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救急医療の現場から#5〜祖父が与えたピーナツで激しいせき込みが!!

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Tanawut Punketnakorn/gettyimages

気温が上がってくると、ママやパパの「ピーナツをつまみにビールを一杯」という日が増えてくるかもしれませんね。赤ちゃんは、ママやパパが食べているものに興味津々。食卓に並ぶピーナツにも手を伸ばしてくるかもしれません。しかし、赤ちゃんにピーナツはNG! 今回は、じいじが何の気なしに与えたピーナツが気管に入り、せきが止まらなくなってしまった症例を、北九州八幡病院救命救急センター・小児救急センター院長である市川光太郎先生に、紹介いただきました。

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発熱も鼻水もないのに、突然のせき込みが!

「1歳8ヶ月の男児ですが、全身状態は悪くなく発熱も認めません。けれども、せきがひどく、せき込んで苦しそうとの救急要請です。四種混合ワクチンは済んでいるとのことですが、搬入いいでしょうか?」とホットラインから連絡があった。発熱なしのせき込みで、百日ぜきを考慮して、ワクチン接種歴を聞いている救命士さんの機転に感心しながら、すぐに搬入を許可して救急室で待つことにした。

ほどなくして到着した救急車から、母親と一緒に降り立った男児はケロッとしていたが、診察台にあげようとした際に、突然せき込みはじめ、顔が真っ赤になるほどせき込んだ。ほかに鼻水などもなく、呼吸器系疾患にみられる鼻づまりやのどの痛みといったカタル症状は認めなかった。発熱はないがせき込みが強いので、血液検査・点滴・胸部X線検査を行うように研修医に指示して、母親から話を聞くことにした。

「大丈夫でしょうか?」と心配そうな様子で母親は一気に話し始めた。
「この数日、まったく問題なく元気にしていたし、ここ数日はワクチンなども受けていないですし、アレルギー体質と言われたこともないし、汚染物質を吸い込んだこともなく通常の生活をしていました。でも今夜、寝るころになって突然せき込んで苦しがり始めたんです」。

通常の感染症などではなさそうなので、せきが出始めたときの様子をもう少し聞くことにした。

「今夜は夕ごはんが終わって、おふろに入って、寝かせようとしたのですが、ちょっと片づけものがあったので、おじいちゃんに面倒を見てもらうことにしました。おじいちゃんが言うには、“おとなしくしていたよ”とのことでした。それから、寝かしつけるまで、小一時間ほどたったところで、せきが出だしたんです」

「おじいちゃんは何をされていたのですか?」と尋ねると、
「確か、ビールを飲んでいたと思います」という返事が返ってきた。
「まさか!?」と思いつき、
「ピーナツとか、つまみにされてましたか?」と尋ねると、母親は
「そこまで覚えていませんが、電話してみます」と言って席を立った。

せきの原因はつまみのピーナツ!

X線撮影時もせき込んでいたが、血液検査と胸部X線検査はまったく問題ないと、研修医が首をかしげながら伝えにきた。そこに戻ってきた母親から、「ピーナツを食べていて、子どもが欲しがったので、3~4粒あげたとのことです」との言葉を聞いた。

明日の朝いちばんに胸部MRIを撮影することとして、母親には、せきの原因はピーナツによる気道異物混入(きどうないいぶつこんにゅう)がもっとも疑わしいと告げて、入院を了承してもらった。

翌朝、MRI検査を行うと、予想どおりにピーナツが左主気管支(さしゅきかんし)に詰まっていた。耳鼻科医と相談し、午後から手術室で全身麻酔の上で、硬性気管支鏡(こうせいきかんしきょう)で摘出することとした。

無事に摘出に成功して、誤えんしていたピーナツを見せると、母親にホッとした表情が戻ったが、「おじいちゃんには厳しく言っておきます」と怒っていた。

赤ちゃんの誤えん:気管支炎や肺炎を繰り返し起こす恐れも

乳幼児の誤えんは保護者が見ていないときに起こりやすく、数ヶ月も診断がつかないことも。気道に異物が入ると、気管支炎や肺炎を起こし、異物を取り除くまで、繰り返す恐れがあります。ピーナツやアーモンドなどの豆類は、最も誤えんを起こしやすい食品。奥歯の生えていない3歳以下の子には、丸のまま与えないで。

★赤ちゃんの誤嚥対策は?

1.乳幼児は食事に集中させないと、誤えん・誤飲を起こす心配が。食事はテレビを消しましょう。

2.発熱なしの突然のせき込みは、誤えん・気道異物の重要なサイン。疑わしい場合は、すぐに受診を。

3.直径39mm未満のものは誤えん・誤飲による窒息の恐れあり。手の届かないところに片づけて。


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市川先生が、赤ちゃんがかかりやすい病気や起きやすい事故、けがの予防法の提案と治療法の解説、現代の家族が抱える問題点についてアドバイスしてくれる、「救命救急センター24時」は、雑誌『ひよこクラブ』で好評連載中です。『ひよこクラブ』2018年7月号の「救命救急センター24時」では、朝から泣いてばかりいた赤ちゃんが、実は意外なトラブルが原因だったという、「ターニケット症候群」の症例を取り上げます。(構成・ひよこクラブ編集部)

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