【女優・水野美紀】子育てのイライラ…どう対処する?子どもの成長のために親ができること
43才で高齢出産し、現在5才のお子さんのママである女優の水野美紀さん。日々の子育てのこと、お子さんの成長などについて、水野さんに話を聞きました。お子さんが2才から5才の現在までの日々の様子をしたためた、子育てエッセイの第2弾となる『水野美紀の子育て奮闘記 今日もまた余力ゼロで生きてます』が出版となりました。
子どもの斜め上すぎる行動はエッセイのネタに
――今回のエッセイでは、お話ができるようになったお子さんとのほのぼのするエピソードがたくさん書かれています。子育ては思い通りにならないことも多いと思いますが、水野さんはお子さんの成長をとてもおおらかに受け止めている印象を受けました。日常でイライラすることはありませんか?
水野さん(以下敬称略) あります、あります。休みの日に子どもとずっと一緒にいると、すべて子どものペースに合わせる必要があって、自分のペースでは動けませんよね。子どもはずっとかまってほしがるし、そうするとやっぱりストレスになることも。ちょっとイラっとしたら、頭の中で「かわいいな、かわいいな」って呪文のようにつぶやくようにしています。子どもを見つめながら、声には出さずに。そうすると、ちょっとイライラも落ち着いてきます。
――エッセイの中で「おみそ汁をぶーっと母の顔にかけられた」というエピソードもありましたが・・・そんなときは?
水野 もうそこまでやられると、笑っちゃいますよね、斜め上すぎて(笑)。そういうときは「これはネタになるな」「エッセイのネタとしてメモしておこう」というような発想も出てきて、どこか客観的に見られて、イライラせずに済んでいるんだと思います。アウトプットする場所があるのは、子育てのクッション材のようになっているかもしれません。
――お子さんは今5才とのこと。成長によって子育てにどんな変化がありましたか?
水野 親子で会話ができるようになったのはすごく楽しいんですけど、子どもが5才になって行動範囲は広がるし、体力がついてきてじっとしてないので、気が休まるときがないです。2人でお出かけするとまっすぐ歩かないし、私が追いつけないぐらい走るのも速くなったので、目が離せません。なかなかまだまだ、大変だなって。
空っぽのお弁当箱が返ってくるうれしさ
――お子さんは現在幼稚園に通っているそうです。お仕事をしながらの毎朝のお弁当作りは大変ではないですか?
水野 私にできるのか心配でしたが、ずっと作っていると慣れてくるものですね。お弁当の量も少ないし、入れられるメニューも限られているし、冷凍食品も活用しますし・・・。だいたいは、おにぎりと卵焼きとから揚げとかのお肉類と、ブロッコリーとミニトマト1個くらいですから。お弁当作りは私の担当なので、早朝から仕事がある日はお弁当を作ってから出かけます。
――お子さんの好きな食べ物や、きらいな食べ物は?
水野 好きなのはごま塩おにぎりです。きらいというか、ミニトマトは家で出しても絶対に自分からは食べないんですけど、お弁当に入れると食べます。家で食べるのと違って、幼稚園でお友だちと一緒に机を並べて食べるっていうのはちょっと特別感があるみたいですね。お弁当を食べ終わったら先生に見せることになっているので、先生にほめられたいっていうモチベーションも手伝ってか、苦手なものでもお弁当に入れると食べてくれます。空っぽになったお弁当箱が返ってくるのはとってもうれしいものです。
お絵描き遊びで子どもは自分の体までキャンバスに
――今回のエッセイも夫の唐橋さんがイラストを描いています。絵が得意なパパと一緒にお絵描きして遊ぶこともありますか?
水野 お絵描きはよくしています。水彩絵の具、アクリル絵の具、スプレー、筆、スケッチブックなど夫の画材道具がいっぱいあるので、いろんな画材を使ってよく一緒にお絵描きしていますね。そのまま壁に飾れるように木枠に貼ってあるキャンバスもあるので、子どもが描いた絵を壁に飾ったりしています。子どもの発想で描く絵って本当に自由だし、画材の使い方も斬新でおもしろいんです。
ただ、パパがあんまり絵が上手だと「パパ描いて」ってなっちゃうので、夫のいないときやお友だちが遊びにきたときに、お絵描き遊びさせています。
――お友だちと一緒にお絵描き遊びをすると、家の中が大変になりませんか?
