基本は体力と精神力!子どもの習い事は、スポーツ系が中心。「受験は学力だけでは通用しない!」と感じた【2児の母で東大卒クイズ女王・三浦奈保子】
東京大学卒業で、クイズ女王としても活躍する三浦奈保子さん。三浦さんは小学1年生の男の子と、小学2年生の女の子のママです。東大卒ママが実践している子育てや、知識を深めるために、子どものうちからやっておいたほうがいいことなどについて聞きました。
子どもたちはスポーツ系の習い事が中心。ハードな受験を乗りきるには、体力・精神力が必要
年子の子どもがいる三浦さんは「子どもたちにはやらせたいことがいっぱいあるけれど、時間の制約などもありすべてを経験させるのは難しい」と言います。その中で、子どもたちが取り組んでいるのはスポーツ系の習い事です。
――子どもたちは2人とも小学生ですが、子育てはいかがですか。
三浦さん(以下敬称略) とにかくあわただしいですね。小学校から帰ってくると、宿題をして、習い事に行って、夕食を食べて、おふろに入って寝るというような毎日が、ほんとに忙しく過ぎていっています。
――子どもたちは、どんな習い事をしていますか。
三浦 2人とも幼稚園のころから続けているのですが、長女はピアノ、ダンス、体操、スイミング。長男はピアノ、体操、スイミング、サッカーです。
――習い事はスポーツ系が中心ですか?
三浦 2人ともスポーツ系の習い事が中心です。体力や精神力をつけるって、本当に大事だと思います。たとえばハードな受験勉強を乗りきるとき、いくら学習塾に通って勉強を頑張っても、やはり体力や精神力がないと続きません。受験以外のことにも言えると思いますが、体力や精神力がなければ、いい結果には結びつきません。
そのため子どものころから、スポーツ系の習い事などで体力や精神力をつけておくことは必要だと思います。
――ピアノの習い事は、どうでしょうか。
三浦 私もピアノを習っていましたが、子どもたちの様子を見ていると、すごく勉強につながるところがあると感じます。
初めは「こんな難しい曲、できないよ~」とあきらめモードなのですが「まだ2回しか練習していないのに上手だったよ。もう1回練習したら、もっと上手にひけるよ」と励ましながら、スモールステップで進めていくうちに、しだいにひけるようになるんです。
子どもの学びはスモールステップが基本です。できなかったことができるようになる経験は、自信につながります。
学びの入り口は楽しく! ピザを切って分数の勉強を
三浦さんの子どもは2人とも学習塾には通っていません。その理由は「学びの入り口は楽しく!」という三浦さんの考え方があるからだそうです。
――学習塾には通わせないのでしょうか。
三浦 私自身も学習塾に通い始めたのは小学5年生からです。
私は学びの入り口は、楽しくあってほしいと考えているので、学習塾に行って机に向かって勉強をするよりも、今は、できるだけ生活の中で楽しく学ぶことを心がけています。
小学1年生と2年生の子どもたちにとっては少し先取り学習になるのですが、たとえばピザを食べるとき、8等分に切って「この1枚は8分の1って言うんだよ。じゃあ2枚は何て言うのかわかる?」と聞いたり、「ママが8分の1のピザを1枚食べました。〇〇(子ども名前)も8分の1のピザを1枚食べました。2人で8分のいくつのピザを食べたでしょう?」と質問したりして、分数を教えています。
親子で外出すると看板に書かれた漢字を見て、漢字クイズを出すこともあります。
――小学校からの英語学習も始まり、グローバル化の中、英語を学ばせる家庭もあるようです。
三浦 私は、大切なのはまずは母国語だと考えています。知識を深めるために必要なのは、言語力です。第1言語力がしっかり身についていないと読解力なども弱く、自分で深く考えたりできません。
個人的には英語などの第2言語は、第1言語の母国語がしっかり身についてからでいいと考えています。
――三浦さんは東京大学卒業ですが、学習塾に通ったのは小学5年生からだと聞いて驚きました。
三浦 小学4年生までは家で勉強をしていました。私の場合は、両親がほめ上手で、新しいことを覚えたりすると「すごいね! なんでわかったの?」「天才だね!」とほめてくれるので、それがうれしくて漢字や世界の首都、国旗などいろいろなことを覚えました。
また母に「奈保子なら東大に行けるよ!」とほめられることもあり、幼稚園のころから「東大って大学があるんだ」「勉強が好きな人が行く大学なんだ」と思うようになりました。東大を知ったきっかけは母です。
私は子どもの学びって、本人が楽しくないと継続しないと思っています。
もし子どもにカタカナを教えるならば、机に向かって勉強モードで教えるよりも、恐竜の図鑑などその子が好きな本を見ながらカタカナを覚えたほうが、早く覚えるし、楽しく学べると思います。
いつも一緒にいるママ・パパなら、子どもの好きなことや興味のあることに合わせて教えられるというメリットもあると思います。
――三浦さんは、幼児期から読書が好きだったようですが、子どもたちもよく本を読みますか?
