成長とともに進化する「赤ちゃんの指さし」ってすごい!
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赤ちゃんが「あっ」「あっ」と物を指さしながら、懸命に何かを伝えようとしている姿って、たまらなくかわいいですよね。
9ヶ月ごろになると、赤ちゃんは物に手を伸ばすとママが同じものを見たり、取ってくれることに気づきます。また、大人が「わんわんだよ」と言いながら指で指し示した方向を見るように。「大人と同じもの」に注目する楽しさを感じ始めた赤ちゃんは、まずは手ざしで訴えます。その後、指の運動機能の発達に伴い、人さし指で指し示す「指さし」ができるようになります。
指さしは、まだ言葉をうまく話せない赤ちゃんにとっての、大切なコミュニケーションツールです。赤ちゃんの伝えたいことを大人がくみ取り、声かけや共感をすることで赤ちゃんは達成感を味わい、よりコミュニケーションをとることに積極的になります。このコミュニケーションへの意欲を伸ばすことが、その先の言葉の発達へとつながります。
実は、「指さし」は、赤ちゃんの成長とともに内容や意味合いが4段階に進化していくものなのです。今回は、言語聴覚士、臨床発達心理士の坂崎弘幸先生にそれぞれの「指さし」を解説していただき、おすすめのかかわり方を紹介します。
STEP1 興味があるものを知らせる「自発の指さし」
「11ヶ月ごろになると、見つけたもの、興味のあるものを指で差すように。これを『自発の指さし』と言います。赤ちゃんが指し示しているものの名前を伝えるようにすると、言葉を覚えるきっかけに。何を差しているかがよくわからない場合も答えを推測して、『ブーブーかな』などと何かしら反応してあげるのが◎」
STEP2 欲しいものを訴える「要求の指さし」
「1歳ごろになると自我が芽生えてきて、『あー』などと声を出しながら『これが食べたい』『あれで遊びたい』『あっちに行きたい』などと物や方向を指し示す『要求の指さし』が見られるように。
少しずつ意味のある言葉を発する子も出てくるので、話せる単語+指さしで要求する場合も。理解できる言葉を増やしていきたい時期でもあるので、『りんごが欲しいのね』というように、言葉を伝えながら、要求を満たしてあげましょう」
STEP3 見つけたものを人と共有しようとする「共感の指さし」
「1歳過ぎになると、興味のあるものや見つけたものを『見て!』とばかりに指さし、大人の顔を見る、『共感の指さし』をする子が多くなります。これができるようになるのは、自分の中にある気持ちを相手に伝えるコミュニケーション能力が育ってきた証し。
『お花。きれいだね!』といったように赤ちゃんの気持ちを代弁してあげると、赤ちゃんは気持ちを受け止めてもらって安心するとともに、気持ちを言葉で表現する方法を覚えていきます」
STEP4 質問に対して、指し示して答える「応答の指さし」
「『りんごはどれ?』という問いかけに対して、絵本の中のりんごの絵を指したり、『○○ちゃんの口はどこ?』という質問に答え、自分の口を指すなど、質問の答えを指で指し示すことを『応答の指さし』と言います。
1歳6ヶ月健診では、言葉を聞き、相手の要求を理解して、求められていることに答えられるかどうかを確認するために、この指さしをチェックします。
応答の指さしをするようになる1歳6ヶ月ごろは、言葉と物の関係を理解し、興味が高まっている時期なので、新しい体験をどんどんさせて刺激を与えるといいでしょう」
意味のある言葉を話し始める前段階のサイン「指さし」にも、ちゃんと意味や段階があるんですね!
発達には個人差があるので、赤ちゃんによってはSTEP1~4の順番が入れ替わって表出する場合もあるそう。指さしの種類の厳密な区別や出る月齢の目安を気にしすぎる必要はありませんが、親子間の信頼関係を築き、コミュニケーションをより楽しむための見通しとして、知っておくと役に立ちますよ。(取材・文/ひよこクラブ編集部)
■監修/みくりキッズくりにっく 言語聴覚士、臨床発達心理士 坂崎弘幸先生
宇高耳鼻咽喉科医院、徳島大学病院耳鼻咽喉科、東京都立特別支援学校などを経て現職。
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