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「おちんちんの皮をむく?むかない?」医学では聞く事がない議論が、ネットだとあいまいな情報であふれ…。ママ・パパの不安な気持ちに寄り添いたい【女性泌尿器科医】

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アジアの新生児
●写真はイメージです
maruco/gettyimages

4才の男の子と1才の女の子のママであり、たまひよONLINEでも連載を持つ泌尿器科医の岡田百合香先生。乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」で、おちんちんのしくみやケアの基本について情報発信をしています。
岡田先生が日々の診療や育児の中で感じている「性にまつわる情報」の違和感や、「おちんちん」についての間違った思い込みなどについて、話を聞きました。

泌尿器科は、おしっこに関することと生殖器に関することを診る

――岡田先生が専門にしている泌尿器科とは、どんな病気を診るのですか?

岡田先生(以下敬称略) 泌尿器科では大きく分けると、①腎臓、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道などおしっこ(尿)に関する臓器のこと、②陰茎や精巣など男性の生殖器に関すること、の診断・治療を専門とします。投薬などの内科的な治療とともに、尿路結石やがん、男性不妊症などに対しての外科手術も行います。手術の方法もロボット手術や腹腔(ふくくう)鏡手術などさまざまで、非常に幅が広い分野です。

産前・産後の女性は、性器のトラブルは産婦人科を受診すると思いますが、泌尿器の構造は女性も男性とまったく同じなので、腎臓・尿道・膀胱に関するトラブルは女性の場合も泌尿器科が担当します。40代以降の女性は腹圧がかかると尿もれを起こしたり、トイレが近くなったり、というトラブルが増えてきますが、これも泌尿器科の専門領域です。泌尿器科は男性だけのものではありません。

――岡田先生が泌尿器科医を目指した理由を教えてください。

岡田 私はもともと「性」に関連した領域に関心があり、医学部卒業の時点では産婦人科を希望していました。しかし、研修医として働く中で、泌尿器に関する病気で受診する女性患者さんは少なくないのに、泌尿器科の女性医師の割合は3〜5%と非常に少なく、女性患者さんからの需要が高いことを実感しました。
女性医師に診てほしい、という女性患者さんからの要望を強く感じたこと、また男性の「性」に関する診療もできることから最終的に泌尿器科を選びました。

――「性」に関することに興味があったというのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

岡田 私の大学生活は、恋愛に翻弄(ほんろう)され、たくさんの恋愛失敗体験を重ねた日々でした。いわゆる「ダメンズ」というか…金銭トラブルがあったり、浮気症だったり、そういう人たちと恋愛をして、傷ついて、なんでうまくいかないんだろうって悩んでばかりいたんです。
医学部の性感染症の授業も、完全に「自分事」として聞いていましたね。医学的な知識や正解がわかっていても、実践するのは簡単ではなかったり、きれいごとでは片づけられないなと実感しました。
そういう経験をしたからこその視点や発信できるメッセージがあると思っているので、今から思えばいい経験なのですが、当時はつらかったですね(笑)

ママになって医学と子育ての溝の深さを感じた

――岡田先生は現在、愛知県内の総合病院で非常勤の医師として勤務しながら、乳幼児の保護者向けの「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」を行い、たまひよONLINEでも連載を持って情報発信しています。

岡田 講座に来てくれる多くのママたちは、「おちんちんの皮をむくか、むかないか」で悩んでいる人がとても多いです。実は私は、男の子のママでありながら、産後そのことについてはほとんど関心がありませんでした。乳幼児期の子どものおちんちんの皮に対して保護者が何かする必要があるのかを医学部で習ったわけでもないし、泌尿器科の学会や勉強会でもほとんど聞いたことがなかったからです。

だけど、知り合いの助産師さんから「世の中のママたちはおちんちんの皮をどうするかについてすごく気にしてるよ」と聞きネットで調べてみると、あいまいな情報があふれていて驚きました。
ママたちは「自分が本当はむいてあげるべきところをむかなかったために、子どもが将来困ったらどうしよう」とか、「自分が間違ったやり方をして子どものからだを傷つけたらどうしよう」とか、悩み混乱しているだろうなと。

――「おちんちん講座」などでの情報発信には、先生自身が妊娠や出産をした経験も影響していますか?

