おちんちんで気になることがある場合、受診するのは小児科?皮膚科?それとも?【ママ泌尿器科医】
男の子と女の子2人のマであり、泌尿器科医である岡田百合香先生の連載。今回は、子どもの体で気になることがあるときに、「まずは何科を受診すればよいのか」についての内容です。「お母さん・お父さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#51です。
この症状はどの病院を受診する?迷ったらまずはかかりつけの小児科へ
「おちんちんで気になることがある場合、受診する先は小児科ですか?皮膚科ですか?それとも泌尿器科ですか?」という質問をよく受けます。
性器に限らず、「鼻風邪をひいたときは小児科なのか耳鼻科なのか」、「目やにがひどいときは眼科のほうがいいのか」など小児科or小児以外の科で悩むことは少なくないですよね。
迷った場合、信頼できるかかりつけの小児科があるのなら、基本的にはまずはそちらで相談するのがいいと考えます。
かかりつけ小児科医の魅力は、その子に関する情報の豊富さを背景に、気になっている症状を総合的に診て対応してくれることだと思います。
周産期(お母さんのおなかにいる間から出生直後)の状況から、成長の過程、これまでどのような病気やけがをしてきたかという医学的な情報のみならず、子どもの性格や生活環境についてまで把握してもらっているというのは、診察や治療を受ける上でもとても大切なことです。
小児に限らず、初診の患者さんを診察する際には基本的な情報(これまでの病気や怪我の情報、仕事・生活環境・嗜好品といった生活歴)を聴取するのに多くの時間をさくことになります。
すでに基本情報を把握し、相手の価値観やキャラクターを理解した状態で診察をできるのは医師にとってもたいへんスムーズで、より精度の高い診断・治療を提供することができるのです。
専門的な外科的処置が必要な場合には、それぞれの専門医へ
では、かかりつけの小児科でできないことは何でしょう。それは専門的な外科的処置です。
たとえば、子どもが風邪をひいて、鼻水がひどいとき。小児科か耳鼻科か迷うかもしれません。
お薬を飲んで経過を見るような場合であれば、どちらでも構いません。
一方で副鼻腔炎(ふくびくうえん/蓄膿)の状態になってしまい鼻の中を洗浄する処置や、中耳炎になってしまい鼓膜(こまく)を切開するような処置は耳鼻科でしかできません。
子どもの目が充血して目やにが出ている場合はどうでしょうか。
「結膜炎っぽいな」と判断して目薬を出すだけなら何科でも可能です。しかし、「角膜に傷がないか」「目の奥の血管に異常がないか」を見ることができるのは眼科医だけです(特殊な機器と技術が必要なので)。
ただし、「専門的な処置が必要か否か」を保護者が判断するのは困難なので、それはかかりつけの小児科医に判断してもらえばよいと考えます。
「一刻も早く専門的な処置が必要な病気」は、専門医へ。日ごろから調べておこう
泌尿器でいうと、「おちんちんの先が赤い」という症状であれば皮膚科でも小児科でも泌尿器科でも構いません。
一般的な治療で治りが悪い場合や繰り返すような場合、専門的な診察や処置が必要だと判断された場合には別の科や病院を紹介してもらえるはずです。
一方で、嵌頓包茎(かんとんほうけい/亀頭の先端が浮腫んでいる、包皮をむいたら戻らなくなった)や陰嚢の異常については泌尿器科の受診をおすすめします。
とくに発症から一刻も早く処置を受ける必要がある嵌頓包茎や精巣捻転に関しては、小児科ではなく泌尿器科への受診が必要です。
これらの疾患は手術が必要になることもあるため、居住エリアで常勤の泌尿器科医がいる総合病院(泌尿器科の手術ができる病院)をチェックしておくと、いざというときにスムーズです。総合病院のホームページを見れば、泌尿器科があるか、医師が常勤か否かがある程度わかります。
ほかには、陰嚢のけが(ぶつけた、蹴られた)も泌尿器科のほうがいいと考えます。精巣が傷ついている場合には早期の手術が必要だからです。
このような「一刻も早く専門的な処置が必要な病気」以外であれば、泌尿器科系のトラブルも基本的にはかかりつけ小児科医にまずは相談で大丈夫です。
小児科で泌尿器領域に精通している、または泌尿器科で小児領域に精通している「小児泌尿器科医」
さて、子どもの泌尿器科(性器や排尿関連の病気)に最も詳しい存在として「小児泌尿器科」という科があります。小児科医の中で泌尿器科領域に精通している人も、泌尿器科医の中で小児領域に精通している人もいます。
ただ、小児泌尿器科の専門医は非常に少ないため、どこの地域・病院にもいるわけではありません。
「日本小児泌尿器科学会」のHPに都道府県別で小児泌尿器科の専門医を調べられるページがあるので、もしかかりつけの小児科医や近くの泌尿器科医の診療内容で納得のいかないことがあれば、この小児泌尿器科医を頼ってみるのも1つの選択肢です。
「そもそも何科?」に悩んだときは、小児科のオンライン診療も活用できます。オンラインなので直接的な診察や処置はできませんが、症状や困りごとを小児科医に相談することで、次に受診すべき科についてアドバイスをもらうことが可能です。
スマホでさまざまな医療情報を収集できる現代ですが、調べるのにも時間とエネルギーが必要です。自力で「何科に行く?」の答えを見つけようと頑張りすぎず、専門家を頼ってくださいね。
文・監修/岡田百合香先生 構成/たまひよONLINE編集部
子どもの体調がよくなかったり、体で気になることがあったりする際には、的確な受診も大切なようです。子どもの総合医である「かかりつけ医」を主にしながら、地域の診療科についても調べておきましょう。
●記事の内容は2024年10月の情報で、現在と異なる場合があります。