赤ちゃんが夜寝ない!これって夜泣き?
「赤ちゃんが夜寝てくれない」「夜泣きするので近所迷惑になっていないか心配」――。赤ちゃんの睡眠サイクルがうまく回っていないと、ママ・パパのストレスもだんだんと大きくなってしまいます。赤ちゃんに夜ぐっすり寝てもらうための工夫を、子どもの睡眠コンサルタントの愛波 文さんに聞きました。
「抱っこして揺らして寝かせる」が正解ではなかった!?
――赤ちゃんが泣くのは何かのサインでしょうか?
愛波さん:赤ちゃんは言葉を発することができないので、泣くことでママやパパとコミュニケーションを取ろうとします。それが単に注目してもらうために甘えているだけのこともあれば、何かのサインということもあるので見極めが必要です。熱がないか。痛そうにしているところはないか。おなかはすいていないか。おむつ替えをするタイミングか。きちんと睡眠環境は整っているか。まずはこういったことをチェックしてみてください。
――甘えるような様子でもなく、それらのチェック項目をクリアしていても夜泣きが続く場合は、ほかに何か原因があるのでしょうか?
愛波さん:新生児は寝たり起きたりを頻繁に繰り返します。とくに3ケ月くらいまでは、昼夜の区別がつかず、夜中におなかがすいて起きて泣いてしまうこともあります。昼寝をさせる際には、暗い部屋ではなく明るい部屋で寝かせてみることも対策の一つです。昼夜の区別がつくようなったら昼寝も暗い部屋でさせたほうが質のいい睡眠がとれます。
――赤ちゃんの夜泣きが近所迷惑にならないように、夜中に車に乗せてドライブしながら寝かせるという人もいます。この方法は問題ないでしょうか?
愛波さん:ドライブ中、車に揺られて赤ちゃんが寝てくれることはあると思いますが、揺られて眠ることは「質のいい睡眠」にはつながりません。抱っこしてゆらゆら揺らしながら寝かせるのも同様です。しっかりと睡眠環境の整った部屋で寝かせることが、最善であるということは押さえておきましょう。3~4ケ月くらいまでは、ドライブで寝かせるという方法でも大きな問題はありませんが、それが癖になってしまうと月齢が上がってもドライブじゃないと寝てくれなくなることがあります。
――睡眠環境の整った部屋を作ることのほかにも、ママやパパができることはありますか?
愛波さん:赤ちゃんの活動時間にも注意してみてください。活動時間に合わせて赤ちゃんの睡眠サイクルを整えれば、ベッドに置くだけで寝てくれようになる確率が上がります。赤ちゃんが「あー」「うー」と言っただけで駆けつけて抱っこしてしまうと本当は寝ていたのに起こしてしまうことがあります。赤ちゃんは声をあげたり、動いたり、目を開けたまま寝ていることもあるので、起きたと思っても2~3分様子を見てください。寝ているのに起こしてしまうとまた寝かしつけをしないといけないので、ママ・パパが疲れないためにも、活動時間を把握して寝かしつけをするといいですよ。
――これまで夜泣きしなかった子が、急に夜泣きするようになるのは何か原因がありますか?
愛波さん:4ケ月ごろから、脳の発達の過程で「睡眠退行」という現象が起こることがあります。睡眠退行とは、今までよく寝ていた子が急に、夜中に何度も起きたり、昼寝が短くなったり、寝つきが悪くなったりすることです。1週間で終わる場合もあれば、1ケ月ほど続くこともあります。睡眠退行は最初の2年間で頻繁に訪れるのですが、要因や現象は、月齢によって異なります。4ケ月ごろの睡眠退行は、赤ちゃんの五感が敏感になることで発生するといわれています。今まで以上に見えるようになったり、いろんな音が聞こえるようになったりするため、それが原因で不安になり、夜泣きにつながることがあります。多くの場合、「睡眠の土台」をしっかり整えることで夜泣きの改善は可能です。きちんとした睡眠環境を整え、子どもとのコミュニケーションを図り、生活リズムを整える。この3つの土台を整えることを意識してみてください。
新生児の赤ちゃんはまだ昼夜の区別がついていなかったり、おなかがすいていることがあるため、夜泣くのはよくあること! これは夜泣きとは言わないそうです。本格的な夜泣きは4~6ケ月ごろに始まることがありますが、赤ちゃんの夜泣きに悩まされるママ・パパは、何が原因になっているか、一度「睡眠の土台」から確かめてみては? それだけで劇的に改善するかもしれません。 (取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)