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子どもの虫刺されは、大人より悪化する!?虫よけの選び方のポイント、虫刺されの受診の目安は?【小児科医】

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公園で微笑む男の子
●写真はイメージです
maroke/gettyimages

今夏も猛暑の日が続いていますが、むし暑いと発生が多いのではないかといわれるのが「蚊」。いろいろな対策をしていても、なかなか防げないのが虫刺されです。子どもの肌が赤く腫れているのを見ると、心配になります。連載「ママ小児科医さよこ先生の診療ノート」の8回目は、赤ちゃん・子どもの虫刺されのホームケア、受診の目安を解説します。

子どもの虫刺されは「大人よりも腫れる」のが正常

「2歳の男の子、ある日のお散歩から帰ってきたら、腕も足もボコボコと蚊に刺されていました。夜になって見てみると、あれ?昼間のときよりも、腫れが大きくなっている気がします。赤みも強いようです。かゆいのか、ボリボリとかきむしって、血も出てしまっていました。
次の日見ても、やっぱり赤く腫れていて、かきむしった部分がせっかくかさぶたになりかけていたのに、またかきむしって血が出てきてしまっています。さらにその次の日には、虫刺され以外のところも、赤くなったり、かさぶたになったりしている・・・」

そんな経験をしたことはありませんか。そう、子どもの虫刺されは、大人よりも強く反応が出てしまうのです。

具体的なメカニズムは判明していない点も多いですが、蚊に刺された経験が少ないほど、蚊の唾液に対する免疫反応が強く働くこと、また子どものほうが体温が高くなりやすいことなどが原因といわれています。よって強く腫れている、赤みが強く出るといったこと自体は、決して異常ではありません。水ぶくれができることも、少なくありません。

とくに1歳〜3歳は最も腫れやすい時期といわれており、5〜7日間ほど続くことも。長く続く、というのも子どもの特徴なんです。

子どもの虫よけ。蚊なら「イカリジン」で十分。レジャーには「ディート」

「おすすめの虫よけ、ってあるんでしょうか?」(4歳)
「いろんな虫よけがあって、迷います・・・選ぶときのポイントは?」(2歳)

0歳から使える虫よけ剤も、多く販売されています。基本的には、各商品に表示されている月齢・年齢に応じたものを、用法・用量を守って使えば、とくに優劣はありません。

もう少し詳しくいえば、虫よけ剤には大きく二つ「イカリジン」と「ディート」という成分があります。蚊の対策であれば「イカリジン」を含む商品がおすすめです。「イカリジン」は月齢や年齢の制限がありませんし、使用回数にも制限がないからです。蚊のほかに、ブユ・ブヨや、アブ、マダニにも効果があります。

もう一つの「ディート」は、月齢・年齢また使用回数に制限があります。具体的には、生後6カ月未満の子どもは「ディート」を使うことはできません。使える回数は、生後6カ月〜2歳未満は1日2回、2歳〜12歳未満は1日1〜3回までです。
そのぶん「ディート」は蚊・ブヨ・アブ・マダニだけでなく、ノミやツツガムシなど、対策できる虫の種類が増えます。日常的なお出かけは「イカリジン」、レジャーは「ディート」と覚えておくといいと思います。

なお日焼け止めよりもあとに、虫よけを塗るのが効果的です。肌のいちばん表面に、虫よけ剤を塗るイメージですね。

どんな虫でも、刺されたら「よく洗う・よく冷やす」

「赤みが強くて、心配です。家でできることはありますか?」(1歳)

どんなに虫よけ対策をしても、虫刺されは完全には防げないですよね。どんな虫に刺されたあとでも、基本のケアは「よく洗う・よく冷やす」です。赤みや腫れは、肌に炎症が起きている証拠。その炎症をおさえるためのケアですね。汗によって虫刺されが悪くなるので、汗を洗い流すのも大切です。なお氷水や保冷剤で冷やすのを嫌がる場合は、冷たい水にひたしたタオルを当てたり、冷たい水で洗う時間を長くしたりして、無理なくできる範囲でいいでしょう。

