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「え?まさか、こんなに上手くいくなんて」癇癪持ちの長男に手を焼くママライターが「NVC」を実践したら…驚きの結果が!【体験談】

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スマイリー親子
●写真はイメージです
yamasan/gettyimages

1970年代にアメリカの臨床心理士・マーシャル・ローゼンバーグ氏が提唱した“NVC(Nonviolent Communication)”。日本語訳で「非暴力コミュニケーション」と訳されるコミュニケーションのメソッドで、なによりも共感を大事にする平和的な「共感コミュニケーション」と言われており、子育てに活用するのにぴったりなんだとか。前回は、NVC✖️子育てにまつわる書籍を出版したkoko(丹羽順子)さん自身の体験談を紹介しましたが、今回は、kokoさんの取材を終えたライターが自分の子育てにNVCをどう活用し、結果どのようになったかをお届けします! 

怒ってもいい。だけど、怒りのエネルギーを相手に直接ぶつけるのはやめよう

インタビュー中に印象的だったのがkokoさんとの怒りに対する言葉。「NVCでは怒りを否定していません。親は聖母マリアのようにいつもニコニコしないといけないわけではなく、怒ってもいい。それがNVCの救いどころです。ただ、怒ったときに『もうまったくあなたって子は!』と、怒りのエネルギーを直接相手にぶつけることはNVC(非暴力コミュニケーション)とは正反対の、暴力的コミュニケーションと考えられています。さらに『また怒ってしまった。なんてダメな親なんだろう…』と落ち込んで自信を失くすのも、自分に対する暴力的アプローチです。
こういった状況を私は“犯人探し”している状態と呼んでいますが、そのような犯人探しに躍起(やっき)になるのではなく、自分や相手がかなえたいニーズは何か?を見つける、“宝探し”をするのがNVC。怒りの矛先は相手に向けるものでもなく、自分に真正面から向けるのでもない。自分の下のほう、おなかの奥に向けて、『私のかなえたいニーズは何だろう?』とニーズを探す手掛かりにするといいよと、よく言っています」(kokoさん)

子育てのイライラする場面でNVCを使ってみた!

kokoさんとの上記のやりとりで、自分の子育てを振り返った私。5歳年長の男の子と1歳半の女の子の母親ですが、普段怒りがわいてきたときに行うのがまさしく暴力的なアプローチ。とくに天邪鬼(あまのじゃく)でやんちゃな上の子には手を焼いていて、ぶつかることがしばしば。私が怒ると、ときに息子の癇癪(かんしゃく)が勃発するので、正直、へとへとの状態でした。

そんな私がNVCを試そう!と思いたったのは、ある平日の夕方。ワンオペでの子どものお世話と夕飯作りに追われていたタイミングでした。急いで野菜を切っていると、テレビに飽きた息子のSがキッチンにやって来て、こう言うのです。「僕もごはんを作る!」。

年長になった彼は最近料理に興味しんしん。とても素晴らしいことですよね。母である私もそう思います。ただ、正直、今じゃない…というのが本音。というのも、息子は決して私の夕食作りを手伝いたいわけではありません。「自分が作りたいメニューを、自分の想像のやり方で作れるか、挑戦する!」という、実験遊びがしたいのです。当然、味やダンドリ、かかる時間なんかはいっさい無視! 

「無理無理無理。今は無理!土日にしよう! ほら、ママ、もうごはんを作り始めているからさ!」と私が早口でまくし立て、息子の反抗ボタンが瞬く間にオンになるのがいつもの流れ。続いて息子は「今!今やりたいの! なんでできないの? ママの意地悪!」と大声で叫びながら、足をバタバタ、物にあたって駄々をこねます。私はその姿を見て、さらにヒートアップ。「土日にできると言ってるでしょ! 思いつきでしたいことばっかり言わないで!」。こんな具合で事態は泥沼にハマっていき、下の子まで泣きだしてカオス…。そんなことがしょっちゅう起きていました。

NVCの①観察②感情③ニーズ④リクエストを実践!

さて、今夜もまた同じことが起きるのか…と、気が重くなったそのときです。kokoさんに聞いたNVCを思い出しました。そこで聞いたとおりのことを実践してみたのです。

kokoさんは言いました。「怒りの感情が起きたとき、まずは大きく深呼吸して、余白を作りましょう」と。その教えのとおり、スーッっと息を吸ってハ――。すると、いつもなら息子の態度に自動で反応し、すぐさま戦闘モードに入る私の中の怒りスイッチが、ぎりぎりオフでいられていることに気づきました。
続いて心の中でkokoさんの声を思い出します。
「NVCは共感のコミュニケーション。まずは子どもの声に耳を向け、気持ちをありのまま受け止めてあげてください。そして状況の①観察をしましょう。自分自身への共感もなにより大事なので②自分がどんなことを感じているか感情にフォーカスし、その感情の大本にある③自分のニーズを掘り出して、④相手にリクエストします」(kokoさん)。

