わがままボディ打破のためにダイエットを始めたら・・・、「だれでも作れる」簡単レシピが次々誕生【3人のパパ料理家・まるみキッチン】
“だれでもカンタンに作れる”レシピをSNSで発信し、人気沸騰中の料理研究家・まるみキッチンこと三浦健吾さん(31歳)。『やる気1%ごはん 悶絶レシピ500』は第10回レシピ本大賞を授賞し、販売30万部を突破しました。実は料理を本格的に始めたのは約3年前なのだとか。3歳と0歳の双子、女の子3人のパパでもある三浦さんに料理を始めたきっかけ、簡単料理のアイデアが生まれる秘訣(ひけつ)などについて聞きました。
ダイエットのために自炊し始めたのが、料理家になるきっかけ
――三浦さんが料理を始めたきっかけを教えてください。
三浦さん(以下敬称略) 19歳のころからつき合っていた妻と結婚したのは25歳のときです。僕はもともと身長がそんなに高いわけではなく肩幅が広くてがっちりした体形だったのが、結婚後にどんどん太り続けてしまって、ある日気づいたら持っている服が全部着られないわがままボディになっていたんです。そしてお店にいっても肩幅と横幅で選ぶと丈、袖丈などが合わない、という状況・・・。着られる服がなくて困るという物理的な問題と、ちょうど長女が生まれて自分の健康にも気をつけなきゃ、と思うようになり、自分のダイエットのために2021年の1月ごろから料理を始めました。
ダイエットのためにサラダチキンとかヘルシーメニューを作ったんですけど、調べたレシピどおりに低温調理で作ると毎回1時間くらいかかかるんです。もともと僕はズボラでいろんなことを効率よくしたい、と考えているタイプ。料理の時間ももったいないからなんとか時短でサラダチキンなどを作りたいと思って、電子レンジを使って簡単に作る工夫を始めました。
――それまで料理の経験はあったのでしょうか?
三浦 ほぼ未経験です。回転ずしの調理場で刺し身のさくを切り分けるアルバイトや、シェイカーを振ってお酒を作るバーテンダーのアルバイトなどはしていました。しかし、母親の料理を手伝ったこともほとんどなかったですし、結婚後は料理はすっかり妻任せでした。
ただ、食べることは大好きでした。ラーメンや焼き肉、ハンバーガーなど、とにかくこってり・がっつり系が大好物。妻も料理が上手なので、結婚してからはおいしいものを満腹になるまで食べる、といった感じで、食に関していっさい気をつかわなかったので、わがままボディへまっしぐらでしたね(笑)
――ダイエットのために始めた料理を、楽しく続けられているのはどうしてでしょうか?
三浦 自炊し始めたころに、SNSに詳しい友人から「簡単なレシピはSNSと相性がいいよ」と教えてもらって、それなら発信してみよう、と思って、最初はX(旧Twitter)から始めました。それから数カ月後にYouTubeやTikTok、Instagramなどへもショート動画の投稿を始めました。友人からアドバイスをもらいながらSNSを運用したら、開始当初から比較的反響があったんです。
僕の投稿を見て作ってくれた人が「おいしかったです」とコメントをくれ、だれかの役に立てたことがすごくうれしくて、そんなコメントに支えられて続けてこられたと思います。フォロワーさんからの反響が活動の原動力です。あとはダイエットのために自炊したことで目に見えて体重が落ちて、洋服が着られるようになったことも、モチベーションではあります。ヘルシーな食事と筋トレを続けて、1年ほどで30kgくらい減量できました。
――料理家として活動する前は違うお仕事をしていたのでしょうか?
三浦 はい。大学卒業後に工業製品を作るための機械を販売する営業をしましたが、1年ほどでフリーランスでWEBサイトを制作する仕事に転職しました。結婚後に、妻の実家の販売業の手伝いもしていました。まるみキッチンの活動を始めてから1年くらいは、WEB制作と、販売業とを並行していましたが、2022年11月に『やる気1%ごはん』を出版してから料理番組や、雑誌のお仕事をいただく機会が増えたこともあり、2023年の頭くらいから料理家の仕事に専念するようになりました。
家にある調味料でだれでも簡単に作れるレシピにこだわる
――三浦さんのモットーは「だれでも簡単につくれる」ことだそうですが、たくさんのレシピのアイデアはどうやって生まれるんですか?
