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目で確認するのが難しい女の子の性器、正しい洗い方ってあるの?【ママ泌尿器科医】

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赤ちゃんは洗浄
●写真はイメージです
Vita-lina/gettyimages

男の子と女の子2人のママであり、泌尿器科医である岡田百合香先生の連載。今回は、「子どもの性器のケア」についてです。男の子の性器は体の外側にあって目で確認しながらケアをすることができますが、女の子の場合はそれがなかなか難しいもの・・・。「お母さん・お父さんのためのおちんちん講座」ママ泌尿器科医#55です。

女の子の性器のケア、基本的な洗い方って?

先日、助産師さん数人と「子どもの性器ケア」に関する勉強会の打ち合わせをしていたときのことです。
「勉強会には女の子の性器ケアについて知りたい方も参加されるので、女の子の話もしてもらえませんか?」という相談を受けました。
確かに、医学部でひと通り婦人科の勉強はしているので、医療の勉強をしてきたわけではない方よりは知識はあるかもしれません。一方で、学会や独自の学習によって最新の「女性器」に関する情報をキャッチできているわけではないし、「うーん・・・」と悩んでいました。
「基本的な洗い方とかでいいので」とおっしゃるので、「むしろ私自身、娘のおまたをどう洗っていいのかとまどっているのですが・・・」と逆に相談してしまいました。

すき間に汚れがたまりやすい、女の子の性器

女の子の外性器には大陰唇と小陰唇のひだがあるため、そのすき間に汚れがたまりやすい構造になっています。生後数カ月はまだ固形ではないうんちがひだの間にたまりやすく、「どこまで取り除けばいいのだ・・・?」と悩みました。赤ちゃんの性器は本当にこまかくて、洗うのには大人の小指ですら大きすぎます。私はベビー用の綿棒を使ってうんちを取り除いていましたが、「本当にここまでする必要はあるのか」「綿棒の刺激により傷がついてしまうのではないか」と困惑し、インターネットで「赤ちゃん 女児 性器 綿棒」と検索するものの納得できる情報は獲得できませんでした。

その後、立って入浴するころになると今度は性器を目で確認しながら洗うのが難しくなります。
男の子の場合は身体の前面に外性器がついているため、立位でもだいたいの様子がわかります。一方で女の子の場合は寝転がってもらうか、大人が大きくかがんで確認する必要があり、かなり手間と負担がかかるように。そして、子ども自身も触られるのを嫌がるようになってきます。

娘は現在3歳ですが、今は、目視はせず体幹を洗う流れで性器も「手で通過する」程度で洗っています。「これでいいのかな・・・」と自信なくやっているので、「医師より助産師さんのほうが、沐浴指導など乳児の性器の洗い方についてしっかり勉強されているのでは?ぜひ教えてほしいです」と聞いてみました。

すると「いや、実は私たちも『やさしく洗う』『ソープは泡立てる』『前から後ろ(尿道側から肛門側)へ』程度のことしか習わないんです」とのお返事。

体を洗うことの目的は、健康を保つため

では、多くの人が知りたがる「正しい洗い方」の正解はどこに存在するのでしょう。
そもそもの「体を洗うことの目的」から考えてみましょう。
いちばんは「健康を保つこと」です。皮膚は「人体最大の臓器」とも呼ばれ、人間が生きていくために重要な役割を担っています。その中でも外部からのさまざまな刺激から守る「バリア」としての役割は非常に重要で、まさつ、温度変化、紫外線、化学物質、ウイルス細菌といったさまざまな刺激から体を守っています。

そのために、皮膚は分泌や免疫といった機能を備えており、基本的には自らの力でウイルス・細菌の侵入を防いだり、健康な状態を維持できるよう皮脂を分泌するようになっています。
忘れられがちですが、基本的に皮膚には常に細菌が存在します。「細菌」と聞くと、「悪いもの!除去しなければ!」と感じてしまうかもしれませんが、細菌の存在=不健康ではありません。人間の体に常に存在する「常在菌」のおかげで健康が保たれている側面もあるのです。重要なのはバランスで、腸内細菌にも同様のことが言えますが、普段は特段悪さをしていない細菌が過剰に増殖したり、有益な働きをしていた細菌が減ってしまうことで炎症や感染症といったトラブルを引き起こします。

医師は細菌感染症と闘う一方で、人体と菌の複雑で親密な関係についても理解しています。そのため手術や処置をする前には徹底的に手をきれいに洗って無菌状態をめざす一方で、むやみに抗生剤(抗菌薬)を処方することはしません。

皮膚の強弱、汗や分泌物の量、外部刺激に対する反応は人によって違う

テレビやインターネット、SNSには「除菌」「清潔」をうたう商品があふれています。体を洗うことについても、「あなたの洗い方では不十分だ」「だからこの商品を使いなさい」というメッセージを日常的に受け取ることで、「正しい洗い方」への切迫感が生まれるのかもしれません。

最近はむしろ洗いすぎることによる弊害も指摘されるようになっています。体を洗うことの目的は、菌をせん滅させたり、あかや分泌物を徹底的に除去することではなく、健康な状態を保つことであるという基本をまずは再認識してもらえるといいなと思います。

その上で、万人にとっての正解は存在しないことを理解しておくのも大切です。人によって皮膚の強弱、汗や分泌物の量、外部刺激に対する反応、洗浄剤との相性もさまざまです。トラブルなく過ごせているのであればそれで「正解」ですし、困りごとや気になることがあれば医師に気軽に相談して助言を受けられる環境が得られるといいですね。

女性器の洗い方で言えば、やはり「大陰唇と小陰唇のすき間にあかがたまりやすいから、ここをていねいに洗う」ということがポイントでしょう。一方でそれを本人に伝え実践させるのは男の子よりずっと難しいと感じます。

息子の場合は3歳ごろから「包皮を無理なく手前に引いて洗う・洗ったら戻す」という方法を伝え、自分で洗えるよう促すことができましたが、女の子の場合は手鏡を使って自身の性器の構造を認識してもらうところから始める必要があるし、あやまって膣(ちつ)の中を洗ってしまわないかという不安もあるので、3歳ではまだ早いかなあというのが私の個人的な印象です。

というわけで、医師であっても女の子の性器の洗い方に関しては試行錯誤の日々なので、皆さんも「正しい」にこだわりすぎることなく、寒い時期のおふろタイムを楽しんでほしいと思います。

文・監修/岡田百合香先生 構成/たまひよONLINE編集部

子どもの性器の洗い方について、疑問がある人も多いのではないでしょうか。とくに女の子の性器は、自分の目では確認しにくいもの・・・。体を洗う本来の目的を考えて、適度な清潔を心がけることがいいようです。

●記事の内容は2025年1月の情報で、現在と異なる場合があります。

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