将来必ず役立つ能力をはぐくむ!幼児期から始める習い事とは!?
幼少期の音楽体験が子どもに与える影響について聞く第2弾。ご自身が子どものころ、ヤマハ音楽教室に10年通っていたという、脳科学の専門家でもある上智大学理工学部准教授の古屋晋一先生に、今回は、子どもの将来に必要な社会性やコミュニケーション能力と音楽の関係をお聞きしました。自分の子どもには、将来多くの仲間に恵まれて、力を発揮できる人になってほしいと願うママも多いと思います。そのためのヒントはもしかしたら音楽にあるのかもしれませんね。
音楽×グループレッスンで、楽しく自然に身につく能力
■仲間と楽しく切磋琢磨することで育つ力
子どもに音楽を習わせる場合、先生と一対一で行う個人レッスンと、複数の子どもが一緒にレッスンを受けるグループレッスンがあります。たとえば、ヤマハ音楽教室の幼児クラスでは、親子8~10組程度のグループレッスンを行っていますが、古屋先生によると「このグループレッスンがいいんです!」とか。
「グループレッスンでは、自分の音を聞きながら、仲間の音に耳を澄ませて、調和させていくアンサンブル(合奏)ができる。これをくり返すことで、協調性や社会性が自然に身についていきます。1人じゃなくて一緒にやることで、お互いの苦手な部分も補い合うことができるし、僕自身、友だちとアンサンブルができるグループレッスンは楽しかったですね」。このときに培った経験が、社会に出てからもずっと役立っていると古屋先生は言います。
■グループレッスンで習慣化され鍛えられる力
「ディスカッションをあまり行わない日本の学校教育ではなかなか身につかない、問題解決能力やプレゼンテーション能力を、僕はグループレッスンで得ることができたと思います」。子どものころに音楽を習っていると、心の知能指数=EQが高いという報告もあるそう。
とくにグループレッスンで習うと、聴き手やアンサンブルの仲間がどんな反応をするのか常に考える習慣がつくと先生。幼児期からこういった習慣が身についていることで、将来、学校や社会生活で役立つ場面も。たとえば、プレゼンテーションの場において、聞き手の反応を敏感に受け止めて、話の内容や話すスピード、声のトーンなどをコントロールし、より伝わりやすくなるように工夫できたり。人間関係を豊かに築いていく上で欠かせない要素といえるコミュニケーション能力。その素地づくりは、幼児期の習い事から始めることもできそうですね。
ここぞ!というときに力を発揮できる子に
音楽を習っていると、発表会などで多くの人の前で演奏する機会が増えます。
「小さいころから人前に立つことに慣れていると、舞台度胸がつくというか、単純にあがってしまうことが減ります。このおかげで僕は学会の発表や大学の授業でも緊張することがありません。人前で堂々と振る舞える力は、試験や面接など、人生の岐路となる“ここぞ”という大切な場目で役に立つのではないでしょうか」
音楽ではぐくまれた能力は、国際化社会で活躍するきっかけにも?
古屋先生は、海外で研究生活を行っていたとき、得意のピアノがきっかけとなって人脈が広がる経験をしたそうです。「とある世界各国から研究者が集まる場で、仕事の合間にピアノを弾いたり、だれかが口ずさんだメロディーに伴奏をつけるなどしてみたところ、多くの人が自分に興味を持って接してくれるようになった経験があります。仕事の話だけでなく、その曲が生まれた時代背景や文化についてまで話題が発展し、音楽をきっかけにコミュニケーションの幅が大きく広がったことを実感しました。国際化社会において英語教育はもちろん重要ですが、音楽教育にも力を入れたほうがいいと思います」
「音楽はマルチビタミン。人のいろいろな能力を伸ばしてくれるサプリメントのようなもの」という先生の言葉どおり、子どものころから音楽を習っていると、演奏力や音感など音楽的なスキルとともに、人生を豊かに生きていくための、さまざまな力が身につきそうです。時間を見つけて体験レッスンに参加してみるのもよさそうですね♪
(取材・文 佐治 環)