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市販薬で死亡事故?! ほんとは怖い薬の話。正しく薬を活用する方法を薬剤師が解説

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日本国内において、市販薬の服用で死亡事故が起こったことが……。子どもが生まれたら、家庭のなかでの薬の使い方について考え直すよい機会かもしれません。市販薬の誤った使い方が引き起こす副作用の事例から、正しい知識と対処法を学びましょう。

過去に起こった市販薬の副作用例

市販薬を手軽に購入できる今日、その安全性について十分に理解していますか?
医師が処方する薬よりも比較的副作用が少ないとされる市販薬ですが、厚生労働省がまとめたデータによると、平成19年から23年の間に市販薬による副作用報告が1220例もありました。

身近な薬での副作用は、かぜ薬404例、解熱鎮痛消炎剤243例、漢方製剤132例の報告があり、死亡例はかぜ薬12例、解熱鎮痛消炎剤4例、漢方製剤2例です。後遺症が残った事例は15例でした。ただし、この副作用については、市販薬の製造販売業者から報告されたものであり、医薬品との因果関係が不明のものも含まれています。(※1)

市販薬といえど、多かれ少なかれ副作用が出るリスクはあります。
薬での重篤な副作用を防止するには、副作用の初期症状についての情報提供をきちんと受け、その兆候にいち早く気づくことが重要です。誰もが簡単に購入できてしまう市販薬だからこそ、そのリスクに対する理解と正しい使用法の重要性を再認識しましょう。

薬の副作用はどんな症状が出る?

薬による副作用の症状は、人によって異なりますが、以下に代表例を解説します。

軽い症状と重い症状

・軽い症状:
薬を服用した後に、軽いかゆみや発疹が出ることがあります。一時的なもので、すぐに治まる場合もありますが、軽い症状であっても注意が必要です。

・重い症状:
強いアレルギー反応(アナフィラキシーショック)が出ることがあります。全身にかゆみやじんましんが出たり、まぶたや口内が腫れたり、失神や呼吸不全を起こしたりするなど重篤な症状が出現することも。

また、スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚や粘膜に重篤な炎症を引き起こす病気)や劇症肝炎(肝臓の急激な炎症により機能が急速に低下する状態)といった重篤な副作用にも注意が必要です。

スティーブンス・ジョンソン症候群は、目やにや目の充血、発熱や唇のただれ(※2)など、劇症肝炎は発熱や関節痛、倦怠感や食欲不振など(※3)が初期症状としてあらわれます。実際に市販薬の服用でこれらの副作用が重篤に出現し、死亡した事例もあります。そのため、これらの初期症状を見逃さないように注意しましょう。

小児の副作用の出方

・大人との違い:
未成熟で薬の吸収が不安定な子どもは、大人とは副作用の出方も違うことがあります。

・タミフルの異常行動:
医療用医薬品のインフルエンザ治療薬であるタミフルは、因果関係は明確ではないものの、小児や未成年者が服用した後に自宅マンションから転落した事例が報告されています。異常行動があらわれることがあるので、異常が認められた場合は投与を中止し、保護者による観察を十分に行うように注意喚起がなされています。
大人ではこのような副作用はほとんど報告されていないため、子どもへの投与にはとくに注意が必要です。(※4)

どんな人に副作用が出やすいのか

・年齢:
高齢者や子ども

・体質:
特定の成分に対するアレルギーがある人、肝臓や腎臓の機能が低下している人

・他の薬との飲み合わせ:
日頃から継続して薬を服用している人( 薬の飲み合わせによって予期せぬ副作用が出ることがあるため)

薬の副作用は、軽いものから重篤なものまでさまざまです。とくに子どもへの投与には慎重になる必要があります。自分や家族の体質を理解し、正しい服用方法を守ることで、副作用のリスクを最小限に抑えましょう。

副作用かな? と思ったら

薬の副作用に気づいたとき、どう対処すればいいのでしょうか? 副作用の対処方法と報告方法についてくわしく解説します。

副作用が出てしまったときの対処方法

・軽度のとき:
かゆみや発疹など軽い症状が出た場合は一時的に服用を中止し、医師・薬剤師に相談するといいでしょう。

・中度のとき:
症状が続く場合や強い不快感がある場合は、速やかに服用を中止し医師の診察を受けることが重要です。

・重度のとき:
重篤な副作用が出た場合は速やかに服用を中止し、医師の診察を受けてください。
その後は「医薬品副作用被害救済制度」を活用することも可能です。
医薬品副作用被害救済制度は、医薬品によって入院治療が必要な程度の副作用や健康被害を受けた人に国が給付を行う制度で、これにより医療費の給付などを受けることができます。

