールにし、さらに太陽の光を浴びさせてもらいました。そして保育園でのお昼寝の時間は1時間までにしてもらいました。

早起きを1週間継続してみた結果、ママやパパから「夜寝つくまでの時間が短くなりました」「朝食を食べる量が増えました」「穏やかに機嫌よく過ごせるようになりました」「きょうだいげんかが減りました」という感想をもらいました。
このように、朝だけ頑張って起こしてあげると、夜は自然と眠くなって寝かしつけが楽になる、という人が多いです。4才、7才くらいなら、まだリズムを取り戻せますよ。

加藤 まだ間に合うと聞いてすごく心強いです。夏休みはしかることばかりになるんじゃないかと絶望的な気持ちでいたんですが(笑)、立て直し期間だと思うと希望がわいてきますね。

動画やゲームは夜ではなく朝ならOK

加藤 夜、寝るのが遅くなってしまうのは、やるべきことがたくさんあるのも理由の1つです。仕事のあとに子どもたちを学童や保育園に迎えに行き、習い事などしていると帰宅は19時ころ。それからおふろ、ごはん、と、てんやわんやです。子どもたちはやるべきことを済ませたら、動画を見たりゲームをしたがるので、それをダメとも言えなくて…。睡眠のリズムを立て直すには、具体的にどうすればいいですか?

成田 楽しいことは、朝にやらせてあげたらどうでしょうか。早く起きたら、何時まではゲームもやっていいよ、動画も観てもいいよ、というふうに。動画もゲームも「やめなさい」「取り上げるよ」としかってばかりではお互いにつらいですよね。朝に楽しいことがあると結構乗ってくれる子が多いです。

できればベランダなどに出て、朝日を浴びるのも効果的です。朝、ぼんやりして体があまり動かない子は、おふろやシャワーもおすすめ。学校があるときも、朝おふろに入ると脳が目覚めて活性化するので、勉強のパフォーマンスが上がります。また、朝ごはんには卵や魚、納豆などのタンパク質をとると胃腸がよく動いて、朝うんちが出るとさらにいいと思います。

加藤 「早起きしたら動画やゲームを見ていいよ」という方法は実践してみたいと思います。帰宅してからあれもこれもやらなきゃ、でも早く寝かせなきゃ、と思うと、自分もいっぱいいっぱいになって、子どもたちをしかってしまっていました。7才の長男は学校の宿題もあるので、それも終わらせないと、と思って…。

成田 宿題や勉強は、睡眠のリズムができてから考えればいいと思います。たとえば睡眠リズムの立て直しの1週間は、宿題をしないで先生に何か言われたら「すみません」と親が謝るくらいの覚悟を持って、まずは21時までに寝ることを目標に、朝6時に起きることだけ取り組んでみましょう。早起きも勉強も頑張るとなると子どもは疲れてしまいますから。

早起きができる習慣がついて、将来的には朝に勉強ができるようになると理想的です。脳科学的には、朝がいちばん勉強には効率がいいんです。午前中の授業も身につきやすくなりますから、学業成績にも影響しますし、結果的に子どもは将来得をします。そこを目標と考えると、今日明日の宿題をやったやらないは、あまり気にしなくていいと思います。

加藤 そうなんですね。私、肩に力が入りすぎて大きい勘違いをしてしまうところでした。21時までに寝かせるために、それまでに何から何まで全部やらせようというのは、子どもも私もお互いに難しいし頑張れないですよね。

ママも一緒に子どもと一緒に早寝をしよう

加藤 親子の生活リズムが違うことも困っています。やっと子どもが寝たと思ったらパパが帰ってきて、また子どもが起きてしまう、というときはどうすればいいですか?

成田 いちばんいいのは、貴子さんも一緒に寝ちゃうことです。よく、パパが帰ってきたら食事のしたくをしてあげないといけないから、子どもの寝かしつけが難しいという家庭の話を聞きます。それならたとえば、子どもの生活リズムを整えるために、1週間だけと区切りを決めて、「この期間は子どもと一緒に寝るから、パパの食事は自分でやってね」というふうにしてみてはどうでしょうか。家庭によって状況は違うと思いますが、それぞれの落ち着くポイントを探してもらうといいと思います。

子どもにだけ「寝なさい」というとなかなか寝なくても、「ママも一緒に寝よう」というと小学校低学年なら喜んで一緒に寝るお子さんも多いと思いますよ。そして、早起きができるようになったら、ちょっと大げさにほめてあげてください。「早起きしてすごい変わったね!これなら学校で勉強もめっちゃできるよね!」というふうに。子どもたちはきっとニコニコしながら学校に行くのではないでしょうか。

監修/成田奈緒子先生

お話/加藤貴子さん、成田奈緒子先生 撮影/アベユキヘ 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

夏休みは子どもたちの睡眠リズムを整える絶好のチャンス!もし夜更かしの習慣がついてしまっていたら、ぜひ「早起きだけ」を頑張ってみてはいかがでしょうか。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

加藤貴子さん(かとうたかこ)

PROFILE
1970年生まれ。1990年に芸能界デビューして以降、数々の作品に出演。代表作として『温泉へ行こう』シリーズ(TBS系)、『新・科捜研の女』シリーズ(テレビ朝日系)、『花より男子』(TBS系)などがある。

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