三浦 私は子どものころ、毎週末、母に近所の図書館に連れて行ってもらって、好きな本を借りて、家で読んでいました。それが私の読書習慣の土台になっています。
そのため私も子どもたちを週1回、近所の図書館に連れて行っています。子どもたちは冒険シリーズ、しかけ絵本など好きな本を借りています。
本当は、私が子どものころによく読んでいたイソップ物語や世界の名作童話なども読んでほしいのですが、興味がないようです。「ちょっと残念だな」とも思いますが、好きなことに取り組むのが大切なので、そこは子どもたちの意思を尊重しています。子どもって、親とは別人格。趣味や考え方が違うということを感じさせられます。
――東大の学生は読書好きの人が多いのでしょうか?
三浦 私の学生時代の友人たちは読書が好きな人が、本当に多かったです。多分、子どものころから本を読むのが好きなんだと思います。
また、多くの人が興味の幅が広くて好奇心旺盛です。勉強だけに打ち込んでいるような人はいませんでした。
日々の会話から、子ども自身で考える力を高める
デジタル化が進み、今までの価値観が変化してきています。三浦さんは、子どもたちがこれからの時代を生き抜くために、子育ての中で取り入れていることがあるそうです。
――これからの子育てで大切なことって何だと思いますか?
三浦 いろいろなことに対して「これが正解!」という答えがない時代になっていますよね。これからの未来を生きる子どもたちは、自分で考えて答えを導き出せる力が必要だと思います。
私は、子どもたちとの会話で「なんでそう思ったの?」「じゃあ、どうしたらいいのかな?」と、子ども自身で考えるように導く言葉かけをしています。
こうした会話を習慣にすると、自分で考える力が身についていきます。また悩んだり、迷っているときは言葉にすることで、思考の整理ができるということもわかってきたようです。
――ほかに子育てで大切にしていることはありますか。
三浦 どんなに時代が進んでも、まわりの人のことを考えられる人であってほしいと願います。人は1人では幸せになれません。人間関係がうまくいっているから幸せを感じるんです。
インドに「あなたは人にたくさん迷惑をかけて生きているのだから、自分が迷惑をかけられても許してあげなさい」という教えがあって、わが子には、こうした心の広さを持ってほしいと思っています。広い心を持つと、人間関係もギスギスしづらくなります。そのため子どもたちには、事あるごとに感謝の気持ちを忘れてはいけないということや広い心を持つように伝えています。
お話/三浦奈保子さん、取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部
三浦さんが学習塾に通うようになったのは、中学受験を意識した小学5年生からです。三浦さんは「私は、決して早いスタートではなかったのですが、塾に行くまでは両親がクイズなど遊びを通して知識を深める楽しさを教えてくれました。あのときの経験がなければ、勉強の面白さ、学ぶことの楽しさに気づかなかったと思う」と言います。
三浦奈保子(みうら なおこ)
PROFILE
東京大学卒。気象予報士、ファイナンシャル・プランナー2級の資格を持つ。豊富な知識をいかしてクイズ番組などで活躍する。小1、小2の子のママ。
『東大脳を育てる 1才から読む漢字どうぶつマンション』
右脳の働きが活発で、視覚イメージを吸収しやすい乳幼児期の特性をいかして、楽しく漢字が覚えられる知育絵本。15センチ×15センチのサイズだからお出かけ用にも便利。三浦奈保子著/1210円(ビーエスフジ)
●記事の内容は2023年6月の情報であり、現在と異なる場合があります。