子どもにスマホ、抵抗ある...?専門家に聞く!デジタルツールの子どもへの影響
夏休みになって、子どもの同級生ファミリーなどと出かける機会が増えてきました。わが家は私たち親はスマホを使用していますが、ipadなどのタブレット端末は持っていません。お友だちの中には子ども専用のipadを保有し、出かける際や遠方への帰省時の必需品にしている家庭も。子どもに静かにしておいて欲しいときの必需品!と思う反面、やはり気になるのは「小さい子どもに使わせて、悪い影響はないの?」ということ。
そこで、「小さな子どもとメディア」について研究されている4名の専門家の先生方に、スマホやタブレット端末を小さい子どもに使わせることの影響について対談いただいた内容の一部をご紹介いたします(*この対談はウェブサイト「小さな子どもとメディア 親と子のメディア研究会」からの引用です)
http://berd.benesse.jp/jisedaiken/media/index.shtml
汐見 稔幸先生(白梅学園大学 学長)
榊原 洋一先生(お茶の水女子大学大学院教授 チャイルド・リサーチ・ネット所長)
佐藤 朝美先生(愛知淑徳大学人間情報学部講師)
河村 智洋先生(チャイルド・リサーチ・ネット外部研究員)
大事なのは親がコントロールできるかどうか
――― このところ、スマホやタブレットを小さい子どもに使わせることについて話題になりますが、どのようにお考えでしょうか?
(榊原)私は「子どもにスマートフォンなどの新しいメディアを視聴させてはいけない」という風潮の根拠になっていると思われる論文等にひと通り目を通しましたが、子どもの言語発達に直接的に害を及ぼしたり、学力が低下すると断言しているデータや論文はありませんでした。新しいメディアに対する不安から、「スマートフォンは子どもの発育によくない」とする声もあるようですが、私自身は、常識的な使い方さえしていれば心配する必要はないと考えています。
(佐藤)ただ、例えばスマートフォンを子どもに渡しっぱなしにして、それに子守をさせるのは非常に問題です。親子のコミュニケーションがなくなってしまいますから。
(榊原)それは決してやってはいけない使い方です。問題は使い方なのだと思いますね。
新しいメディアを恐れているのは大人だけ
――― ではどんなことに気をつけて使えばいいのでしょうか?
(榊原)これはテレビの話になりますが、アメリカのある論文では、テレビをたくさん見せている家庭では、睡眠時間や食事時間が不規則になるというデータが紹介されています。論文ではこの原因を「子どもの時間管理ができない親」にあるのではないかと推論しています。また「長時間テレビを見ると言葉が遅れるか?」という別の調査によれば、家族と会話をしながらテレビを見ている家庭では、テレビ視聴時間の多寡は言語の発達にまったく影響がないことがわかっています。テレビだけでなく、インタラクティブメディアであるゲーム、スマートフォン等についても基本的には同じこと。大切なのは、おうちのかたの関わり方・使い方次第であり、子どもの生活習慣を常識的な範囲でコントロールできるかどうか、にかかっていると思いますね。
(河村)わが家は小学1年生の娘がおり、仕事柄、iPad発売日に買い与えてしまいました(笑)。初めの頃こそ「新しいメディア」ということで夢中になって遊んでいましたが、次第に使わなくなり、今ではまったく遊んでいません。その時々で子どものブームもあるでしょうが、今では絵を描いたり、本を読んだりすることの方が楽しいようです。思うに、「新しいメディア」と恐れているのは大人だけであって、子どもにとってはいろんな道具の選択肢の中のひとつでしかないんだ、と実感しています。
(汐見)そうですね。テレビをほんの幼い頃に長時間見ると言葉の発達が遅れるという調査がアメリカで発表されましたが、正しくは家庭で放任していることが問題だったということだったのです。だとすると、やはりかかわらせ方・使い方が問題ということになると思います。もう子どもからデジタルツールを全部取り上げることはできないわけで、今私たちに必要なのは、「古いツールも新しいツールも使いこなして上手に生きる」という哲学だと思うのです。体を使った外遊びも、デジタルツールも、どちらもできるようになることが大切だと思いますね。ただ、幼い頃ほど、体を使った活動をしっかりすることを意識しておくことは大事だと思います。デジタルに先に慣れると、体を使うことをおっくうがる可能性があるからです。
デジタルツールを常識のある範囲で使用している限りは、子どもにとって悪い影響はない、ということがわかり、ほっとしたかたもいるのでは?
とはいえ、子どもに使用時の約束を守らせるのは時として難しいこともあります。また、デジタルツールを活用する一方で、身体を使った外遊びを意識して取り入れていく必要があることも事実。親がしっかりとバランスを取りながら、便利なツールとして子育てに取り入れていくことが大切ですね。(たまひよONLINE編集部)
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