三浦 僕のレシピで意識していることは3つです。
①自宅にある調味料だけで作る
②すぐ手に入る定番の食材を使う
③一人暮らしの人でも持ってる調理器具を使う
です。自炊を始めた当初、「こんな調味料、ほかに使い道ないって」や「そんな調理器具あらへん」や「ハーブってどこのスーパーに売ってんねん」と思ったことがきっかけです。レシピどおりに作ると確かにおいしいけど、手間もかかるし毎日続けるのはしんどいな、って思ったんです。そんな経験から、ズボラな自分でも続けられるくらい“だれでも簡単に”できるレシピを意識しています。
アイデアのもとは、街で見かけたレストランの看板や、テレビやSNSではやっているものなどの「おいしそうな料理」。そのアンテナをあちこちにはっています。おいしそうな料理を見つけたら、その料理の正しいレシピに目を通します。そこから、簡単に作るにはどうすればいいか、どの工程を削れるかを考えています。
――工程を削って簡単にできる工夫がすごいです。
三浦 逆に料理の知識がまったくない素人だったからこそ、本来なら「それ削ったらあかんやろ」っていう工程も削ってしまうところもあると思います。だから、料理初心者の方にとっても挑戦しやすいだろうし、「難しそう・・・」と及び腰にならないのかな、と思います。
準備段階でも、あれこれ必要だと始めるまでにめっちゃ腰が重くなりますよね。スパイスとかたまにしか使わない調味料は、余ってもったいなかったり。だから、僕のレシピは基本的にどこの家庭にもある調味料で作れます。
【まるみキッチン】この冬おすすめのファミリー向けレシピベスト3!
まるみキッチンのレシピから、この冬、家族の夕食におすすめのレシピ・ベスト3と、おすすめの理由を教えてもらいました。
チーズ丸ごと!悪魔のカマンベールカレーなべ
トマト缶を使った無水鍋です。水を使っていないから素材のうまみが存分に楽しめます。カレースパイスでなくカレールーを使うのがポイント。どの家庭にもあるし、とろみが出て味も一発で決まります。カマンベールチーズをまるごと入れるからインパクトもあって見た目にも楽しいですよ。家族4人で食べるならこの動画のレシピの材料を倍量にするとちょうどいいと思います。
レンジで簡単!悪魔のWチーズパスタ
鍋でパスタをゆでなくても、レンジでできちゃう簡単レシピです。チーズたっぷりでこくとクリーミーさがたまらないおいしさ。僕がこういう濃厚な味が好きなので、コッテリ系が好きなパパにもおすすめです。
オーブン不要!材料4つで生チョコタルト
冷蔵庫で冷やしかためるだけ、オーブン不要の生チョコタルト。生クリームを買わなくても作れます。ビスケットをくだいたり、チョコを溶かして混ぜたりと、簡単だから子どもと一緒に作るのも楽しいと思います。僕はめちゃくちゃ甘党でスイーツはたくさん食べてきたので、スイーツレシピには自信があります! SNSでも反響があった自信作です。
お話・写真提供/三浦健吾さん(まるみキッチン) 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部
三浦さんの新刊『弁当にも使える やる気1%作りおき ソッコー常備菜 500』(1760円/KADOKAWA)は2023年12月13日から予約開始。以前から作り置きやお弁当おかずのレシピがほしい、という声が多かったのだそうです。三浦さんは「毎食作るのが面倒くさい人も、作り置きレシピなら1回で何食分か作れるから、もっと楽ちんになるはず。ただ500ものレシピ案を考えるのは大変でした!」と話してくれました。
●記事の内容は2023年11月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
まるみキッチン/三浦健吾さん(みうらけんご)
PROFILE
「だれでも簡単に作れる」をモットーにした料理をSNSに投稿する料理家。身近な食材で手間を省いた、アイデアに富む実用的なレシピは若い世代からファミリー層まで支持されている。
『やる気1%ごはん テキトーでも美味しくつくれる悶絶レシピ500』
家にある材料や調味料を使って、レンジや炊飯器でもおいしく作れる、こまかい説明をはぶいた短めのレシピで料理の労力を最小化。さらに肉・野菜・麺類・デザートまで網羅した500品を掲載。1冊あればとても便利な、コスパ最強のレシピ本です。2023年 第10回料理レシピ本大賞 大賞受賞。まるみキッチン著/1694 円(KADOKAWA)