岡田 そうですね。私は26才で結婚し、27才で第1子を出産しました。でもその前に、1人目の赤ちゃんを流産でなくしてしまったんです。妊娠9週のときで、心拍も確認できたあとのこと。すごくつらい経験でした。それまで結構順調に人生を歩んできて、なんとなく世の中で起こっている悲しいことやつらいことは自分には起こらないと、どこかでひとごとのように思っていたんでしょうね。おなかの赤ちゃんをなくして初めて、社会課題に対する当事者意識が芽生えた気がします。

今は2人の子どもに恵まれましたが、「この子たちに何かあってはいけない」という思いが強くあります。「おちんちん講座」をやっていて、多くのママたちがこの情報を知りたいと思っているのは「自分の判断ミスや情報収集不足で子どもに不利益を与えたくない」という気持ちからだと思うんです。自分もママになってみて、ママたちが子どものおちんちんに対して心配している感覚が、自分ごととして理解できました。

ですが、子育て中の保護者が知りたい「おちんちんの皮をむくか、むかないか」や「おちんちんは石けんをつけて洗うのか」といったテーマは、医師の中での優先順位は低く、研究や情報発信も多くはされていません。日々の診察でも忙しくてなかなかていねいに解説する余裕はありません。だからこそ、病院の診察ではゆっくり伝えられないことや、保護者の不安や疑問を解消できるような情報を伝えたいと思い、「おちんちん講座」を開催してきました。

――子どもを産む前とあとでは、医師としても感じ方や考え方が変わったのでしょうか。

岡田 妊娠前に総合病院の救急外来で働いていたとき、深夜2時くらいに「熱が下がりません」と小さい子を連れて受診するママを何人も見ました。そのときは「こんな夜中に来なくても、朝になってから受診したほうがいいんじゃないかな」と考えていたんですが、自分がママになってその気持ちがわかりました。
子どもが夜に熱を出すと、医師の私でも「高熱が下がらなくてこの子が死んでしまったらどうしよう」「受診が遅れて重症化してしまったら一生後悔する」と救急外来に行くべきか迷います。
今なら迷わずねぎらいと共感の言葉をかけますが、当時はそうできなかったことをあのときのママたちに謝りたい気持ちです。

これからの性教育、まずは大人が学ぶことが大切

――岡田先生はコロナ禍以前は、高校などで出張性教育授業を行っていたそうですが、今後、園や学校での性教育はどんなふうに行っていくことが理想だと考えますか?

岡田 これからを生きる子どもたちにとって、自分も相手も大切に尊重し合う人間関係を築くために、性教育はすごく大事なことです。授業として取り入れることも大事ですが、性教育の芽は子どもたちの日常の中にたくさん散らばっています。おちんちんを出してふざけるとか、着替えを男女同じ部屋で行うこととか、子ども同士のけんかだってそうです。園や学校の先生たちが、そのポイントをひろいあげて、子どもたちと一緒に考えたり伝えたりすることが大事だと思います。でも実際は、先生たちもどうしたらいいかわからなくて困っているんじゃないかと思いますし、忙しすぎて、性教育に取り組みたくても余裕がないのが現状でしょう。

だから「大人が子どもに教える」という視点だけではなく、保育士さんや幼稚園、小学校の先生にも性教育を受けていただき、日々の保育教育で実践できるようにすることや、その中で困ったことを相談・共有できるしくみが必要だと思います。そのためには、保育・教育に携わる先生方の働き方や待遇を改善することも必要不可欠です。
また、家庭でできることもたくさんあります。「何からやっていいかわからない」というママやパパは、まずプライベートゾーンについて、本・絵本などを使って大人が学びつつ、子どもにも少しずつ伝えていくといいと思います。

お話・監修/岡田百合香先生

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

以前、岡田先生が行っていた助産院での「おちんちん講座」は、これまで200人ほどのママたちが参加してきたそうですが、現在はコロナ禍でお休み中なのだとか。その代わりに、不定期でオンラインの「おちんちん講座」を開催しています。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書

むく?むかない? もぞもぞ触ってたらなんて言う? だれにも聞けないモヤモヤをぜ~んぶ解決! 約7000人の男性器を診察したママ泌尿器科医が提案する、おちんちんの正しいお手入れと性の新常識。健やかな男の子の成長に欠かせない情報をまるごと詰め込んだ、これからの時代の子育て本。岡田百合香著/1760円/(誠文堂新光社)

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