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うちの子の特性はどのタイプ?わが子の才能を見つけて最大限に伸ばすには、子どもの「認知特性」を知って【小児科医】

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明るく答える子供たち
●写真はイメージです
yamasan/gettyimages

外からインプットした情報を脳内で整理、理解、記憶し、表現する方法は、大きく3つのパターンに分けられ、人によって得意なパターンがあります。これを「認知特性」と呼びます。
小児科専門医であり、認知特性を長年研究している本田真美先生に、認知特性を知って、それを子育てに生かすためのヒントについて聞きました。
2人の子の母親である本田先生の家族の、わかりやすいエピソードも教えてもらいました。
全4回のインタビューの1回目です。

外からインプットした情報の理解・記憶と表現のしかたは人によって違う!?

視覚優位の夫さんが「不老長寿」というテーマからイメージして作った雑誌の表紙(『ソトコト』2001年8月号)

――本田先生が研究している「認知特性」について簡単に教えてください。

本田先生(以下敬称略) 目で見る、耳で聞く、文字を読むなどで得た情報を頭の中で理解、整理、記憶し、絵や図、言葉、文字などで表現するまでの一連の情報処理のやり方を認知特性と言います。だれもが同じ方法で理解や整理をしているとは限らず、人それぞれに認知のしかたがあります。
「みんなと同じようにできない」と感じることがあったとして、それは能力が劣っているわけではなく、認知特性の違いのために100%の力を発揮できていないのかもしれないのです。

――人によって違うという認知特性には、どんなパターンがあるのでしょうか。

本田 人それぞれに得意不得意があるのですが、得意なことを主にとらえて、言葉での情報を論理的に処理するのが得意な「言語優位」、目で見た情報を処理するのが得意な「視覚優位」、聞いた音情報を処理するのが得意な「聴覚優位」という3つのパターンがあります。

たとえば4人家族のわが家は、私が言語優位、夫と息子が視覚優位、娘が聴覚優位です。3つのパターンが全部存在する家族です。

――本田先生が認知特性に興味を持ったのは、視覚優位の夫さんと結婚したことが大きかったとか。

本田 私は認知や気質にかたよりを抱える発達障害の子どもたちと接する機会が多く、医学的・教育的サポートを考えるために、認知のパターンを探る研究を長年しています。

でも、認知の違いについて本当に実感したのは、広告デザイナーの夫と出会ってからでした。つき合い始めたころ、夫がデザインした「不老長寿」をテーマにした雑誌の表紙を見せてくれたんですが、それは亀の上に鶴がのっているというもの。夫は「不老長寿」というテーマから「鶴」と「亀」をイメージしたそうです。
私は「不老長寿」と言われたら漢字四文字が頭に浮かび、「いつまでも年を取らず長生きをする」と、言葉の意味を理解します。「鶴」とか「亀」なんて出てきません。しかし、夫はそうではありません。同じ言葉を聞いてもそれを頭の中で理解、処理し、表現する方法は違うんだ・・・と理解した瞬間でした。

子どもが「今」好きなこと、得意なことを直感的にチェックしてみよう

本田先生の息子さんは視覚優位。小学生のときから洋服のデザインに興味がありました。お父さんのワイシャツを自分のサイズに加工しているところ。

――本田先生が作成した「子どもの認知特性テスト」は3歳以降を対象としています。3歳ごろから認知特性のタイプがわかるようになるのでしょうか。

本田 認知特性のタイプがはっきりしてくるのは小学校高学年以降なんですが、認知特性は生まれながらに持っている能力でもあるので、3歳ごろから子どもの様子や受け答え、好きな遊びなどで、ある程度タイプ分けができると考えています。

ただ、年齢が低いほど経験が少なく、発達途上の部分も多いので、「未就学児の認知特性は“ファジー”」です。成長し、経験が増えていくことで、好きなことや得意なことが変わるからです。
「ブロックのような立体の遊びが好きなんだな」「お話をするのが得意みたい」「歌ったり踊ったりすることを喜ぶよね」など、“今のところ”好きなこと、喜ぶことなどを知る目安と考えてください。

――子どもの認知特性をチェックするとき注意することはありますか。

本田 「認知特性テスト」と「テスト」という言葉が入っていますが、正解はないので、あまり考えずにやってください。私のクリニックに来るママ・パパには「直感的に答えてね」って言ってます。時間をかけずにパパパッとチェックしていく感じです。

「言語優位者」「視覚優位者」「聴覚優位者」の3つのカテゴリーの質問で当てはまるものをチェックし、当てはまる項目が一番多い特性が、現在、子どもが得意、やりやすいと感じる認知特性ということになります。

本田3歳式認知特性テスト【言語優位者】

言葉を使う「言葉の力」の強さをチェックします。

言語優位者は、文字や文章を読んで理解し、書いて表現するのが得意です。

本田3歳式認知特性テスト【視覚優位者】

視覚を使う「見る力」の強さをチェックします。

視覚優位者は写真や画像、絵などのイメージから情報を理解し、イメージで表現するのが得意です。

本田3歳式認知特性テスト【聴覚優位者】

言葉や音楽などを「聞く力」の強さをチェックします。 *上の3つの図は『子どもの「ほんとうの才能」を最大限に伸ばす方法』(河出書房新社)を参考に、編集部で作成

聴覚優位者は、文字や文章を耳から入る音として理解・表現したり、音色などの音楽的なイメージを表現したりするのが得意です。

――どの特性も 同じくらい当てはまった場合は、どう考えればいいでしょうか。

本田 認知のバランスがいいということ。そういう子も少なくないですよ。まんべんなくいろいろなことに興味を持つと思うので、その中で子どもがより好きなことを見つけていけたらいいですね。

――テストの結果と、子どもの好きな遊びや興味を持つものが違うな、と感じる場合は?