副作用が出てしまった場合には、お薬手帳に副作用の症状や発症時期などをメモしておくと、今後の市販薬の購入や薬の処方に役立つでしょう。

副作用の報告方法

副作用が出た場合の報告は以下のように行います。
・記録内容:
副作用が出現した人の氏名・年齢・性別・身長・体重、症状、薬を服用しはじめた日、症状の発症時期、使用していた薬の名前・量など

・報告先:
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)。PMDAは、医薬品や医療機器の安全性を監視し、情報提供を行う機関です。副作用の報告はこちらへ。

副作用の適切な対処と報告は、自身や家族、他人の健康を守る重要なステップです。薬の正しい知識と対応方法を身につけ、安全に活用しましょう。

薬を上手に活用するには

薬の使い方は、その薬によって異なります。ここでは一般的な使い方と注意点について説明します。

薬の服用のしかたでやってはいけないこと

・指示を無視する:
薬は用法用量が決められており、空腹時や食後など、服用するタイミングが指定されています。指示を守って服用しないと、効果が減少したり副作用が出たりする可能性があります。薬の効果を最大限に引き出したり、副作用を最小限に抑えたりするためには、指示通りの量とタイミングで服用する必要があります。


・水・白湯以外で服用する:
水や白湯以外での薬の服用は、おすすめしません。
とくに、アルコールは副作用があらわれやすくなるため避けてください。また、一部のコレステロールや血圧に関する薬は、グレープフルーツジュースとともに服用すると効果が強く出すぎる場合があり、注意が必要です。(※5)

ただし、子どもが薬を水で服用したがらない場合は、ジュースや服用ゼリーを活用するのはOKです。ただし、薬の種類によってはコーティングが剥がれて苦味が出てしまうものもあるため、水以外で服用させる場合には事前に薬剤師に確認してください。

・自分で量を変える:
薬は決められた量を守って服用しないと、効果が得られなかったり、副作用が起こりやすくなったりする場合があります。自分で変更するのはやめましょう。

気をつけること

複数の薬を服用する場合は、相互作用で効果が変わったり、過剰摂取になったりすることがあるため、飲み合わせには注意が必要です。注意しなければいけない飲み合わせの一例は以下の通りです。


・総合風邪薬と睡眠導入薬:
総合風邪薬には眠気を引き起こす成分が含まれているため、睡眠薬との併用は避けてください。重複して眠気を引き起こす成分を摂取すると、眠気が必要以上に強くあらわれる可能性があります。

・総合風邪薬と頭痛薬:
総合風邪薬には解熱鎮痛成分も含まれている場合が多いため、重複により過剰摂取となり、副作用が出やすくなる可能性があります。

・自分の病気との関係:
現在罹っている病気がある場合、症状を悪化させることがあるので注意してください。
疾患と市販薬で注意しなければいけない一例は以下の通りです。

【緑内障】
市販の風邪薬や目薬などで、眼圧が上がる場合があります。

【前立腺肥大症】
市販の風邪薬や鼻炎薬などで、症状が悪化する場合があります。

他にも飲み合わせや現在罹っている病気により注意しなければいけない薬はたくさんあるため、自己判断での服用は避けてください。服用前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
また、薬の効果を保つためには、湿度や温度などの保存条件を守る必要があります。薬のパッケージや説明書を確認し、適切に保管しましょう。子どものシロップ剤は加水されている場合、雑菌が繁殖しやすい特徴があるため、冷蔵庫に保管(誤飲に注意)してください。

これらの注意点を理解することで、より安全に薬を活用することができるでしょう。

正しい薬の知識で安全に活用しよう!

この記事では、薬の副作用の種類と対処法、正しい服用のしかたと注意点について解説しました。

薬の正しい知識を身につけることで、安全に活用できるようになります。健康を守るための第一歩として、正しい薬の活用を心がけましょう。

<参考文献>

※1 厚生労働省, 「一般用医薬品による重篤な副作用について」医薬品・医療機器等安全性情報 No.293, 2012年8月

※2 厚生労働省「スティーブンス・ジョンソン症候群」

※3 東京大学医学部附属病院 消化器内科「劇症肝炎・急性肝不全」

※4 厚生労働省, 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 「タミフルと異常行動等の関連に係る報告書(案)」

※5 日本OTC医薬品協会「くすりの正しい使い方 注意したい薬の飲み合わせ、食べ合わせ」

PROFILE

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)

薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=211332f2tmhy00010005

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