現代の魔法使い落合陽一「これからは尖った人間が生き残る」
独特の未来ビジョンを提言し「現代の魔法使い」と呼ばれ、テレビなどメディアに引っ張りだこの、落合陽一さん。メディアアーティスト、大学教授として切れ味鋭いコメントで知られていますが、実は1歳の男の子パパ。もうすぐお二人目も生まれるそうです。そんな落合さんに#ミライ育児に必要なことを聞きました。0歳の息子にスマホを与えるというちょっとびっくりするエピソードから、将来仕事で生き残れる人間になるための考え方など、目からうろこのお話しが満載。落合さんの#ミライ育児企画は、たまごクラブ11月号(10月15日発売)より連載として掲載されます。
第1回 現代の魔法使い落合陽一「これからは尖った人間が生き残る」(本記事)
第2回 落合陽一の#ミライ育児「息子は幼稚園に通わせない」その理由
第3回 落合陽一の♯ミライ育児「幼い頃からのお受験は必要ない」
誕生と同時に息子にスマホをプレゼント
昨年、息子が生まれて僕も親になりました。彼が誕生したその日に、専用のスマホをプレゼントしましたが、1才を過ぎた今では勝手に自撮りしています。今どきの1歳児はスマホで自撮りするんですよ。さすがに僕もビックリしましたね。
家ではロボホンともよく遊んでいましたが、息子も大きくなってきてロボホンだと投げつけてしまったりするので、今はアイボと遊んでいます。2台いて、「and」と「or」という名前です。息子は、自分が歩けるようになったからなのか、アイボも立たせようとしています。「自分が立てるようになったんだから、お前もいけるはずだ!」って(笑)。
超AI社会なんていわれますが、これからの時代は常に何かに興味を抱き、“気になる”という感覚を持っていることが、さらに重要になってきます。すでにコンピューターに取って代わられた仕事もたくさんあるし、これからはますます増えていく。そうした中、僕らが勝負していけるのはオリジナリティーのある仕事です。
あらゆるものがソフトウエア的になってくると、物事をやり始めるコストは低い。だからこそ、アイデアが勝負だし、そのためには、まず何かをしようと思えるかどうか。“気になる”という好奇心がすごく重要。でも好奇心を育てるのは、大人になってからでは難しいんです。

お子さんが9カ月のときのツーショット写真。
「1才3カ月の今はもっとやんちゃな感じになってます」とのこと。
尖っている人は、子どものころ怒られなかった人
まず、子どもに「こうなってほしい」という考えは捨てたほうがいいと思う。その代わり、普段の子どもを観察して、その子の好きなことを見つけて伸ばしていくのがベスト。それが「好奇心」を育てることに繋がり、人とは違う尖った人間にしていく。
尖った人間にはお金も集まるし、仲間も増えていきます。何かしら、その子の気になるものがあるはずなので、それを止めないことです。ガマンできない人と好きなことがない人だったら、ガマンできない人のほうがマシです。
ちなみに息子はすでに鉄っちゃんです。うちの窓から電車が走っているのが見えるのですが、それをずっと眺めていて。「電車、好きなんだね~」と思って、Nゲージ(鉄道模型)を買ってみたんです。プラレールだと6才になったらやらなくなるだろうし。
ちょうどNゲージの車両の大きさが、窓から見える電車と同じくらいのサイズで、窓際に置いておいたら、夢中になって遊び始めました。ずっとやってますよ。操作しだしたときは、僕もテンションが上がりましたね。
とにかく親としてはその子の興味を止めないこと。好奇心がない人というのは、グーグル検索できるこの時代には非常に弱い。常に何かが“気になる”という感覚が育っている人は、子どものころ、色々なことを気にしても怒られなかった人だと思います。

アイボやランニングバイクで自由に遊ぶお子さん。
最近はいつもパンを持っているそう。
「それが彼のアイデンティティーなんだな、と見守っています(笑)」

落合陽一さん プロフィール
メディアアーティスト、博士(東京大学・大学院学際情報学府)。筑波大学准教授・学長補佐。1987年東京生まれ。近著に『これからの世界をつくる仲間たちへ』(小学館)、『デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂』(PLANETS/第二次惑星開発委員会)など。
#ミライ育児 に必要なことをお聞きしたところ
「好奇心を妨げず、伸ばし続けるためのITとデバイスとマインドセット」というメッセージをいただきました。
『たまごクラブ』に落合陽一さんの「♯ミライ育児」短期連載中!
(撮影/有坂政晴<STUH>、取材・文/望月ふみ、撮影協力/BLOSSOM&BOUQUET秋葉原UDX店)