本田 年齢が小さいとよくあることかもしれません。まだ経験していることが少ないので、子どもがどのように認知しているか、ママ・パパが判断しきれないのはある意味当たり前。「テストの結果を見ると視覚優位だけど、うちの子の様子を見ていると聴覚優位な気がする」などと感じたときは、子どもと毎日接しているママ・パパの感覚や勘を優先させてください。

認知特性は子どもが熱中し、「楽しい」と思えることを探す道しるべに

息子さんは小さいから工作が得意。写真は、小学生のときに作った地球を守るためのヘルメット。

――子どもの認知特性を知ることは、子育てにどのように生きるのでしょうか。

本田 子ども自身が好き、得意と感じることは、親が働きかけなくても熱中しますよね。時間を忘れて何かに打ち込むことができると、子どもは「やりとげた」という達成感を味わうことができます。この感覚は子どもの自己肯定感へとつながっていく、とても大切なものです。

でも、年齢が低いほど「わが子の得意なもの」は見つけにくいもの。その手がかりになるのが認知特性なんです。子どもが自分の力を発揮できる「何か」と出会い、興味を持って打ち込む。その「何か」を見つける道しるべになるのが認知特性だと私は考えています。

――子どもが打ち込めることであれば、どんなことでもかまわないでしょうか。

本田 そのとおりです。私のクリニックを受診している、発達障害のあるお子さんは4歳ごろ、あやとりの面白さに目覚め、どんどん夢中になり、短期間で難しい技を次々に習得。ついには「あやとり教室指導員」の資格を取りました。全国でも珍しいこの資格を取れたという経験は、このお子さんの中で、とても大きな自信になったでしょう。
でも次の外来でお会いしたときには、あやとりへの興味が薄れて、ほかのことに没頭していました。お子さんにとっては資格や表彰などよりも、「自分がやりたいことをやる」ということのほうが大切なのかもしれません。

3歳ごろから、絵本を読むのが好き、パズルが得意、物まねが上手など、やりたがる遊び、好きな遊びが分かれてくると思います。その子の好きなこと、得意なことをたくさんやらせてあげて、「楽しい!」「1人でできた!!」「やりとげた!」というポジティブな感覚を味わわせてあげることが、子どもの生きる力を伸ばすことになります。

「自分と子ども(夫)は違う」と理解し、尊重するヒントにも

小学生のとき、料理に興味を持った娘さんが紙粘土で作ったハンバーガー(右)と、それに似せて作った本物のハンバーガー(左)。パンも手作りしました。

――「本田40式認知特性テスト(※)」もあり、こちらは3つの特性をそれぞれ2つのタイプに分け、認知特性を6つのタイプに分けています。

本田 40問の質問を通して、6つのタイプのうち自分がどれに当てはまるのかを知ることができます。学校生活や日常生活などでの経験が増え、得意・不得意が分かれてくる小学校高学年以降のお子さんは、こちらのテストを自分で受けてもらうといいでしょう。子どもだけでなく大人の認知特性もわかるので、ママ・パパもやってみてください。

――ママ・パパが自分の認知特性を知ることは、子育てにメリットがありますか。

本田 自分と子どもの認知特性が違う場合はとくに、同じ物を見たり、同じことを経験したりしていても、子どもが自分と同じように理解したり、感じたりしているわけではない、ということを理解できるのが一番のメリットだと思います。
何度同じことを注意しても伝わらないのは、伝え方が子どもの認知特性に合っていないからかもしれない。そう気づくことで、育児のイライラやストレスの軽減につながることもあるでしょう。

これは夫婦間や社会の人間関係でも同じです。「どうも会話がかみ合わない」「何を考えているのかわからない」というときは、私と夫の場合のように、認知特性の違いが関係しているかもしれません。
親子にしろ夫婦にしろ、相手との違いを理解して尊重することが大切。そのヒントの一つになるのが認知特性だと、考えていただけるといいかなと思います。

お話・監修・写真提供/本田真美先生 取材・文/東裕美、たまひよONLINE編集部

「認知特性」という言葉から、難しそうに感じてしまうかもしれません。でも、子どもの好きなこと、得意なことを知る手がかりになるもの、そして、コミュニケーションのヒントになるもの、と考えるのがよさそうです。

インタビュー2回目は、本田先生の2人の子どもたちの認知特性を生かした子育てについて聞きました。

※本田40式認知特性テスト

本田真美先生(ほんだまなみ)

PROFILE
医学博士、小児科専門医、小児神経専門医。あのねコドモくりにっく院長。東京慈恵会医科大学卒業。国立小児病院にて研修後、国立成育医療センター、都立多摩療育園、都立東武療育センターなどを経て、2016年みくりキッズくりにっくを開院。2024年8月より現職。2022年に認知特性に関する研究を行う「本田式認知特性研究所LLP」を設立。

本田式認知特性研究所LLP

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年9月の情報であり、現在と異なる場合があります。

『子どもの「ほんとうの才能」を最大限に伸ばす方法』

絵を描くのが得意、歌や演奏が上手、絵本を読むのが好き・・・などなど、子どもの好きなこと、得意なことと関係している 「認知特性」。認知特性を知ると、子どもへの理解が深まり、また、ママ・パパ自身の認知特性を知ることは、夫婦間のコミュニケーション力アップにもつながる。本田真美著/1650円(河出書房新社)

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