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「子どもができると人生の主役が交代する?」子どもと僕の関係は、日々驚きと発見の連続【作家 岡田悠】

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9カ月、いないいないばあの遊びがお気に入りのころ。名前を呼ぶとスッと手を上げるように。(『1歳の君とバナナへ』より イラスト/岡田アミさん)

会社員であり作家である岡田悠さんは、1年間の育休を取得し、子どもと過ごした日々のことをエッセイ『1歳の君とバナナへ』につづっています。岡田さんにコロナ禍の妻の妊娠のこと、共働き育児の乗りきり方、子育てをして感じた自分の変化などについて話を聞きました。

初めてのお世話は、うんちのおむつ替え

――岡田さんの妻・アミさんはコロナ禍の2020年4月に妊婦がわかったそうですが、妊婦健診につき添うことはありましたか?

岡田 コロナ禍でしたが、妊婦健診は毎回つき添って一緒に行っていました。妊娠9週で初めてエコーを見たときは「なんか黒い点があるな」と思ったくらいであんまり実感がなかったです。思いのほか感動しない自分にがっかりした感じですね。

でも妊婦健診に行くたびに、少しずつ赤ちゃんが大きくなってくる様子を見ると、会いたい気持ちも強まってきたように思います。妻は帝王切開分娩だったので、手術日が決まったときに「ついに親になるんだ」と。締め切りが設定されたような、夏休みの最後の日のような、覚悟を感じました。

――両親学級などはありましたか?

岡田 コロナ禍で、産院も自治体なども両親学級はいっさいありませんでした。友人から、両親学級に何回か行くと赤ちゃんのお世話のことがわかるよ、と聞いていたんですが、その機会もなくて・・・。妻とネットで赤ちゃん用品の情報を調べたり、インスタグラムで紙おむつの替え方の動画を見たりしていました。
でも、おむつ替え、抱っこ、ミルクの作り方、ベビーカーの組み立て、抱っこひもをつけるなど、動画で見てやってみても全然うまくできませんでした。

――お子さんが生まれて実際にお世話をしてみてどうでしたか?

岡田 めっちゃむずいな、と。でも、生まれる前に練習したらできなかったけど、いざ生まれて必要に迫られて何回かやってみたら、意外とできたし、覚えられるものですね。

――いちばん初めにしたお子さんのお世話はなんですか?

岡田 おむつ替えです。その日は妻が退院した翌日で、僕の育休の初日でした。里帰り出産だったので、妻の実家に行ったんですが、実家についた瞬間に赤ちゃんがうんちをしていて、初めておむつ替えをしました。初めて見る赤ちゃんのうんちは、黄色っぽくて全然においがしませんでした。

――得意なお世話はなんですか?

岡田 育休中はおふろと寝かしつけは僕がやっていました。奥さんは帝王切開の傷の痛みがあったので、自然と僕の役割になって、今でも僕のほうが得意かもしれません。

デジタルツール、外注サービスを活用して共働き家庭の育児を乗りきる

――共働きのアミさんとの家事分担はどうしていますか?

岡田 育休中は掃除関連のことと料理関連のことを週ごとに交代で担当していたんですが、お互い仕事復帰してからはあんまり家事が回らなくなってきました。僕も妻も家事があまり好きではなく、あまりやりたくないから、どう効率化させるかを相談しています。掃除は代行サービスを使うこともあります。食事はミールキットを使っていましたが、それも面倒になって、最近は作り置きおかずの宅配サービスを利用しています。

――夫婦の予定はどのようにシェアしていますか?

岡田 お互いの予定は全部クラウドに管理しています。帰りが遅くなりそうとか、この日あたりに飲みに行きたい、といった予定をGoogleカレンダーに入れ、相手に通知を送って共有します。毎日お互いの予定を見て行動するのが基本になっています。

ほかに育児アプリや写真共有アプリで子どもの写真を共有したり、保育園からPDFで届いたお知らせもGoogleドライブで共有するなど、クラウドツールをフル活用しています。

――保育園の書類もデータでもらえるんですか?

