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大阪から人口56人の山あいの集落に移住!高齢化が進む集落で20年ぶりの赤ちゃんを育てる【体験談】

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築約130年の古民家に住む、加藤さんファミリー。

2022年4月、高齢化が進む兵庫県丹波篠山市市野々集落で約20年ぶりに赤ちゃんが誕生しました。大阪から、同集落に移住した加藤俊希さん(29歳)、梨絵さん(31歳)夫婦の長男・蔵之助くんです。俊希さんは群馬県出身、梨絵さんは兵庫県出身、大阪のスポーツジムで知り合って、大阪で一緒に暮らしていました。2人が集落に移住することになったきっかけや赤ちゃんを授かったことについて聞きました。

コロナ禍で在宅ワークになり、1Kの閉塞感から逃れるために田舎暮らしへ

俊希さんが見つけた、兵庫県丹波篠山市市野々集落の古民家。母屋の隣には、2階建ての土蔵が。

加藤さん夫婦が兵庫県丹波篠山市市野々集落の古民家で二拠点生活をスタートさせたのは、2021年9月のこと。同集落は、高齢化率71.4%、人口56人です(2022年3月末時点)。
きっかけは、俊希さんがコロナ禍で在宅ワークになったことでした。

「僕は、フリーのWEBマーケティングの仕事をしているのですが、コロナ禍で完全に在宅ワークに切り替わりました。当時は大阪で、2人で暮らしていたのですが間取りは1Kでした。10畳ほどしかなく、毎日そこで仕事をしながら1日中過ごすのが息苦しくて、引っ越しを考えました」(俊希さん)

梨絵さんは、助産師をしていて、大阪の総合病院の産婦人科に勤務しています(現在育休中)。

「医療従事者であるため、休日でも新型コロナの感染を防ぐために人の多いところには出かけられません。そのため自然豊かな場所に行き、キャンプなどを楽しむことが多くなり、2人の中で引っ越しするなら田舎暮らしもいいね! と話すようになりました。
勤務先に近い場所と自然豊かな場所に家を借りて、二拠点生活をするのもいいと思っていました。休日だけ田舎暮らしをするようなイメージです」(梨絵さん)

そこで俊希さんが中心になり、引っ越し先を探し始めます。

「僕は古民家や歴史が好きで、いろいろインターネット検索をしたのですが、土地勘がない場所だとピンと来なくて。しかし兵庫県丹波篠山市で古民家が売り出されているのを偶然見つけました。実は以前、新聞社で広告営業をしていたことがあり、兵庫県丹波篠山市は、そのときの担当エリアだったんです。土地勘があるので不安もなく、自然と“ここならいいかも!”と思えました。大阪までも電車で1時間~1時間半で行けるということもチェックポイントでした」(俊希さん)

築約130年の旧村山家に宿泊体験。迷うことなく移住を決意

加藤さん夫婦が住む古民家。内装はリフォームされており、4LDKの間取り。

俊希さんが見つけた古民家は、山裾の小高い場所に建つ築約130年の旧村山家です。

「インターネットで、古民家を検索していたところ、丹波篠山市が古民家再生事業に取り組むNPO法人に委託して改修工事をしていた築約130年の旧村山家の購入者の募集の情報を見つけました。調べると、購入受付の締め切りまであと1カ月しかなく、急いで宿泊体験プランを申し込み、2人で泊まりに行きました。
古民家といっても母屋は、畳を替えたり、ふすまを貼り替えたりするなど、きれいに改修工事がされています。ガスはプロパンガスで、電気、水道も使えます。

かやぶき屋根の大きな平屋の隣には、2階建ての土蔵があり、明治初期ごろに建築されたようです。間取りは4LDKで、庭があり、宅地は約156坪とかなり広いです。
旧村山家を初めて訪れたときは、築約130年という歴史を感じ、圧倒されました。とくに吹き抜けから見える屋根のかやが気に入りました。夜になると”キーン”と透き通るような自然の静けさを感じ、きれいな空気に感動しました」(俊希さん)

梨絵さんも、豊かな自然に囲まれていて、きれいな鳥のさえずりが聞こえるなどが気に入り、2人は迷うことなく、旧村山家を購入して二拠点生活を決めます。

移住で新たなライフスタイルへ! 蔵の改修工事や畑仕事も

母屋の屋根裏で。「かやにこの家の歴史を感じる」と俊希さん。

二拠点生活をスタートしてから2人の生活は大きく変わります。
俊希さんは、WEBマーケティングの仕事の合間に、近所の大工の棟梁に教えてもらいながら土蔵の改修工事をするなど新生活の準備に追われました

