騒ぐ、動き回る、勝手に触る…公共の場での注意のしかた
vvaragic/gettyimages
1歳・2歳の子どもが電車やバスなどの乗り物や病院で騒いだり、スーパーマーケットやパン屋さんなどで勝手に商品を触ったり…。言い聞かせてもまだわからない年齢の子どもに対して、どうやって「騒いじゃダメ」「やっちゃダメ」と注意すればいいのか、迷うことは多いもの。1歳・2歳の子への注意のし方、ママ・パパのふるまい方について、子どもの発達心理に詳しい井戸ゆかり先生に聞きました。
年齢別!公共マナー&ルールの伝え方
公共の場で騒いだり、動き回ったりしたとき「まだ言ってもわからないから!」と、何も注意しないのはNG。外での正しい振る舞い方を教えるには、たとえ理解できなくてもママやパパが真剣な表情で、やってはダメなことを根気よく言い聞かせることが大切です。マナーやルールの伝え方をありがちなシーン別に年齢別に紹介します。
店や公共交通機関、病院で騒ぐときは…
1歳代前半/言葉で納得させるのは無理な時期。「シー」と真剣な表情で伝えながらも、音の出ないおもちゃや絵本で気を紛らわせて。それでも騒ぐときは、外に出たり、一度、バスや電車から降りたりしましょう。
1歳代後半/少しだけ我慢できても、動きたい気持ちが強い時期。1歳代前半同様に「ここではシー、ね」と真剣に伝えて、無理なときはその場を離れて。
2歳代/事前に約束すると少しずつ約束を守れるようになってくるので、「ここではシー、だよ」と約束を。「帰ったら、絵本を読もうね」など、先の見通しがつく声かけをすると、少し我慢できる子もいます。
レストランで座らない、静かにしないときは…
1歳代前半
子連れOKの店を選び、食事は短時間に。騒いだり、歩き出したりしたときは「座ろうね」などと伝えて、気を紛らわせて。
1歳後半
1歳代前半の対応と同様。動きたい時期なので、我慢する時間をできるだけ減らす工夫を。頼める人が同席しているならば交代で相手をしても。「おいしいね。頑張って全部食べようね」と座って食べることを促すのもおすすめ。
2歳代
「ここではシー。座って食べようね」と事前に約束をするのが基本。「帰ったら、パパと遊ぼうね」など、先の楽しみを見通せる声かけもおすすめ! 約束が守れたら大いにほめて。約束が守れないときは「約束したよね」と話し、どうしてやったらいけないのか理由を伝えましょう。
店の商品に触るときは…
1歳代前半
自分のものと店のものの区別がつかないので、できるだけ子どもが興味を示す売り場には近づかないこと。どうしても触りたがる場合は、時には買い物をあきらめる決断も必要です。
1歳代後半
してはいけないことを言葉で伝えるとだんだんわかる年齢なので「お店のものだから触っちゃダメよ!」と伝えて。どうしても欲しがる場合は、1つだけ買ってもいいでしょう。
2歳代
店に入る前に「お店のものは○○ちゃんのものではないよ。触っちゃダメだよ」と約束を。触ろうとしたら「約束したよね」と言って、思い出せるような声かけをしましょう。
同じ場所で長時間大人しくじっとすることは、1歳・2歳代の子にはそもそも無理なこと。事前に「触らないでね」と約束をしたり、言い聞かせたりすることはもちろん大切ですが、約束を守れなかったり、注意してもやめなかったりしても、頭ごなしにしかったり、「もう知らない!」と突き放すのは逆効果。お出かけを短時間で切り上げたり、他人の迷惑にならないような場所に移動したりするなどして、しからずに済む工夫は欠かせません。言い聞かせたり、伝え続けたりすることで、子どもはだんだんと社会のしくみを理解し、社会性が身についていきます。(取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部)
監修/井戸ゆかり先生(東京都市大学 人間科学部 教授)
発達臨床心理学、保育学が専門。乳幼児期からの子どもの心身の発達や、親子関係などを研究し、講演会などを行う。2人のお子さんのママでもあります。
参考/1才2才のひよこクラブ2018年冬春号「年代別 3大困ったシーン しつけ・しかり方 これが正解&NG」より
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。