「友だちってどうやってつくるの?」なぜか生きづらかった幼少期…『発達障害の私がすごした保育園のときの話』著者・ざくざくろさんインタビュー
ツイッターのフォロワー13万人のざくざくろさんは、夫と2人暮らしの漫画家。幼少期から謎の生きづらさを感じていて、大人になってからADHDと自閉症スペクトラムの診断を受けました。
『発達障害の私が過ごした保育園のときの話』という書籍では、幼少期の生きづらかった体験を描いています。ざくざくろさんが保育園時代にしんどかったことや、周りからどんなふうに接して欲しかったかお話を聞きました。
30歳で診断。保育園時代は「クラスメイトとどう接したらいいかわからない」
――ご自身が発達障害(自閉症スペクトラム、ADHD)だと診断されたのはいつですか?
ざくざくろ「30歳のときです。当時母が亡くなったばかりで、私が急に泣いたり怒ったりして、感情が自分でもコントロールできなくなっていました。鬱を心配した夫が病院へ連れて行ってくれたことがきっかけで診断されました」
「入園したばかりの不安」
――保育園時代「しんどかった」そうですが、特にどんなこと・どんな時間がしんどく感じていましたか?
ざくざくろ「クラスメイトとどう接していいかわからないことが苦しかったです。友だちが欲しかったというわけではなく、みんなが仲良くしてるなかで1人ポツンといるのは嫌でした。あと聴覚過敏もあったので、周りがうるさいのもしんどかったです」
「友達って、どうやってつくるの?」
<なんで知らない子とそんなにしゃべれるの?>
「うまくやれていないのが恥ずかしかった」本当の気持ちを共有できなかった
――その時のしんどい気持ちをだれかに共有することはできましたか?
ざくざくろ「『保育園行きたくない』ということは時々母に言っていたのですが、『なぜ行きたくない』のかは説明できませんでした。周りとうまくやれてないのが恥ずかしかったので、説明できてもだれにも理由を知られたくないので言わなかったと思います」
「友達からのいじめ」
――今思えば周りの大人にどのように接してもらいたかった、自分でどんなふうにすればよかったなどありますか?
ざくざくろ「『人がいっぱいいてしんどいね』と言って静かな部屋で過ごさせてほしかったです。私の感情を汲み取って、共感して欲しかったです」
「いじめと自己肯定感」
<自分は大事にされない存在だと思い込んでいた>
何がしんどいのかがわかってから向き合えるようになった
――大人になって診断されて発達障害との付き合い方に変化はありましたか?
ざくざくろ「以前はずっと自分でも『何がしんどいのかわからない』状態で、それが1番しんどかったです。今は自分で何がしんどいのかわかったので、そのひとつひとつと向き合えるようになりました。
脳内のざわつきや感情面のコントロールはお薬を服用して抑えています。感覚過敏については、ノイズキャンセラーやサングラスを用いるなどしてしんどくならないように対策しています。
また、仕事相手や友だちなどにも、先に自分の特性を伝えられるようになったことで、以前よりもコミュニケーションがとれるようになりました」
「大人になってわかったこと」①
<発達障害がわかり自分の特性を勉強した>
――最後にたまひよを見ているパパママのみなさんにひとこといただけますか。
ざくざくろ「さきほども少し触れたのですが、1番は子どもの感情に共感してあげてほしいです。『悔しかったね』とか『保育園しんどいのに頑張ったね』とか、こちらの感情を『わかってくれたのね』と思うと心が救われます。
発達障害を持っているとみんながふつうにできることも、その子にとったら難しいので、周りの子と比べるよりも、その子なりの成長にフォーカスして見てあげてほしいです。 また結果よりも、その子が『どう努力したか』を褒めてあげてほしいです」
発達障害を持つ子どもに一番してあげて欲しいことは“共感すること”と話してくれたざくざくろさん。障害がなくても不安を抱えている子どもがいたら、まずは共感して「わかってくれたんだ」と安心感を与えることはとっても大事なことですよね。
『発達障害の私が過ごした保育園のときの話』は保育者向けの書籍ですが、ざくざくろさんの幼少期の話に加え、専門家のアドバイスも載っています。生きづらかった子どもの気持ちをリアルに綴っているので、読んでみると新たな発見があるかもしれません。
文/清川優美
『発達障害の私がすごした保育園のときの話』
プロフィール /ざくざくろ
滋賀県在住の漫画家。30歳のときにADHDと自閉症スペクトラムの診断を受ける。主にTwitter(@timtimtooo)に漫画を投稿している。著書に「初恋、ざらり」などがある。
●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年3月の情報で、現在と異なる場合があります。