一方、梨絵さんは、同集落から勤務先の大阪の総合病院に通う日々。駅まで車で俊希さんに送ってもらい、JR福知山線に乗って通う生活です。ドアtoドアで、2時間10分ぐらいかかります。早番のときは朝5時に起きて、朝8時過ぎには病院に着くような生活を送っていました。

「実家が神戸市なので、遅番などで帰りが遅くなる日は実家に泊まるなど、無理しないように工夫をして生活をしていました」(梨絵さん)。

そして二拠点生活をスタート直後、梨絵さんの妊娠がわかります。

「出産予定は2022年4月だったので、3月になってから産休をとったのですが、産休後は、お産が順調に進むように、大きなおなかで畑仕事をしたり、夫婦で散歩もよくしました。
丹波篠山に拠点を構えてから半年ほどでしたが、集落の人に道で会うと“そろそろ生まれるかも”なんて、おなかの赤ちゃんの話をよくしました。すぐに井戸端会議が始まるような、みんな顔見知りの小さい集落なんです」(梨絵さん)

人口56人、高齢化率71.4%という集落では、妊婦さんは梨絵さんしかいません。小さな子どももいません。

「畑仕事をしていると、近所の人が“おなか大きいのに大丈夫?”と声をかけて手伝ってくれたりして、この集落に住んで人の温かさを感じるようになりました。おなかが大きいのを気にかけてくれているというだけでうれしかったです。畑仕事も不慣れなので、畑のことを教えてくれるのもとても助かりました」(梨絵さん)

丹波篠山市には、分娩施設が1カ所ありますが、梨絵さんが出産するのは自身が働く大阪の総合病院の産婦人科です。2022年4月17日に日付けが変わってから、少しずつ陣痛が始まります。
「自分で確認したら、子宮口が2cmぐらい開いてたので、車で夫に大阪の総合病院まで送ってもらいました。コロナ禍なので、立ち会い出産はできません。夫は近くのカフェで待機です」(梨絵さん)

そして2022年4月17日、11時51分、身長47.5㎝、体重2590gの元気な男の子・蔵之助くんが誕生します。

加藤さんは「空き家を資産に」をテーマに活動。丹波篠山市も力を入れる、地域おこし協力隊とは!?

5カ月ときの蔵之助くん。蔵之助くんは集落では約20年ぶりに生まれた赤ちゃんです。

加藤さん夫婦が暮らす、兵庫県丹波篠山市は、2009年総務省が導入した「地域おこし協力隊」に力を入れています。
地域おこし協力隊とは、地方自治体が都市住民を地域おこし協力隊員として受け入れ、隊員はさまざまな地域活動への参加を通じて地域への定住・定着を目指す制度です。丹波篠山市では、大学生や大学院生が学業と並行して協力隊活動を行う「半学半域型」と自身の専門分野を活かしながら起業活動を目指す「起業支援型」の2つの活動形態を設けています。
俊希さんは、二拠点生活をスタートさせてから約半年後に起業支援型で地域おこし協力隊のメンバーになって移住し、「空き家を資産に」をテーマに活動しています。

2015年ごろから空き家になっていた古民家をリフォーム

加藤さんが購入した古民家は、2015年ごろから空き家となっており、2018年に丹波篠山市に寄付され、改修工事が進められた物件です。

古民家のよさを生かしつつ、現代風にリフォーム

雪はあまり降りませんが、寒い地域なので、壁や天井、床に断熱材を入れるなどして快適に住めるようにリフォームされています。

趣のあるキッチンは、使いやすい水回りと収納がお気に入り

キッチンは、ダイニングを含め11帖の広さ。使いやすい水回りや便利な収納が、梨絵さんのお気に入り。

【地域おこし協力隊コーディネーター・河口さんより】約20年ぶりに赤ちゃんが生まれたことで、集落が明るく!

「丹波篠山市は、駅に近い篠山口周辺は人口が多いのですが、そのほかの地区は過疎化が進んでいます。2022年11月現在、丹波篠山市の地域おこし協力隊は11名で、地区ごとに設けられているテーマに沿って活動し、起業支援型の場合は月20日の活動日数などが定められています。

加藤さん夫婦の出産は、丹波篠山市市野々集落では約20年ぶりですが、地域おこし協力隊の中には、2023年3月にも出産予定の方がいます。過疎化が進む集落では、赤ちゃんの誕生が希望の光になります。赤ちゃんが生まれると地域が明るくなり、活性化することがわかりました」(丹波篠山市地域おこし協力隊コーディネーター・河口英樹さん)

お話・写真提供/加藤俊希さん、梨絵さん 協力/丹波篠山市地域おこし協力隊 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

コロナ禍でリモートワークが一気に加速しました。ワークライフバランスについて考える家族・夫婦も増えてきており、地方への移住に注目が集まっています。

丹波篠山市地域おこし協力隊

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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