そのとおり、①の観察をしてみると、今は夕方の18時を過ぎている。まな板の上には切った野菜と解凍したお肉がある。そこに息子の申し出があった。
次に②の自分が何を感じているのか、意識を向けると、イライラしている、時間通りにいかなそうであせっている、息子が協力してくれなくて悲しいなどの気持ちがふつふつとわき上がってきます。
さらに③のニーズ。私のイライラや焦りの感情の根本には、おなかがすく子どもたちに早くごはんを食べさせてあげたい、子どもたちの健康を守るためにも早めにごはんを終えて、おふろに入って寝かせたい、そのためには息子に協力してほしいというニーズがある。
それらのことをすべてkokoさんの言うとおり「愛を持って正直に」息子に伝えてみることにしました。

息子に近寄って顔を見ながら「そっか。ごはんを作りたいかー!そうだね。きっと今作りたいと思ったんだよねぇ…」とまずは最大限の共感を示すことから! 「ただ、ママはママでキーマカレーを作ろうと思っていて、野菜をもうみじん切りにしたのね。冷凍のお肉も解凍し、今から炒めるところ。ほら、時計を見て。18時を過ぎているよね?」と、ここまで観察した情報をピックアップ。

さらに続きます。「Sもおなかが減っているだろうから、早くごはんを食べさせてあげたいってママは思ってる。それにごはんが遅くなると、おふろも寝るのも遅くなるから、SとA(娘)の健康によくないよ。だからこそママには時間通り進めたい気持ちがあって、突然それが乱されると、あせってイライラしちゃうんだよ」と、私がイライラするのは息子自身にではなく、あくまで自分のニーズが満たされないことが理由だと伝えました。

そして「早くごはんを食べるためにも今日はママに任せてほしい。どうかな? 次の日曜なら時間があるし、パパもいて余裕があるから、Sの作りたいごはんを一緒に作ろうよ」とリクエストしてみたのです。

いつもは精いっぱいグズる息子が穏やかにOKを出してくれた!

さて、どうでしょう。いつもならフンガー!とグズって怒り出す息子です。反応にドキドキしていると…「んー?いいよ。じゃあ僕はごはんできるまで遊んでいるね」とあっさり、それはもうびっくりするほど穏やかに、了承してくれたのです。kokoさんに教えてもらったとおりのNVCのステップを踏みながら、共感度300%、ていねい度300%(いずれも当社比)で言葉を伝えてみたものの、こんなにうまくいくとは思わず、かなり驚き!

気づいたのは、いつも冒頭から「無理!」と子どものリクエストを跳ねのけていた自分。正直、「今はできなくても、土日にするって代替案を用意しているんだから、これでいいでしょ」と思っていたんです…。だけど、とんでもない。大事なのは息子の今の気持ちを受け止めてあげること。
kokoさん曰く「親って子どもに何かが起きたときに、とにかく解決しようとしたり、すぐにほかのもので気をそらしたりってことをやりがち。もちろん、子どものことを思った行動ですし、そうすることが絶対ダメではなく、必要になるシーンもあると思います。だけど、その前に子どもの気持ちに共感することがごっそり抜け落ちていることが多いんです。共感さえしっかりできていれば、解決しようとしなくてもそれで十分ってこともよくありますよ」。

このときの息子は自分の気持ちをしっかり受け止めてもらったと感じたのでしょう。いつもある怒ったときの反抗的なチクチクした雰囲気はなく、とてもやさしい表情をしていました。kokoさんの話す「深いところで子どもとつながる」のをリアルに感じた体験でした。

お話/kokoさん 取材・文/江原めぐみ、たまひよONLINE編集部

今回、5歳の息子にNVCを試した体験談を紹介しましたが、イヤイヤ期の片りんが見え出した1歳半の娘にも試してみることに。5歳のようにまだ言葉がしっかり伝わるわけではなく、目に見える解決はしなかったのですが、私が娘を責めることなく自分のニーズを言語化して伝えられたことで、自分自身の気持ちがすっと軽くなったのを感じました。子育てに悩んでいる、必要以上に怒ってしまうなどの悩みを抱えている皆さん。ぜひ、トライしてみてくださいね。kokoさんの書籍を読むとさらに詳しくわかりますよ!

koko(丹羽順子 にわじゅんこ)

1973年、東京都生まれ。2017年、アメリカ最大のNVCの団体、BayNVC主宰の年間リーダーシッププログラムを修了。対面とオンラインで、NVC講座を開催。月刊幼稚園(小学館)で2019年〜2022年にかけてNVCに関する連載を掲載。連載をベースに、大幅加筆した『親と子どもが心でつながる「キリン語」の子育て NVC非暴力コミュニケーションワークブック』(小学館)が好評発売中。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

◾️親と子供が心でつながる「キリン語」の子育て NVC非暴力コミュニケーションワークブック

1970年代にアメリカの臨床心理士マーシャル・ローゼンバーグ氏が開発した、誰のせいにもしない共感的なコミュニケーションの方法であるNVCを、子育てに活用する日本初のガイドブック。初心者もNVCの知識が身につきやすいワークブック形式です。

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