岡田 保育園の連絡帳を紙で書くのは厳しいと思ったので、すべてデジタルで連絡できる園を探しました。毎朝出かける前はバタバタしてるので、手が空いているほうが連絡アプリの項目を埋めて、その間に片方が熱を測って入力して、と共同編集しています。

最近引っ越したので、前の園の連絡帳アプリのデータがなくなっちゃうなと思っていたら、データをダウンロードして冊子にまとめてくれるサービスもあって、これまでの記録が全部見られる成長のアルバムのようでありがたかったです。

子どもと過ごして見る世界が変わった

ずりばいを覚えた生後6カ月のころ。スマホに興味津々。(『1歳の君とバナナへ』より イラスト/岡田アミさん)

――岡田さんは1年の育休を取得して子育てをしたそうですが、お子さんとの生活で自身にどんな変化がありましたか?

岡田 僕はもともと旅好きで、たくさんの国を放浪して、新しい経験をするのが好きでした。でも子育て中は、子どもと毎日同じ場所に行きます。近所の公園に行ったり、何回も行っている水族館に行ったり、実家に帰ったり。驚くのは、同じ場所なのにすごく楽しいということ。それが子どもを持つ前には予想もしなかった体験です。

なぜなら、毎日同じ場所に行くとしても、子どもにとってはその日に起こるできごとは全部が初めての体験だからかな、と。毎日行く公園の、毎日行く水飲み場だとしても、見るものすべてに目を輝かせて、驚きや喜びを感じている。その子どもの姿を通して、僕も日々のできごとを新鮮な目で見られます。自分もかつて感じただろう驚きや喜びを追体験している感じも、得だなと思います。

子育てって、1回やったゲームとか、1回読んだ本をまた忘れて遊び直したり読み直したりして楽しんでいるみたいな感じがしています。そんなところも、すごくいいなと思っています。以前は、子どもを持つことは新しい家族が増えてやることが増える、みたいなイメージでしかなかったんですけど、こんなにも自分の見る視界が変わるとは、すごく大きな驚きでした。

――先日発売となったエッセイ『1歳の君とバナナへ』に「子どもができると、人生の主役が交代するのか?」という章がありましたが、そのことについてはどう感じますか?

岡田 その章が気になった、と独身の読者の人から感想をもらうことが多くて、みんな気になることなのかなと思います。僕は子どもを持つ前は人生の主役交代はしたくないという思いでしたが、実際子育てをしてみると、「子どもが主役で全然いい」と思えたことが発見でした。この子がいるなら、自分自身はどうあってもいい、と思えるようになって、少し気が楽になった部分もあります。主役が交代したことを客観的に見ている自分もまたいて、それも新しい視点でした。

それに、子どもと過ごすことやお世話をすることを、単に自分の時間が奪われるとも思わなくて、子どもと一緒にいる時間が自分の時間、と素直に思えるのが驚きでした。楽しいだけじゃなくて大変なこともあるけれど、子どもを持っても何か失うわけではなく、育児の時間も含めて自分の時間だと感じます。主役は交代したとしても、人生は交代しないし、自分の時間を生きられると思います。


お話・写真提供/岡田悠さん 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

「独身のころはだれかと一緒に生活するなんて無理だと思っていた」という岡田さん。結婚をして、父親になり、子育てをして、世界の見え方や考え方が大きく変わったようです。


●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

岡田 悠さん(おかだ ゆう)

PROFILE
1988年、兵庫県生まれ。会社員兼作家。旅行記を中心にさまざまな Webメディアで執筆。 著書に『0メートルの旅』(ダイヤモンド社)、『10年間飲みかけの午後の紅茶に別れを告げたい』(河出書房新社)。一児の父。好きな育児グッズは電動鼻吸い器。

『1歳の君とバナナへ』

会社員兼作家・岡田悠による育児エッセイ。1年弱の育休を取り、仕事復帰後も家庭中心の日々を送る、2020年代の父親像。わが子へ語りかける手紙の形式で紡ぐ、ユーモアと愛情に包まれた新時代のニューノーマル・育児エッセイ。岡田悠著/1694円(小学館)

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