虫刺され用の市販薬を使ってもいいでしょう。ただしステロイドなどの成分が含まれている製品もあるので、子どもの月齢・年齢に合ったものを、用法・用量を守って使ってください。また清涼感のあるものは、子どもがかきむしったあとだと、しみたり痛くなったりして、泣いたり嫌がったりすることも。お子さんに合わないと感じたら、使用を中止してください。

虫刺されからの「とびひ」に注意

「薬を塗っても、ずっとかきむしっていて・・・血は出るし、傷だらけ。 何か対策はありますか?」(2歳)
「昔、とびひになったことがあって・・・虫刺されからも、とびひになるんですか?」(4歳)

虫刺されをかきむしっていると、とびひ(伝染性膿痂疹・でんせんせいのうかしん)になることもあります。子どものほうが腫れやすい、赤みも強く出やすいということは、子どものほうがかゆみも強いということです。かいちゃダメ!といっても、難しいですよね。
 
メカニズムとしては、まずは虫刺されをかきむしることから始まります。それによって傷ついた皮膚の表面で、皮膚にいる細菌が感染症を起こします。そこを触った手で、体の別の場所を触ったり、かいたりすることで、虫刺され以外の部分にも赤みやかさぶたが広がる病気です。

虫刺されや、かきむしることを、完全に防ぐことはできません。でも「日ごろからつめを短くしておくこと」は「とびひ」の一つの対策になります。虫よけとともに、つめを切ることで、とびひ予防になるんですね。またきょうだいや家族、友だちへの感染にも気を配る必要があります。とびひの部分はガーゼでおおう、おふろは家族でなるべくいちばん最後に入るなど、感染対策をしましょう。

なお「とびひ」は虫刺されだけが原因ではありません。普段から湿疹があったり、アトピー性皮膚炎の状態が悪かったり、となんらかの理由で肌の状態が悪化していると、それをかきむしるので「とびひ」になります。日ごろからよく洗って保湿し、また必要な薬を塗るなどして、肌の状態をよくしておくことも大切です。

受診の目安は「日常生活に支障がある」「とびひ」「ぐったり」

虫に刺されて赤みや腫れが出てきても、すぐに受診する必要はありません。上記のように、よく洗って冷やすことで、ほとんどは乗りきることができます。

一方で、かゆみや腫れが強すぎることで、日常生活に支障が出ているのであれば受診の目安です。具体的には、かゆみのせいで寝つきが悪い、ずっと機嫌が悪い、かきむしって血が出ることが続いている、などです。

受診する科は、小児科でも皮膚科でも構いません。必要と判断されれば、抗ヒスタミン作用のある飲み薬(かゆみをおさえる作用があります。アレルギーのときなどにも使う薬です)や、ステロイドの塗り薬(赤みや腫れのもとである、肌の炎症をおさえる作用があります)が処方されることが多いです。

さらに虫に刺された部分以外も、赤みやかさぶたが広がるときは「とびひ」が疑われます。この場合も受診してください。皮膚の表面の細菌に対して、抗菌薬を塗ることで治療します。なお「とびひ」は上記のように感染するので、治るまで水遊びやプールに入れません。園や学校の先生にも伝えることが大事です。

なおまれですが、蚊など虫に対する、全身のアレルギー反応が生じることもあります。38度以上の発熱が出たり、虫刺されの部分に潰瘍(かいよう・皮膚がえぐれるように、ぐちゃっとする状態)ができたり、ぐったりする様子が見られるときは、迷わず受診しましょう。

文・監修/白井沙良子先生 構成/たまひよONLINE編集部

子どもの虫刺されは、大人より症状がひどくなりやすく、かゆみもひどいそう。虫に刺されない対策はもちろんのこと、刺されてしまったら、できるだけ悪くならないように早めのケアを心がけましょう。

参考文献
・長野県佐久医師会、教えてドクター、虫さされ
・小児科オンラインジャーナル、正しく子どもの虫除けを!ディート・イカリジンの注意点
・日本皮膚科学会、皮膚科Q&A、とびひ

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