2人目が欲しいと思ったときにパパがやっておきたいこと
monkeybusinessimages/gettyimages
「そろそろ2人目が欲しいな」…と思いつつ、出産するわけでもない自分がどんな心構えでいればいいのか、わからないというパパも多いでしょう。2人目が欲しいと思ったときに、パパはどんな準備をしておけばいいのか。大阪教育大学教育学部准教授(家政教育講座)の小﨑恭弘先生に聞きました。
2人目で大変さは2倍ではなく2乗になる!?
――2人目が欲しいと思ったときに、パパはどのような準備をしておけばいいでしょうか。まずは経済的にやっていけるのかどうか、気になる人が多いと思いますが。
小﨑恭弘先生:経済面で心配でしたらまず、現状を把握することが大切です。1年を通して子育てにいくらかかっているのか、それを知るために家計簿をつけてみることをおすすめします。僕自身も、2人目が欲しいと思ったタイミングで家計簿をつけました。育児休暇を取得したかったのです。当時はまだ男性の育児休暇が今よりも一般的ではなく、手当も基本給の25%しか出ませんでした。それでもやりくりができるかどうか、仕事を休む前に知る必要がありました。普段の生活費以外にも、2人目の出産にかかる費用も、事前に調べておいたほうがいいでしょう。
――育児環境の面で、準備しておくことはありますか?
小﨑恭弘先生:多くの人は、子どもが生まれてから少し先までのことしか考えていません。保育所や幼稚園のことは調べていても、小中学校の距離まで調べている人は少ないのです。子どもはすぐに大きくなりますし、子ども自身も社会とのつながりが出てくるので、公園はあるか、買い物が不便ではないか、といったことも考えながら引っ越しの準備を進めるといいでしょう。調べていくと、自治体によっては医療費が高校生まで無料だったり、2人目の保育料が無料だったりと、公的サービスにも差があることに気づくと思います。余裕があれば、その地域の教育のよしあしも考慮のポイントになると思います。
――パパがママにしておきたいことは?
小﨑恭弘先生:多くのパパは、「2人になると育児が2倍大変になる」と思っているかもしれませんが、実際には「2乗」大変になります。まだ幼い第1子の面倒を見ながら、赤ちゃんの面倒を見るというのはそういうこと。たとえば2歳児と0歳児では、その大変さは全く異なります。上の子が赤ちゃんのときにやっていた、哺乳びんの消毒や離乳食作りを、また一からやらないといけない。こうした作業を上の子のときにママに押しつけていたパパも、第2子となると一緒にやらないとママを支えられません。パパも大変かもしれませんが、この期間は「ポイント10倍アップ期間」なので、頑張っておくとその後の夫婦関係にもいいでしょう。ただし気をつけてもらいたいのは、この期間はマイナスも10倍なんです。2人目が生まれても何もしないパパは、ずっと「あのとき何もしなかった」と言われるでしょうね。パパは、「子どもを育てることが子育て」と思うかもしれませんが、そうではありません。「ママを支えること」も大事な子育てだと思ってください。
――哺乳びんの洗浄などは、ママがやるものだと思い込んでいるパパは多いかもしれません…。
小﨑恭弘先生:1人目で大変な思いをしたママは、「2人目が欲しい」とはなかなか思えません。最初の子育てが楽しくて、「2人いたらもっと楽しくなるだろうな」と思ったときに、ママは2人目が欲しくなる。1人目のときは何となく家事や育児を回していたママ・パパも、2人目が生まれてからはきちんと話し合って役割分担を明確にしないといけません。ちなみに3人目が生まれてからは、パパの育児は一気に加速します。ママが「もう無理!」ってなるから、選択の余地がないのです(笑)。
――2人目ができて、第1子にすべきことは?
小﨑恭弘先生:赤ちゃんに戻ればまたママの気を引くことができるんじゃないかと思って、上の子の赤ちゃん返りが始まることがあります。おねしょをしたり、夜泣きをしたり。親は上の子と下の子に50%ずつ平等に愛情を分けているつもりでも、第1子からはそうは見えません。上の子からすれば、下の子に親の愛情を全部持って行かれるようなもの。親としては2人とも大事でしょうが、不安を抱いている上の子には「あなたが一番大事」だということを感じさせないといけません。下の子がかわいそうに感じられるかもしれませんが、子どもがある程度大きくなって物心がついてから、両方大事だというメッセージを伝えるので遅くはありません。上の子も赤ちゃんのことは好きなのですが、自分も甘えたいので葛藤があります。「お兄ちゃんだから、お姉ちゃんだから、我慢しなさい!」はNGワード。過度に我慢を求めなくても、上の子は自然に自分がお兄ちゃん、お姉ちゃんであることを自覚して、我慢するようになります。
――いろいろお話を聞くと、2人目の子育ては1人目の経験があるから楽になるかと思いきや、そうでもないんですね…。
小﨑恭弘先生:子どもが増えると、大変さは増えます。でも大変になるだけではなく、楽しいこと、幸せなことも増えます。楽しいことも大変なことも両方あるから子育てなんです。大変なことを、楽しいことがちょっとでも上回ったら、すてきな子育てだと思いますよ。
2人目ができると「大変なことが2乗になる」と話す小﨑先生ですが、「楽しいことも2乗、3乗になるよ!」とのこと。そのためには、やはりパパの覚悟と、明確な役割分担が必要となりそうです。第1子のときに何となく家事や育児をしてきたパパの場合は、2人目が生まれる前に夫婦でしっかりと話し合っておきたいですね。(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)
監修/小﨑恭弘先生
大阪教育大学教育学部教員養成課程准教授(家政教育講座)。西宮市初の男性保育士として活躍したのち、大学の准教授やNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の顧問として活動中。3男の父。
大学の准教授やNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の顧問として活動中。3男の父。
●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。