水野 そうそう。だから大きなビニールシートを部屋中に広げて、どうなってもいいように自由に遊ばせています。そうすると最終的には体中に絵の具を塗り始めたりして・・・、自分の体をキャンバスにしちゃうんです。でもそういう自由な表現も大事にしたいと思っています。
子どもの「じぶんで!」を大事にしたい。挑戦、失敗、成長する姿を見守れる幸せ
――最近のお子さんの様子で何か成長を感じたことはありますか?
水野 子どもの成長って、親が思うよりも半歩先を行っている気がします。最近は私が何か手助けしようとするのを跳ねのけて「自分でできる」と言ってなんでも自分でやろうとすることが増えました。たとえばあるときは靴ひもを自分で結ぼうとして、結局ちょうちょ結びはまだできずに最終的には私に「やって」って言うんですが、でも自分でできるところまで、気が済むまでチャレンジしたい、っていう意欲が見えたことに成長を感じました。だからなんでもかんでも、親が先に手出ししちゃいけないなぁと感じています。
この夏休みにプールに連れて行ったときのことです。子どもは水に顔をつけるのもこわいかなと思ってサポートしていたんですけど、気づいたらゴーグルをつけて1人でもぐれるようになっていて驚きました。もぐれるなら、うきわをはずしてビート板を持ってみようか、と、ビート板を持って壁をける、“けのび”のやり方を私がやって見せてあげました。子どもはそれを見てまねをして、うまくいかないと悔しがって何度もチャレンジ。私も「さっきより上手だったよ!」とほめて背中を押してあげながら見ていたら、あっという間に上手にできるようになったんです。
そのほかのことも、やってみてできないと悔しがって泣いたりするけど、落ち着くともう1回自分からやってみる、できたときにはすごくうれしそうにする・・・5才の今、こうやって子どもが成長していく姿をそばで見られることにも幸せを感じます。だからどんどんいろんなことにチャレンジさせてあげたいです。
――水野さんも手や口を出しすぎず、見守ってあげているんですね。
水野 見ているとついつい手を出したくなります。その衝動をぐっとおさえて・・・これを我慢するのも親の仕事なんだな、と思いながら。難しいですよね、なかなか。だから子どもは自分が思うより半歩先を歩いている、という意識をいつも念頭に置くように心がけています。
お話/水野美紀さん 撮影/アベユキヘ スタイリング/山下友子 ヘア&メイク/面下伸一(FACCIA) 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
[水野さん]シャツ4万8400円、シャツワンピース4万8400円(以上YOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモト プレスルーム TEL03-5463-1500)、ピアス2万2000円(Grossé/グロッセ・ジャパン TEL03-6741-7156)、眼鏡3万6300円(MOSCOT/MOSCOT Tokyo TEL03-6434-1070)
水野さんの「手出ししたいのを我慢するのも親の仕事」という言葉が印象的です。お子さんの日常のエピソードから、水野さんご夫婦の愛情をたっぷり受けながら、自由にのびのびと成長している様子がうかがえました。
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水野美紀さん(みずのみき)
PROFILE
1974年、三重県出身。女優。1987年にデビュー。以後、フジテレビ系ドラマ・映画『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、テレビドラマ、CMなど、数多くの作品に出演。女優業に加え、自身の主宰する演劇ユニット「プロペラ犬」では脚本・演出を担当。独自の観察眼とアンテナを生かし、エッセイなどの執筆も精力的に行っている。2016年に結婚、2017年に第1子の出産を発表した。
『水野美紀の子育て奮闘記 今日もまた余力ゼロで生きてます。』
「なめくじたべたいの」そう言い出した2歳の子どもの本心は? 楽し気に歌う童謡に登場した謎の人物とは? 夫の唐橋充さんによるイラストが、忙しくもほのぼのとした家族のひとこまを描いています。子育てに奮戦する女優の人気エッセイ第2弾! 水野美紀著/1540 円(朝日新聞出版)