子どもには早起き・早寝、いい睡眠がとっても大切。毎日たっぷりの夜睡眠の確保を【小児科医】
「小児科医・太田先生からママ・パパへ、今伝えたいこと」連載の#24は、「寝る子は育つ、たっぷり眠ってトクをしよう」がテーマです。太田先生がクリニックの乳幼児健診で気になっている夜更かしを解決するコツを教えてくれます。
小学校低学年までは、夜の睡眠は10時間が理想
1歳6カ月健診と3歳健診は日本中の子どもが受けますが、千葉市では集団健診とは別に内科健診はクリニックで個別に行っています。
どちらの調査票にもたくさんの調査項目がありますが、私がいちばん注目しているのは生活リズム欄です。子どもたちが早起き・早寝をして、いい睡眠が取れているかが気になるからです。
日本小児保健協会では、子どもに必要な睡眠時間は、0歳児で14〜15時間、1歳児で14時間、3歳児で12時間、小学生で10時間が理想としています。小学校低学年までは、昼寝の時間を除いて10時間必要なのです。
調査票の生活リズム欄を見ると、早起き・早寝ができていない子が見受けられます。とくに保育園を利用している家庭では、出勤日だと朝も夜もドタバタ。職場が東京都内だと出勤に1時間以上かかるので、6時に起床して朝は7時過ぎたら登園。夕方のお迎え時間も18時過ぎになります。こんな状態で夜間10時間の睡眠時間を確保するにはどうしたらいいのでしょうか。
睡眠時間が短いと、子どもだって朝、起こされないと起きられません。夜はどうしたら早く寝られるでしょうか。普段は自宅で過ごしている子どもだと、起床が8時近くと遅く起きる子もいます。こんな子たちが、早起き・早寝をするためにはコツがあります。それを紹介します。
心もバランスを整えるセロトニンのためにも、子どもの夜の睡眠はたっぷりと
夜の就寝時間が遅くなる要因としては、家庭保育中の子どもだと、
・起きるのが遅い
・夕方まで昼寝をする
集団生活をしている子どもだと、
・おふろが楽しくて長ぶろする
・夕食後におもちゃで遊び始める
など、帰宅後にポイントがあります。
ママ・パパが遠距離通勤の場合、朝6時ごろ起床という家庭もあるでしょう。この家庭で子どもを10時間寝せるためには、就寝時刻は20時が理想です。寝不足になっている子は自分で起きられません。
昼寝をしていても、夜の睡眠時間はたっぷり必要です。夜間寝ている間に出る成長ホルモンやメラトニンは睡眠リズムと関係するし、心のバランスを整えるセロトニンも早起きしないとたくさん出てくれません。生活リズムを一定にすることで早起き・早寝の習慣がついていきます。昔からいわれている『寝る子は育つ』は、本当のことなのです。(ホルモンの効果についての詳細は省きます)
鼻水を自分で出せない子は、おふろ上がりに取ってあげて
起床時間は、遅くとも7時。朝弱いママ・パパはつらいかもしれませんが頑張りましょう。お昼寝を夕方までしている子は15時過ぎたら起こしましょう。これが守られないと夜になっても眠くなりません。
保育園に行っている子は、入浴は帰宅後すぐに済ませましょう。鼻水を自分で出せない年齢の子は、おふろ上がりに鼻水が取れるとすっきりして夕食が進みます。食後は一休みしたら歯のお手入れを。そのあとは、おもちゃを出すのはがまんして、絵本を読む準備をして寝室へ。食後の入浴とおもちゃ遊び、どちらも楽しすぎると眠くなくなってしまいます。
効率的なリズムとしては、
帰宅したら→そのまま入浴(小さい子は鼻水を取って)→夕食をとったあとは、顔と手を洗って歯磨き→一緒に本読みしながら就寝 です。
せっかく寝室に行ってもお布団の上で飛び跳ね始めるとなかなか寝られません。パパが帰ってくると盛り上がって寝られなくなることもあります。ちょうど寝かしつけの時間に帰ってくる場合は、こっそり家に入ってもらいましょう。
保育園に通っている子どもは、ママ・パパの都合で起床時間が決まります。この時間は変更できないでしょうから、起床時間からさかのぼって10時間前には布団に入れるように心がけましょう。絵本を読み聞かせながらおやすみなさいです。
早起き・早寝の習慣をつけて、質のいい睡眠をとらせて、“寝る子は育つ”を実感しましょう。
構成/たまひよONLINE編集部
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